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せっかく東大に合格しても、ブラックバイトに苦しむ学生も……
ブラックバイト餌食! 「嫌と言えない大学生」の気の毒なバックグラウンド
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150612-00015488-president-bus_all
プレジデント 6月12日(金)8時45分配信
■7割の学生がブラックバイトで不当な扱いを受ける
学生アルバイトに長時間拘束労働やサービス残業などの違法行為を強いる悪質な「ブラックバイト」が話題になっている。その定義は一般的に「学生であることを尊重せず、低賃金かつ正社員並みの義務やノルマを課し、学生生活に支障を来す重労働を強いるアルバイト」とされている。
いわばブラック企業の学生版であるが、問題視した厚生労働省が今年3月末、学生アルバイトの多い学習塾業界の団体に不適切な労務管理の改善要請を求める文書を送る事態に発展している。
だが、業界の上部団体に要請しただけでどれだけの効果があるのかは疑問だ。実態は相当に根深いものがある。弁護士や学者で組織する「ブラック企業対策プロジェクト」が実施したアルバイト経験のある大学生への調査(2014年)では、未払い賃金や過度なシフト、商品の自腹購入など不当な扱いを受けた人は66.9%と約7割に及んでいる。
中でも最も深刻なのが、「辞めたいのに怖くて言い出せない」状況に追い込まれたり、「辞めたいと言っても辞めさせてくれない」と悩んでいる人が少なくないことだ。
▼「代わりの人間を2人連れてこい」
筆者は『辞めたくても、辞められない! 』(廣済堂新書)という本を2014年春に上梓したが、取材の過程で正社員だけではなく、学生アルバイトにも蔓延していることを知らされた。
たとえば学習塾関連では、以下の電話相談が労働組合の相談窓口に寄せられている。
「週2日間の契約で塾講師のアルバイトを始めた。しかし、実際は勤務日以外の労働をボランティア状態で強いられ、大学に行く日までなくなってしまう始末。退職を申し入れたら『生徒一人の人生を背負っている責任感がないのか』と責められる」(大学生)
「自分の苦手な科目を担当させられているが、とうてい無理なので辞めさせてほしいとお願いしたが『この時期に先生が替わるのは許されない』と認めてくれない」(大学1年)
「学習塾を近いうちに退職したいが、就業規則では3カ月前の届け出となっており、社員に相談したら『今は辞められない』と大声で怒鳴られた」(学生)
雇用主が高圧的な姿勢で辞めることを拒んでいる。
アルバイトはパート、契約社員と同じ有期契約労働者であり、働く期間を限定しているために中途で辞めるのは一般的に難しいと言われる。
だが、そんなことはない。
■辞めることを認める、労基法と民法
キャンパスで勉強したいのに、できない。ブラックバイトの蟻地獄
労働基準法には、あらかじめ明示された労働条件実際の労働条件が違う場合はいつでも退職できる(15条2項)。ましてや残業代を支払わない、最低賃金を下回るなどの違法行為があれば即刻辞めることができる。また、1年以上の労働契約を結び、実際の労働期間が1年を超えていればいつでも退職できる(労基法137条)。しかも、契約期間の途中であっても「やむをえない事由」がある場合は辞めることができる(民法628条)。やむをえない事由とは、本人の意思では避けることができない事情であり「病気で働けなくなった」「夫の転勤で転居しなくてはいけない」といった事例があるが「学業に支障を来し卒業できない」という理由も当然該当するだろう。
大学生の中にはこうした法律知識を知らない人も多い。
最大の問題は、高校や大学で労働法に関する講義がないことだ。法学部の学生なら多少教わるかもしれないが、1〜2年生でどこまで知っているか疑わしい。たとえばキャバクラに勤務する女子学生は、
「3カ月間勤め、辞めたいと申し入れたが『1カ月前に届けるのが社会の常識だ』と認めてくれない」
という相談を寄せている。
こうした学生の無知につけこんで強圧的な態度に出る雇用主もいる。
法律知識はネットで調べればわかるかもしれないが、雇用主が怖くて言い出せない状況に追い込まれている人もいる。カラオケ店でバイトしている男子大学生は、
「学校が忙しくなり、辞めたいと店長に申し入れたら『代わりの人間を2人連れてきたら辞めてもよい』と言って辞めさせてくれない」
と訴えている。
▼素直で従順すぎる学生たち
明らかなウソをついたり、強圧的態度で学生を辞めさせようとしない雇用主は言語同断だが、学生の側にも問題点がないわけではない。
労働組合の労働相談センターの担当者はこう指摘する。
「法的知識を知らなすぎるという面もあるが、素直で従順な人が多いように思う。辞めるにあたって会社の同意を得てから辞めたい、いいですよと言ってもらわないと申し訳ないという気持ちがある。それを逆手に取られていつまでも辞めさせてもらえない学生も多い」
退職届を一方的に出すだけで辞められるのに、同意がないと辞められない、あるいは今辞めるとバイト先に迷惑をかけるからタイミングを見はからって辞めようとするうちにずるずると働かされてしまう。人手不足の会社ほどそういう学生は一生懸命に働く良い人材であり、手放そうとはしないだろう。なだめすかしたり、時には強い態度に出て引き留めようとする。
雇用主の本音は、学生が卒業できようができまいが、関係ないというもの。学業もへったくれもない。単に仕事をこなすための1つのコマとしか考えていないのだ。
■ブラックでもバイトせざるをえない「事情」
こういった会社は学生バイトに限らない。
正社員でも上司や経営者が詐術、脅迫、暴言・暴力、洗脳など、ありとあらゆる違法な手段を駆使して強引に辞めさせようとしない事例が増えている。利用価値のない人間は退職に追い込むが、利用価値のある人は潰れるまでとことん働かせるという意味では、辞めさせない会社も間違いなくブラック企業だ。
妻子を抱える正社員はどんなに苛酷な労働を強いられても辞めたくても辞められない事情がある。読者の中には、たかが学生のバイトだから、嫌なら辞めればいいじゃないかと言う人もいるかもしれない。
しかし、親からの仕送りが減少し、バイトに依存しなければ生活できない学生も増えている事実はあまり知られていない。
ブラック企業対策プロジェクトの調査(学生アルバイト全国調査結果、2015年4月28日)ではアルバイトをしている学生のうち週20時間以上働いている人は29.0%もいる。しかも奨学金を利用していない学生より、利用している学生のほうが長時間働いている。
▼親からの仕送り額が減っている
全国大学生活協同組合連合会の調査(第50回学生生活実態調査、2015年2月27日)によると、学生のアルバイト就労率は69.1%と前年に続いて伸び続けている。
下宿生の平均収入は12万2170円。仕送り額は前年比マイナスの7万140円。収入額に占める仕送り額は57.4%と1975年以降、最も低くなっている。逆にアルバイトの占める比率は20.9%と75年以降最も高くなっている。
また、今後の収入面の対策として「アルバイトを増やす」と答えた学生が全体の45%もいる。中には遊ぶカネ欲しさの学生もいるかもしれないが、仕送りの減少をカバーするためにアルバイトせざるをえない苦学生が増えているのも確かだろう。
そんな弱い立場にある学生を低賃金・長時間労働で使い潰す会社が増えているのだ。
関西の専門学校に通う10代の女子学生はこんな相談を寄せている。
「朝は喫茶店、昼はカラオケ店、夜はスナックのアルバイトとして働いています。現在、精神的な苦痛でうつ病になり、薬を服用していますが、その影響で店では失敗も多くなり、辞めたいのですが、店長が辞めさせてくれません」
なにがしかの夢を持って進学しても、卒業する前に体を蝕まれる学生もいるのである。
溝上憲文=文
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