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日本株の上値が重くなってきた。15日以降のマーケットはどうなるのか(写真:まちゃー/PIXTA)
日経平均、2万円割れが現実味を帯びてきた 外国人投資家は日本株を「売り逃げ」している
http://toyokeizai.net/articles/-/73218
2015年06月14日 馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 東洋経済
まずは急ぎ足でこの2週間の日本株を振り返ってみよう。
前回のコラム「日本株は、むごいことになる恐れがあるhttp://toyokeizai.net/articles/-/71567」では、かなり強いトーンで国内株価下落の可能性を示唆した。コラム掲載の翌日6月1日(月)、日経平均株価は日中(ザラバ)高値2万0595円まで値を伸ばしたものの、同コラムでの「今週の日経平均の予想」で上限とした2万0600円を超えることができず、国内株価は反落に入った。
当初は緩やかな下落にとどまっていたが、9日(火)には特に材料がないなか、日経平均は360円も下落。その翌日である10日(水)も、いわゆる「黒田発言」で米ドル円相場は午後に急落(円は急騰)、やはり株価を前日比マイナスに押し下げる結果となった。
■株価の変調は6月以降に起きたわけではない
結局、前週末の12日(金)にかけて株価は急速に持ち直したものの、12日(金)は前日木曜日の欧米株価が上昇し、為替相場も落ち着いていた割には、極めて上値が重かった。
一見、先週の株価急落や急速な円高は、「突然起こったことだ」と考えておられる読者の方も多いかもしれない。だが、実はそうではなく、その前から明確な兆しがあった。
筆者は、前回のコラムでは、5月後半の国内株価上昇は、外国人短期筋の吊り上げの様相が強いこと、吊り上げても国内個人投資家がなかなか買い出動せず、短期筋から「じれた声」が聞こえていること(つまり、短期筋が我慢できずに投げる可能性が高いこと)、欧米株価がすでにピークアウトの様相を強めていることなどから、いずれ外国人短期筋の売りによる、海外株連動の日本株の下落が生じると述べた。
ここで、TOPIX(東証株価指数)の(時価総額による)規模別株価指数をとり、大型株指数を小型株指数で割った比率を見てみよう。
■「大型株指数÷小型株指数」の急低下が意味するもの
同比率は5月27日(水)に最近の最高値をつけ、その後急速に低下している。外国人投資家、特に短期筋は、通常売買高が多く大きな金額の注文を入れやすい大型株を使って、日本市場全体を売り買いするような形をとる。つまり大型株÷小型株比率の低下は、外国人短期筋がすでに5月下旬から、日本市場からの売り逃げを始めていたことを示唆している。
6月1日(月)まで日経平均は、バブル崩壊後の連騰最長記録となる12連騰をとげ、記録が途絶えた直後も、国内では「欧米株が軟調でも日本株は底固く下げは限定的だ、欧米株を売った資金が日本市場に流入しているのではないか」「日経平均はITバブル時の高値2万0833円を超えるだろう」という「浮ついた見方」が広がっていた。
しかし海外の短期筋は、そうした楽観をあざ笑うかのように、水面下で、すでに撤退を開始していたわけだ。その延長線上で考えれば、逃げ遅れまいとした売りがさらにかさんで、6月9日(火)に日経平均が大幅安したことは驚きではない。今後も海外株下落などにより、同様の「売り逃げラッシュ」が起これば、日本で何らの悪材料がなくても国内株価がたびたび急落することになりそうだ。
もちろん、6月10日(水)の黒田日銀総裁の衆議院財務金融委員会での発言を予想できていたかと言えばNOである。この日黒田氏が、具体的に「円がすでに安い」という示唆をする、とまではわからなかった。
しかし前号の当コラムでは、「5月27日(水)〜5月30日(金)にドイツで開催されたG7(先進7か国)財務相・中央銀行総裁会議では、為替が全体の議題にはならなかったものの、日米財務相が、為替の急変動は望ましくないとの認識で一致、円安をけん制したという。その報道を受けて、円相場は少ししか動いていないが、市場では『G7と冷酒は後から効いてくる』との格言があり、今週以降円高をもたらす材料の一つとなりうる」と解説していた。今回も格言の通り、まさに後から効いてきたわけだ。
以前から米政府は、米ドル高が米景気や企業収益に与える悪影響を懸念し始めている。そのなかで、日本がさらなる円安を志向する姿勢を打ち出すことは難しい。また日本自身にとっても、一段の円安の進展は、輸入コスト増への懸念が広がる恐れがある。
「G7と冷酒は後から効いてくる」という格言は、G7の会議そのものからは大きく市場を揺るがすような材料が飛び出さなくても、G7会合の場で話し合われたことが、後から各国の要人の発言などを通じてにじみ出ることが多い、という意味であり、なかなか味わい深い。
実は、原田日銀審議委員は、6月4日(木)に大手通信社とのインタビューで、現状の為替は「かなりいいところまできたのかもしれない」と述べていた。G7サミット(6月7(日)〜6月8日(月)では、オバマ大統領が「強いドルは問題だ」と発言したと報じられた(のちに米政府側は否定)。
その延長線上で、黒田発言が出たことは、やはり驚きではない。つまり黒田発言は冷酒のように、後から効く材料の一つだったわけだ。いや、冷酒ではなく、市場への冷や水だったとの声もある。
■「ゴルディロックスの祝い酒」に酔った市場
景気もほどほど、金融政策もほどほど、海外の市場環境もほどほどと、強くもなく弱くもない諸材料をいいとこ取りし、都合よく解釈して、楽観に走ることを、欧州の童話「3匹のくま」(英国の民話を基に、ロシアの文豪トルストイが再構成したといわれる)に出てくる小さな女の子の名前をとって、「ゴルディロックス」と呼ぶ。
日経平均が12連騰する間、国内株式市場は「ほどほど感」という美酒に、長い間酔いしれていたようだ。その酔いが回り過ぎたのか、あるいは冷や水を浴びせられて驚いたせいか、株式市場の足元は定まっていない。
今週は、米FOMC(米公開市場委員会、16日(火)〜17日(水))をにらみながら、方向感を失った市場の千鳥足が続き、むしろ株価下振れのリスクが高いとみる。
その1〜2か月先まで展望しても、国内外とも株価は下落方向だと懸念する(日経平均のメドは1万7000円台)。そうした流れの中で、今週(15日(月)〜19日(金))の日経平均は、1万9800〜2万0450円を予想する。
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