http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/703.html
Tweet |
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 時価総額バブル期超えの意味
http://wjn.jp/article/detail/2668650/
週刊実話 2015年6月25日 特大号
6月2日まで日経平均株価が27年ぶりに12連騰となり、東証一部の時価総額が600兆円を超えた。これはバブル期を上回る時価総額だ。
こうした株式市場の活況を受けて、日本の株価はバブルだという指摘が出始めている。例えば、ウォーレン・バフェット氏が主張する、いわゆるバフェット指数というのがある。株式時価総額を名目GDPで割ったものだが、現在の東証一部の時価総額は名目GDPの1.2倍になっている。1倍を超えれば、株式市場は過熱というのが大まかな基準だから、いまの株価がバブルに近づいているという指摘は、まったく根拠がないわけでない。
しかし、日経平均株価をバブルのピーク時と比べると、まだまだ半額程度だ。それでは、なぜ時価総額がバブル期を超えたのか。
最大の要因は、上場企業の数が増えたことだ。東証一部に上場している企業は、バブル期の1165社から現在の1883社へと6割も増えている。企業数が増えれば、時価総額も当然増えるのだ。
時価総額拡大の第二の理由は、株価と景気のタイムラグだ。昨年度の日本のGDPは、前年比▲1%のマイナス成長だった。消費税率の引き上げにともなう実質所得減で、消費が落ち込んだからだ。しかし、所得環境は大きく変化している。
春闘の賃上げ率は昨年を上回っているし、昨年度マイナス0.7%だった公的年金の改善率も、今年はプラス0.9%となった。一方で、昨年度は一時4%近く上がった物価が、今年4月はわずか0.3%と、ほとんど上昇していない。消費税引き上げの影響が一巡するとともに、昨年秋から、原油価格がほぼ半額に下落するという神風が吹いたからだ。
名目の所得が伸び、物価が上昇しなければ、実質所得が増える。そうなれば当然消費が増える。いまの株価は、今年度の景気拡大を先取りしているのだ。
私は、株価の水準が適正か否かを判定するのは、バフェット指数よりも、株価純資産倍率(PBR)の方が適切だと思う。
PBRは、株価が一株当たりの純資産の何倍かという指数だ。先進国の株式市場では、PBRが2倍前後というのが平時の数値だ。東証一部の5月のPBRは、1.6倍だ。バブル期のPBRは5倍程度だったので、現在の株価は、まだバブル期の水準にはまったく近づいていないのだ。
私は、日経平均株価が、さらに上昇を続ける可能性があるとみている。それは安倍政権の成長戦略によって、企業間でも弱肉強食化が急速に進んでいるからだ。中小企業の経営はよくなっていないが、大企業は過去最高の利益をたたき出しているところが多い。規制緩和による市場原理化を進めれば、ただでさえ弱肉強食化が進むうえに、成長戦略には、もう一つ重要な役割がある。それは、規制緩和によって新たな市場、あるいは新たな利権を獲得する企業が出てきて、収益を大きく高めることだ。
例えば、安倍総理が岩盤規制に穴を開ける政策として掲げている派遣法の規制緩和が進めば、派遣業界は当然儲かる。ただ、最大の成長をみせるのは、防衛産業だろう。武力行使の規制緩和によって、今後日本は米国とともに戦争をする国になる。そうなれば、防衛産業が伸びるのは確実だ。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。