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「デフォルト」「ユーロ離脱」…崖っぷちのギリシャ 日本は円高・株安の恐れ
http://www.sankei.com/economy/news/150617/ecn1506170025-n1.html
2015.6.17 18:04 産経新聞
財政難のギリシャへの金融支援の継続を巡る欧州連合(EU)とギリシャ政府の交渉が、いよいよ瀬戸際を迎える。18日に開催されるユーロ圏財務相会合で、ギリシャはEUからの支援融資の再開を取り付けなければ、7月以降に迫る国債償還が不能になる恐れがあり、債務不履行(デフォルト)やギリシャのユーロ離脱が現実味を帯びるからだ。
すでにEU各国首脳から「妥結すれば奇跡」などの悲観論も飛び出す中、世界の金融市場は、「最悪の事態」を意識したリスク回避の動きも出始めている。
債務軽減を要求するギリシャと、年金減額と最低賃金の引き上げ凍結を求めるEU側の隔たりは大きい。財務相会合では、ギリシャに対しEU側の要求を受け入れるかユーロ圏を離脱するかの「最後通告」を突きつける可能性も指摘されている。
今回の会合が仮に交渉決裂となれば、6月末に返済期限を迎える国際通貨基金(IMF)からの融資計15億ユーロ(2000億円)が返せなくなる可能性が高まる。米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)などは、IMFは民間企業ではなく公的機関のため、「デフォルトには相当しない」との見解を示している。
しかし、金融市場がリスクを避けようとすれば、「ユーロ圏では最も安全性が高いといわれるドイツ国債が買われる一方、欧州の単一通貨ユーロの信任が損なわれ、ユーロが売られる公算が大きい」(三井住友アセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジスト)という。日本にもその影響が飛び火し、安全資産といわれる円が買われ、円高ユーロ安となる可能性が高い。
こうなれば欧州向けの輸出が多い日本企業は為替差損が膨らみ、円安ドル高をきっかけとした輸出企業の好業績に冷や水を浴びせかねない。
株式市場にも影響を及ぼし、5月下旬に2万655円の年初来高値をつけた日経平均株価の2万円割れも現実味を帯びそうだ。17日の定例会見で、日本証券業協会の稲野和利会長は、「一時的にマーケットに混乱を呼ぶということはあると考える」と述べた。
さらに、ギリシャが国債償還をクリアできなければ、デフォルトやユーロ離脱という最悪のシナリオも想定される。EUはユーロ離脱を想定していなかったため、ギリシャが離脱してしまうとユーロ制度そのものが揺らぎかねず、欧州各国の国債格下げや世界同時株安などもあり得る。
一方、今回の会合でEUとギリシャが妥結すれば、「ギリシャはEUから凍結されていた約72億ユーロ(1兆円)の融資を受け取ることができ、市場のリスク回避姿勢は弱まる」(みずほ証券の金岡直一FXストラテジスト)。
東京金融市場では再び円安・株高が進んでITバブル期の高値(2万833円)超えも視野に入ってくる。ただ、ギリシャは夏場に大量の国債償還を控えているため、もう一段の金融支援が必要。このため、世界の金融市場が再びリスク回避姿勢を強める展開もありそうだ。
また、今回のユーロ圏財務相会合では明確な結論が出ず、IMFがその場しのぎで返済期限を数カ月猶予するなどして、ギリシャと債権者側の交渉がずるずる長引く可能性もある。そうなれば、「上値が重くなる展開が続きかねない」(野村証券の尾畑秀一マーケット・エコノミスと)との指摘もある。
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