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健康コーポレーションが所在する新宿フロントタワー(「Wikipedia」より/Mountainlife)
疑惑まみれライザップの危機 メディア黙殺の怪 体に危険&誇大広告の恐れ、利用者苦情も
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10355.html
2015.06.16 Business Journal
「週刊新潮」(新潮社/6月18日号)に掲載された記事『2カ月で37万円「ライザップ」の客とスタッフが危ない!』が反響を呼んでいる。
当記事は、RIZAP(ライザップ)のトレーナーの8〜9割がパートタイマーであり、スタッフが17時間休まず働かされ、さらにトレーニングや減量指導に不満を持つ会員が返金交渉で苦慮したといった内容を報じている。
これに対しライザップを経営する健康コーポレーションは、新潮社に対し厳重抗議を行うとともに、記事の撤回と謝罪を求めると発表している。
そこで今回、筆者は当該記事に関して実際に新潮社から取材を受けた複数の人物に接触したところ、ライザップとマスメディアの関係が透けて見えてきた。
■スポンサー・タブー
実は今回の「新潮」による報道以前にも、ライザップにまつわるネガティブな報道の動きがあった。番組制作会社関係者のA氏は語る。
「当社はドキュメンタリー番組の制作を手掛けていますが、『ライザップのトレーニング方法は非常に危険である』という告発が同業者から相当数あったのです。その告発を受けて独自に取材を進めた結果、『短期間での体形変化は、実は健康に悪い』という結論になり、番組企画をテレビ局に提案しました。しかし局側からは、『ライザップは貴重なCMスポンサー、こういう企画は困る』と言われ、却下されてしまったのです。現在ライザップは大量のテレビCMを流しており、広告収入が厳しいテレビ業界がライザップに否定的な報道をすることはできないでしょう」
また、大手出版社の週刊誌記者を務めるB氏も、「雑誌も広告が非常に厳しい中、ライザップは貴重なスポンサーなので、同社を否定する記事はとても掲載できないです」と明かす。
ちなみに今回新潮から取材を受けたジム業界関係者C氏によれば、取材をめぐり、奇妙な現象が見られたという。
「他社の記者も、相当取材協力をしていました。自社の雑誌のスポンサーに牙をむくのはご法度でも、記者魂が黙っていなかったのでしょう」
■誇大広告の可能性
今回の新潮の取材先のひとつで、消費者問題の専門家でもあるD氏はこう説明する。
「ライザップのようなダイエットに限らず、エステや語学学校、SEOなどのサービスを提供する『役務提供業者』には、『効果がわかりにくい』などのクレームがつきもので、クレジット会社との取引ができず、ローンが組めません。そこでライザップは自社割賦という仕組みによって、債権回収をするやり方を採用しています。しかしこれはリスクが高い。その証拠に、ライザップの自社割賦の金利は19.8%と非常に高金利です。昨今は弁護士事務所でも債権回収に苦労している時代なのに、一民間業が債権回収をするのは難しい。これは経営的にはリスクです。
また、ライザップが謳っている『30日間全額返金保証制度』は、景品表示法が禁止している有利誤認表示や誇大広告禁止に該当する可能性があります。広告では『内容に納得できない場合は全額を返金する』と記載がある一方、会員会則では『会社が承認した場合に全額を返還する』と説明しており、ズレがあります。兵庫県のNPO法人は、これを誇大広告と指摘して注目を集めました」
そして、この広告表示には、もっと大きな問題があるのだという。
「全額返金保証ということは、『効果に自信があります』という意味です。しかもCMでは『結果にコミットする』『2ヶ月で、このカラダ。』など、効果を保証するような表現を多用しています。本来、特定継続的役務提供業者が効果保証をする行為は違法ですが、ライザップは同業者に指定されていないため、即違法行為には該当しません。しかし、同業者ではなくても、消費生活センターが取引に問題があると判断した場合、当該業者のクレジット口座を凍結できるという法律(割賦販売法における「支払い停止の抗弁権」)が頻繁に適用されています。以上から、ライザップのあたかも効果保証をするかのような広告は、消費者行政的に問題があるといえます」(D氏)
健康コーポレーションは今期中に純利益を3倍近くまで拡大する計画であり、さらなる事業拡大を進めている。だが、大規模に事業展開を行うと必然的にクレームが増え、その件数が積み重なれば行政も動き出さざるを得ない。
新潮報道がライザップの急成長にどのような影響を与えるのか。当分は世間の注目を集めそうだ。
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)
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