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スマホは危険だらけ。ペンタゴンの現役サイバーセキュリティ専門家が「無料Wi-Fiの場所でむやみにネットに接続することは到底勧められない」と警告する(写真 : RosyHawks / PIXTA)
日本人は「スマホの危険性」をわかっていない 米国防総省現役のサイバー専門家が警告
http://toyokeizai.net/articles/-/72764
2015年06月13日 カイゾン・コーテ :米国国防総省キャリア 東洋経済
コンピュータやネットワークのデータ領域として生まれた新世界、それが「サイバー空間」だ。IT技術の普及で急速に拡大したこの空間には、時空の壁も国境も存在しない。今この空間で何が起こっているのか。米国防総省の現役サイバーセキュリティ・スペシャリストであるカイゾン・コーテ氏が3回に渡って、サイバー空間の危険性を警告する。
■セックスの最中ですらスマホを手放せない人たち
米国において、初めてモトローラ社から「手にもって移動できる」とされる巨大な電話が発表されたのは、1973年。以来、携帯電話は日々進歩を続けてきた。
そして2007年、iPhoneが発売になると、携帯電話とコンピュータの処理能力の差異はほとんどなくなった。スマートフォンの普及拡大により起こったこと、それこそが、私たちがサイバー空間で過ごす時間の拡大である。今やスマートフォンでアプリを開く光景は、世界共通だ。「ひとときも、手放すことができない」――そんな人も少なくないはずだ。
Kaizon Cote (カイゾン・コーテ):現役米国国防総省キャリア、サイバーセキュリティ・スペシャリスト。現 在は国防総省、軍に籍を置きつつ、民間企業「ディフェンス・ディベロップメント・コンセプト社」をベースに、米、日本、カナダ等でセミナー、コンサルティ ングなども行う。空軍での階級は少佐。
米国では、人が何らかの形でスマホを含む携帯電話を利用する回数が、1日平均、110回にものぼるといわれている。スマホ普及により、この回数は増加の一途を辿る。
だが、SNSで望めばすぐに誰かに繋がることができる便利な世の中だが、こうした「繋がり」は私たちを振り回し続ける。
有力調査機関であるPew Research Centerによると、40代以下の8割の米国人はベッドサイドにスマートフォンをおき、4割の人間がトイレの中でもそれをチェックするとされる。
シャワーを浴びている間も電話を手から離せないという人は12%、さらに驚くべきことに、20%の成人男女が、セックスの最中ですらスマートフォンを利用しているというデータさえある。これを異常事態と言わず、なんと言おうか。スマホ利用は、もはや人々の「習慣」にプログラミング化されてしまったに等しい。
そしてそれが生活を便利にする習慣ならなおさら、簡単に手放せないのが人間の性だ。しかし一度習慣化されると、人はそこに警戒心を持たなくなる傾向がある。たとえ知るべき危険が潜んでいたとしても。
一般的に携帯電話は、スパイウイルス等に代表される、いわゆる「マルウェア」に対し、PCよりも一般的には安全とされてきた。だがすでにスマホ時代、この考えは必ずしも正しくない。むしろ日常的にスマホに依存する現代人の行動を考えるとき、PCよりはるかにマルウェアに接触する確率は上がる可能性は否めない。
■アンドロイド向け不正アプリはなんと260万種
事実、特にアンドロイドをターゲットにしたウイルス数は深刻だ。マイクロトレンド社によると、アンドロイド向け不正アプリの数は、実に260万種とも言われ、たった1年でその数は3倍にも増えてしまった(2014年6月現在)。iPhoneよりも、アンドロイドのウイルス数が圧倒的な理由は、アプリの公開審査基準が緩やかであるためだ。ウイルスの数は増え続けており、危険はますます深刻になることが予想できる。
なぜスマホはここまで危険なのか。自宅や会社で使うコンピュータは、特定のネットワークを通じてサイバー空間に接続されることが多い。だがスマホの「いつでも、どこでも」を実現するには、電波や「Wi-Fi」(Wireless Fidelity、無線LANの一種)が当然必要だ。そしてこれら「電波の基地」(アンテナ)やWi-Fiのアクセスポイントを不特定ユーザーが共有するために、危険度が増すことになるのだ。
ハイテクハッカーたちにとっては、「ニセの携帯基地」を作って情報を傍受することなど「朝飯前」である。こうしたニセの携帯基地を使えば、会話などは簡単に盗聴され、携帯やスマホに蓄積されたデータなども、いとも簡単に盗まれてしまう。
Wi-Fiのアクセスポイントについても同様だ。たとえば、通信速度が速くなるからなどといって「無料Wi-Fi」の場所でむやみにネットに接続することは到底勧められない。安全の保障が絶対的に信頼できるネットワーク以外は、どれも接続すべきではないのだ。
接続場所でいうなら、空港などは危険地域の筆頭だ。さまざまな国籍の人々が万人単位で入り乱れる施設であり、誰がどこで何を傍受しようとしているか、わからない。
空港は通称「ハッキングの海」とも言われており、米国において国のサイバーセキュリティに携わるような仕事をしている人間なら、絶対に利用を避ける場所である。
■エグゼクティブは「ガラケー」しか持たない
スマホを使っていると、便利なアプリをフル活用したくなる。だがスマホをお財布代わりにしたり、個人情報につながるデータをすべていれて持ち歩くことは、可能な限り避けるほうが安全だ。
「そんなことは言っていられない」というかもしれない。だが、米国ではリスクを考慮して、通話機能以外ほとんど何も付属していない「フィーチャーフォン」(日本で言うところのガラパゴス携帯)しか持たないエグゼクティブの数も増えている。
それだけではない。知らないうちに携帯電話がハッキングされ、自分の携帯が引き金となって、大規模なサイバー攻撃が仕掛けられる――そんなことも可能な世の中なのだ。
利便性だけを追求すればそれでよい時代は、とうに通り過ぎ去った。しかし、サイバーという見えない空間での出来事ゆえ、私たちはあまりに危機意識が足りない。
最も重要なことは、目の前の技術を「選択しながら戦略的に使いこなす」ことだ。技術が進んだ世の中で必要なこと、それは当たり前すぎることのように聞こえるかもしれないが、「サイバー空間に対する『ユーザーとしての知識』を蓄えること」に他ならない。
第1回目は身近な場所にある「サイバー空間の脅威」について述べた。次回はさらに専門的に、サイバーセキュリティをグローバルな観点から考察する。
- スマホから解脱すべく通話機能にのみ特化した超絶コンパクトな携帯電話「The Light Phone」 kokopon 2015/6/15 00:10:03
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