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かつてない株価の上昇で熱気を帯びている上海。バブルはいつまで続くのか
いつ弾けてもおかしくない!中国株バブルがヤバい
http://diamond.jp/articles/-/73100
2015年6月12日 岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授] ダイヤモンド・オンライン
中国経済というと、日本でよく報道されるのは不動産の市況悪化や経済成長率の減速です。実際、中国の経済成長率は今年の第1四半期に7%と1990年以降でもっとも低い数字となっており、輸出入のデータからは第2四半期は経済成長が更にスローダウンしたのではと懸念されています。
しかし、中国ではこのように実体経済がスローダウンする一方で、金融市場では株式投資バブルが起きており、“かなりヤバい水準”にまで来ているのではという報道が海外では増えてきています。このバブルが遠からず崩壊する可能性があるとしたら、安倍政権の経済運営にとって大きなリスク要因になるのではないでしょうか。
■1年で平均株価2.5倍上昇 過熱する上海市場
実際、上海市場の平均株価(上海総合指数)は過去1年間でなんと2.5倍も上昇し、先週は2008年以来久しぶりに5000を超えました。この事実だけでも株式投資バブルの発生を疑うには十分なのですが、海外の報道を見ていると、その内実は呆れるくらいに危機的なものを感じます。
そもそもこの株式投資バブルのきっかけは度重なる金融緩和と財政出動にあると言われていますが、それが今後も続くだろうという予測の下、金利が低下する中で中国の機関投資家は40兆円(!)もの銀行借り入れをして株式投資を行なっているとのことです。
しかし、それより凄いのは上海市場での株取引の80%を占める個人投資家で、銀行預金や債券投資を引き揚げ、更には銀行から借り入れまでして全財産を株に突っ込んでいる人も多いようです。素人の個人投資家もこの千歳一隅の儲けの機会を逃すまいと大挙して株式市場に押し寄せているとのことです。
実際、5月の最終週の5日間だけで、中国では株式取引の新規口座開設数がなんと440万件に上ったそうです。上海の路上で物売りをしている人が、屋台の陰でパソコンを開いて株取引に勤しんでいる姿も有名になりました。
また、IPO(新規株式公開)バブルも発生しており、6月第1週の5日間で23の企業が株式を公開したのですが、その23社合計で4兆9000億元(98兆円!)もの入札があったそうです。ちなみに、上海市場では今年に入ってからIPOを行なった企業の数は144あるそうですが、それらの企業の株価は平均して公開価格の6倍(!)に跳ね上がり、少なくとも56兆元(110兆円!)の資金を調達したそうです。
■株価のためなら社名も本業も変える!何でもありの中で過熱する株価
もちろん、まだ中国の株式市場はまだバブルとは言えないという意見もあります。例えば、株式時価総額はまだ中国のGDPの87%の水準に過ぎず、1929年の世界大恐慌時の米国(200%)、1989年のバブル崩壊時の日本(140%)と比べると今の中国はまだ比較的低い水準にあるからです。
しかし、中国版NASDAQとも言われる新興企業向け市場ChiNext(“創業板”)の株価指数が、そこに上場している企業の昨年の平均収益の140倍に達していることなどを考えると、やはり中国では株式投資バブルが発生していると考えるべきではないでしょうか。
かつ、市場の過熱が投資家の側のみならず、株式を上場する企業の側の常軌を逸した行動も誘発していることに留意すべきです。例えば、ロンドン・エコノミストの報道によると、住宅のフローリングを本業に上場しているある会社は、中国の住宅バブルの崩壊で業績が悪化する中で、突如3月に本業をフローリングとは縁もゆかりもないオンラインゲームに変えるとともに、会社の名前まで変えてしまいました。
そして凄いのは、それを受けてその会社の株価が短期間で2倍に跳ね上がったことです。ハイテク企業へのなりすましが功を奏したと言えます。もちろん、そんなうまい話が長く続くはずもなく、中国の国営放送CCTVが、その会社も含め、いくつかの企業が偽装して株価を吊り上げていると批判しました。
ただ、それでも上海市場では今年に入ってから既に少なくとも80の会社が、上場を維持したまま社名と本業を変えているとのことです。ホテルグループが高速鉄道会社になり、暖炉の会社がマイクロファイナンスの会社に、セラミックの会社が再生エネルギーの会社にと、もう何でもありで、ハイテク企業への“変身”ばかりであることから、中国経済の構造変化への対応よりも株価を意識したものであると考えられています。
■「年内にはバブルが弾ける」との声も
そして、気になるのは、香港に拠点を置くヘッジファンドから、中国の株式投資バブルの過熱ぶりは尋常ではなく、早ければ年内にこのバブルが弾けてもおかしくないという声が出はじめていることです。
それでなくても成長がスローダウンする中で株式投資バブルも弾けたら、中国の実体経済は更に悪くなるはずです。そして、それは当然ながら日本の実体経済と金融市場の双方に甚大な影響を及ぼすでしょう。今の日本経済は金融緩和と財政出動で底上げされているだけですし、株価上昇にしても金融緩和やGPIFの効果が大きいことを考えると、本当の意味で日本経済が強くなったとはとても言えないからです。
日本ではまだそこまで詳しく報道されていませんが、そろそろ政権も企業も個人も、この中国の株式投資バブルの崩壊のリスクを意識する必要があるのではないでしょうか。
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