http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/754.html
Tweet |
メットライフ生命保険 代表執行役 会長 社長 最高経営責任者 サシン・N・シャー氏
高齢化社会の最大リスク「介護」にどう備えるか
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150617-00015434-president-bus_all
プレジデント 6月17日(水)16時15分配信
■高齢化社会に潜むリスクを考えよう
保険という仕事に携わっていると、リスクをいかに管理し、備えておくべきかを、人一倍考えているように思います。ビジネスにおいてはもちろんのこと、プライベートでも、起こりうるリスク、必ず起こるリスクを想定して、リスクが起こったときの回避策や軽減策を習慣的に考えているのです。これは一種の職業病のようなものかもしれませんが、これにより最悪な事態は避けられ、安心感が生まれ自信をもって前向きに行動することができています。
そんなことから、日常的なリスクだけではなく、10年後、20年後や50年後に備える事についても考えていることがあります。それは、日本の高齢化社会であり、それにともなう介護社会についてです。
日本の65歳以上の高齢者人口は、現在、約25%に達しています。海外でも「日本=高齢化社会」というイメージは強くもたれており、高齢化率がまだ13%程度のアメリカからすると驚きの対象です。病院で診察を待つ人の大半が高齢者だったという話をよく聞きますが、国民の4人に1人が高齢者なのですから、病院に行かずとも容易に想像できる話です。
日本では、今後も人口の減少、高齢者の増加により高齢化がさらに加速していくことから、各国からその対応については注目されており、効果的な備えが社会にも個人にも求められているのではないでしょうか。
これから迎えるさらなる高齢化社会に潜むリスクに対して、いかに備えるかを考える必要があると思います。日本人の平均寿命は、2013年に男性が初めて80歳を超え男女平均は84歳となり世界一の長寿国です。ちなみにアメリカは79歳ですが、日本では今後も、男女とも平均寿命は延びて、2060年には女性の平均寿命が90歳を超え人生における高齢期はさらに長くなります。高齢化率も約40%に達し2.5人に1人が高齢者という社会になると見込まれています。
高齢化社会においては、高齢者が安心して生活を送るために年金や医療、そして介護といった社会保障の充実が欠かせません。ところが、高齢期が長く、高齢化率も高くなると、社会保障による負担もさらに増大するわけです。少子化を解消するなど高齢化社会を支える現役世代の拡大が必要であり、社会全体で解決していくべき問題なのです。
その中でも、介護については年金や医療による問題とは少し様相が違います。認知症も含めいざ介護が必要となった場合、介護される人だけではなく、介護する人も当事者となり、家族を含む多くの人が当事者として介護に関わる可能性が高いということです。また、この当事者は高齢者と現役世代と言う組み合わせではなく、場合によっては介護される人も介護をする人も高齢者といったケースも高齢化社会では起こりうるのです。
■在宅勤務は多様な働き方の選択肢
介護社会には、介護を担う人材が必要となります。少子化の日本においては、海外からの介護福祉士の雇用も推進されていますが、これには国際的な人材獲得の競争が生じてきます。高齢化が進むのは日本だけではないので、今後、介護人材の雇用に困難が生じる可能性もあるでしょう。
また、少子高齢化、過疎化の影響で65歳以上の高齢者が住民の50%を超えた集落や自治体が全国で増加しています。生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうと言われていますが、これは地方の過疎地に限った話ではありません。都市圏のベッドタウンやかつての新興住宅地などでも同様の事態が生じているというのです。全国の高齢者のいる世帯のうち、高齢者が一人暮らし又は夫婦のみの世帯も半数を超え増加傾向にある現実から、介護問題はもとより高齢者の孤立にも早急に手を打つ必要があると思います。
年金、医療や介護といった社会保障に対しては、官民で知恵を絞って取り組んでいますが、企業においては、雇用形態の多様化や定年の引き上げによる雇用創出や、少子化に対して男性社員への育児休暇の取得推奨や保育所との提携などの子育て支援策にも積極的に取り組んでいます。
介護に関しては、法定での介護休業、介護休暇などの制度のほか、介護事業者との提携などにも取り組んでいる企業もあります。介護をする人は、とりわけ働き盛りの世代で企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくありません。そうした中、介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、介護をおこなう期間や方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。
生命保険文化センターの調査によると、介護経験がある人が、実際に介護を行った期間の平均は4年9カ月であり、4年以上介護した人の割合も4割を超えているとのことです。また、介護や看護により離職を余儀なくされる人も年間約10万人弱と決して少なくありません。
最近では在宅勤務を可能として社員の状況に応じた柔軟な就業形態を取り入れている企業もあります。介護は長期にわたることから、家族に要介護者がいて家族が介護をしているような場合は、在宅勤務によって家族も安心しますし、社員本人も仕事に専念できるようになると思います。企業にとって人材の確保は重要で、在宅勤務制度は多様な働き方の選択肢のひとつであると考え、メットライフ生命でも週2日の在宅勤務を可能としました。
在宅勤務を可能とするのは、職業形態やITによるインフラの整備ができていることなどにもよりますが、ITは距離や情報格差の壁をなくし、生活スタイルを変える力があるので、活用しない手はありません。ITは遠隔からの在宅医療にも活用できるようになってきているので、医療機関のない地域や、過疎地でも医療を受ける利便性があがったり、病院に高齢者が集まる光景も今後は変わるかもしれません。
■ラジオ体操と規則正しい食生活
年金、医療や介護といった社会保障に対して、補完する役割として保障や貯蓄といった機能をもって生命保険もお役に立てます。社会の変化に合わせて、これからもお客さまのニーズにあった商品を提供していきたいと思っていますが、皆さんにとっては医療や介護の当事者になること自体が望ましいことではなく、避けられるに越したことはありません。リスクが発生しないようにするには、予防策を講じることが必要だと思います。
医療や介護を要する当事者とならないために、高齢者が怪我や病気に対して予防をするには日々の運動と食事が肝要のようです。私からは日本人の誰もが知っているラジオ体操と規則正しい食生活をぜひお勧めしたいと思います。
日本全国に浸透している「ラジオ体操」の始まりは、大正時代に遡り、実はメットライフと大きな関係があります。当時、メットライフは全米に向けて国民の健康増進を目的にラジオ放送による健康体操をおこなっていましたが、それを保険事業の視察のためにアメリカに来ていた逓信省簡易保険局の方が、日本に持ち帰って紹介、推奨したのが「ラジオ体操」の始まりなのです。
朝起きて、ジョキングウェアに着替え外に出るのも気持ちがよいものですが、パジャマのままでも指先まで意識して真剣にラジオ体操をすると、たった5分でうっすら汗をかくほどの適度な運動ができます。体を動かすと食欲も出てきますので食生活も規則正しくなります。ぜひ皆さんも、はじめてみませんか。
弊社での「今後の介護についての調査」によると、介護経験者は精神的、肉体的、金銭的な不安は実感しており、介護未経験者も同様に「介護は大変なんだろう」とは認識しています。但し、介護を経験した人もしていない人も、「介護に対する備えはあまりしていない」と言います。「近い将来に起きることなんだろう」という意識はあるのですが、介護の経験者も未経験者も、どう備えたらよいか「わからない」「どうしていいかわからない」という危機感と不安感を持たれているようです。
世界で突出した高齢化社会に対して、日本の皆さんがどう対処するのか注目されています。日本ならよい対処をすると期待をもって見ているのです。10年、20年、50年先に備え、まず、何をしておくべきかを考え、今できることから始めることが必要だと思います。
----------
メットライフ生命保険株式会社 代表執行役 会長 社長 最高経営責任者
サシン・N・シャー
1967年生まれ、米国出身。米国スティーブンス・インスティテュート・オブ・テクノロジー卒。99年メットライフ入社。2011年アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーリージョナル専務執行役員、12年メットライフアリコ代表執行役専務最高執行責任者などを経て、現職。
----------
メットライフ生命保険会長社長 サシン・N・シャー
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。