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30周年を迎えた「タケオキクチ」は、上質化でテコ入れを図る(撮影:梅谷秀司)。
ワールドが大量閉店、「再生請負人」に高い壁 アパレル名門、栄光の軌跡と失速後の展望
http://toyokeizai.net/articles/-/72479
2015年06月14日 藤尾 明彦 :ニュース編集部 記者 東洋経済
「タケオキクチ」や「アンタイトル」などのブランドを抱える、大手アパレルメーカーのワールドが、大規模リストラに踏み切る。4月に創業家以外で初めてトップに就いた上山健二社長は、2016年3月期中に、全店舗の約15%に当たる400〜500店の閉鎖を発表。全体の1割強に相当する10〜15ブランドも廃止する。
ワールドは2007年3月期、過去最高の営業利益213億円をたたき出し、順風満帆だった。が、2015年3月期(IFRS基準に変更)は、52億円にまで沈んだ(左図)。IFRS移行がなければ、のれん償却の約40億円分が、さらに利益を押し下げていたことになる。
同社の成長は1990年代に入って加速した。93年に国内でいち早く、商品企画から小売り販売まで手掛ける、SPA(製造小売業)へ転換。90年代後半からは主力の百貨店に加えて、建設ラッシュだった商業施設(SC)向けの販路開拓に力を入れた。
■リーマンショックで状況が一変
状況が暗転したのは、2008年のリーマンショック以降だ。1世帯の「被服および履物」の支出額(1カ月当たり)は、2007年の1万2933円から、2014年には1万1983円へ減少(総務省家計調査)。消費増税もあり財布のヒモが固くなる中、ユニクロなど低価格が強みのファストファッションの台頭にも押されるようになる。富裕層や訪日外国人の消費は活発化したが、彼らの目当ては高級ブランドなど高額品。中価格帯中心のワールドに恩恵は届かない。
リーマン前までワールドの成長を牽引していたSCへの出店戦略も曲がり角を迎えた。開業初年度は盛況でも、2年目以降は不振に陥ることもしばしば。近隣に新しい店舗が建設されるなど、SC同士の競争も激化した。最高益を出した2007年3月期から出店を加速したが、皮肉にも不採算店を増やす結果となり、利益は急減していった。
上山社長は「固定費のスリム化にいっさい聖域は設けない」とし、2017年3月期には営業利益100億円超を目指す。だが目標を達成したとしても、リーマン前の収益水準にはまだ遠く及ばない。
リストラ後の成長戦略を描くうえで悩ましいのが優先株の配当負担だ。ワールドは2005年、MBO(経営陣による買収)で上場を廃止した際、優先株発行などにより資金を調達。買い入れ消却を進めるも、3月末時点でまだ8120万株が残っている。1株当たり配当金は2019年3月期まで8円だが、2020年3月期以降は18円にハネ上がる。
■ネット注力も力不足?
今後は投資が少なくて済むインターネット販売に注力する。ただ現在のネット売上高は130億円と全体の4%にすぎず、業績を牽引するには力不足の感もある。また、主力ブランド「アンタイトル」をカジュアル化させるなどのテコ入れを行うが、イメージ刷新が浸透するまで急回復は見込めそうもない。
上山社長はこれまで複数社でトップを務め、会社更生法下にあった総合スーパー・長崎屋では、計画より12年早く更生手続きを終結させた。そんな“再生請負人”にとっても名門アパレルを復活させるのは簡単ではなさそうだ。
(「週刊東洋経済」2015年6月13日号<8日発売>「核心リポート04」を転載)
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