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焦点:黒田ショック、日銀は円安けん制否定 米経済配慮の見方も
2015年 06月 11日 15:16 JST
[東京 11日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁の為替に関する発言に対し、日銀関係者は円安けん制の意図はないと説明する。だが、円安進展テンポに加速感がみられていた相場を一時的に冷やすことには成功したともいえる。国際金融筋は、発言の裏側に世界経済をけん引する米経済への配慮もあるとの見方を示している。
黒田総裁は10日の衆院財務金融委員会で、最近の円安進行に関連して「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている」とし、「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」などと発言した。
外為市場は発言が伝わると敏感に反応し、ドル/円JPY=EBSは一時2円程度の急落となった。
この黒田総裁の発言について、日銀は、従来からのスタンスを変更するものではなく、市場に影響を与える意図はなかったと説明している。
また、甘利明経済再生担当相は、黒田総裁の発言について「趣旨が若干、曲解されて市場に伝わってしまった」と述べ、市場変動が一段と大きくならないよう火消しに回った印象だ。
<市場に根強いスピード調整の声>
それでも市場では、通貨政策の陣頭指揮を執る財務官も務めた黒田総裁が「円安進行で発言内容が注目されている中、為替市場がどう反応するかを考えずに、軽率な発言をするはずがない」(国内金融機関)と勘繰る向きが多い。
これまで黒田総裁は、円安について輸出企業の収益拡大などのプラス面や中小企業や家計のコスト増などのマイナス面というバランスに配慮したうえで「為替相場は経済のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが望ましい」との一般論を繰り返してきた。
10日の国会でも同様の見解を示しながら、最近の円安の背景に日米の金融政策の違いがあることは「間違いない」と断言。年内利上げ観測が強まっている米国と量的・質的金融緩和(QQE)を推進中の日本の金融政策の違いに触れ、米利上げが市場に織り込まれているのであれば、「それ以上のサプライズがなければ、これ以上のドル高になる必要もない」などと踏み込んだ。
<G7でドル高懸念共有した可能性>
ある国際金融筋は、黒田総裁発言の背景には米経済への配慮があるとみる。世界経済の回復が緩慢な中で、現状は好調な米経済がけん引役を担っているのが実情。さらなるドル高が続けば米経済が失速し、世界経済全体が腰折れしてしまうことを懸念しているのではないか、との見方だ。
さらに利上げ自体が不可能となれば、逆に円高が進行し、日本経済のデフレからの脱却が遠のく可能性も否定できない、との見通しを示した。
黒田総裁は5月末にドイツで開かれたG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)に出席したばかり。10日の国会で総裁は、G7で為替に関する議論は「全くなかったと言ってもいい」と述べたが、市場関係者の間では「直後の麻生太郎財務相による『為替は荒い動き』との発言は、円安けん制度合いが強かった」と着目されている。
伏線はあった。甘利経済再生相が5月29日の衆院内閣委員会に出席し、為替について「(1ドル)80円は過度な円高だが、現状は過度な円安とは言えない」と述べたうえで、「円は強い方が価値がある」、「円が強くても経済が回っていくのが理想だが、今、ドル80円で日本経済はやっていけない」、「経済の強さと円の強さの両立が望ましい」と言及。アベノミクスイコール円安・株高との市場の見方に、微妙な修正を図りたい気配が感じられた。
G7について、別の国際金融筋は「水面下で(為替の)話が出た可能性はある。もしくは議論の中で、政治的な面を含めて一方的なドル高への警戒感を(黒田総裁が)抱いたのかもしれない」と推察する。
市場関係者の間でも「ドル/円が125円を抜けて円安が進むと、130円まで急伸しかねず、節目でブレーキをかけた可能性がある」(邦銀関係者)との見方が出ている。
(伊藤純夫 竹本能文 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OR0EL20150611
コラム:黒田発言なければ現実化した近未来、懸念は管理不能な円安
2015年 06月 11日 14:01 JST
田巻 一彦
[東京 11日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁の10日の為替発言が波紋を呼んでいるが、もし、この発言がなければ、ドル/円JPY=EBSは短期間に130円台に乗せた可能性がある。また、さらに円安が進み、「管理不能」の印象を与えたかもしれない。その結果、円安から輸入物価の上昇というルートで値上がりが広がり、今年後半の個人消費を冷え込ませるシナリオの実現性が高まっただろう。黒田発言の真意は不明だが、このシナリオを封じ込めたのではないか。
<寝耳に水だった市場>
外為市場にとって、黒田総裁の発言は「寝耳に水」だったようだ。「実質実効レートで見て、かなり円安になっているのは事実」「実質実効レートがさらに円安になるのは、普通に考えればありそうにない」「これまで円安が経済にプラスだったから、さらなる円安でさらにプラスということではない」との発言を受け、直近のドル高値から3円近く急落した。
黒田総裁の発言に対し、甘利明経済再生相は10日の会見で「黒田バズーカ第3弾ではない」と事態の鎮静化に努めた。ただ、外為市場では125円が「黒田ライン」と意識され、上値が重くなったとの声が広がっているようだ。
<市場にあった130円台の観測>
黒田総裁の発言の真意は今のところ不明だが、もし、この発言がなければ、外為市場を起点にマーケットはどうなったのか、その結果として日本や世界全体の経済はどのような方向に進んだのか想定するのも、意味があることだと考える。
なぜなら、そのケースを予想することで、黒田発言が結果として果たした効果を分析し、その点から黒田総裁の真意を推し量ることが可能だからだ。
外為市場関係者の見方を総合すると、もし、黒田発言がなければ、日米金融政策の方向性の違いという「万人が認識できる」現象を材料に、ドル高/円安が年内いっぱい進んだ公算が大きい。
チャートを重視する立場の見方からは、126円台にドルが乗せると、130円までは大きな障害がなく、米利上げ/日本の追加緩和という構図が継続する限り、ドルを押し上げる力が継続すると見られていた。ドル高の力を重視する声の中には、年内に135円まで上がるとの見通しもあった。
<現実味があった140円>
市場には、米連邦準備理事会(FRB)が9月ないし12月に利上げするとの見方が7−8割を占めている。もし、8月までに130円近辺までドル高が進んだ場合、「140円もあると市場の一部では言われていたのではないか」(外資系証券)との声もある。140円となれば、米国内でも「円安批判」が沸騰しかねないし、日本国内でも輸出にリンクしない地方経済や中小企業のコスト負担が重くのしかかる。
それでも円安が進めば、当局がコントロールできない「管理不能相場」と市場が見なす危険性が出てくる。
野球でも「ノーコン」は試合をぶち壊すが、為替の場合の破壊力は、当初の想定を超えて日米だけでなく世界経済に打撃を与えかねない。
<円安と物価上昇の先にあるもの>
また、130円超の円安は、国内物価にも一定のタイムラグを伴って大きな影響を与えることになる。最も深刻なのは、輸入品を中心に物価が急速に上がり出すことだ。特に日常生活に密接な食品価格が、目に見えて上がる可能性がある。
日銀が目標とする2%の物価上昇は、実現まで「指呼の間」ということになるかもしれない。しかし、4月にようやく実質賃金が前年比プラス0.1%と水面上に出てきた現状で、物価が先行して大幅に上がれば、個人消費を冷やしかねない。
実際、黒田総裁は10日の衆院財務金融委での質疑で「物価2%が達成できれば、実体経済はどうなってもいいということではない」と述べている。
賃金微増/物価急上昇による個人消費の停滞は、日銀にとっても回避したいシナリオに違いない。
さらにドル高は米経済を冷え込ませるという結果が、米当局の試算で明らかになっているようだ。それによると、ドルが対主要通貨に対して10%上昇すると、米国の国内総生産(GDP)を3年間累計で0.9%押し下げるという。民間調査機関の試算の1つでは、10%のドル高でGDPを0.7%押し下げるとの結果もあるという。
ドル/円が130円台に上昇すれば、米国内で保護主義的な世論が形成され、米下院で審議中の環太平洋連携協定(TPP)交渉に関する大統領への権限移譲法案(TPA)の行方にも影響を与えかねない。
ここまで想定してきたシナリオの実現可能性を「黒田発言」は、当面は封じ込めることに成功したのではないか。それは、日銀の政策選択に「フリーハンド」の余地を与える結果にもなるだろう。
黒田総裁は、今回の発言を質問されれば「市場が曲解した」と発言するかもしれないが、大きなインパクトが発生したことは間違いない。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OR0AL20150611
焦点:ゼロ金利とQEに「賞味期限切れ」の声、バブルや格差懸念
2015年 06月 11日 14:48 JST
[ロンドン 10日 ロイター] - ゼロ金利政策や量的緩和(QE)の効果は賞味期限が過ぎた──。資産バブルや格差を心配する有力銀行幹部や専門家、エコノミストらはこう口をそろえている。
主要中央銀行が政策金利をゼロ近傍に引き下げ、紙幣を増発し、債券を購入するという異例の金融政策は今や、メリットよりも問題を引き起こしている側面が大きいとの見方が広がっている。
信用環境を極めて緩くすることやQEは、その波及効果と市場を歪める副作用をすべて考慮に入れた場合、金融システムへのショックや信用収縮、デフレの脅威に対する処方せんとして適切だったという点に疑いを抱く人はほとんど存在しない。
だがこうした対応策を称賛した向きでさえも、もう当初の政策的な役割はほとんど終了し、現状では別の害悪をまん延させつつあると感じている。
ある大手英銀幹部はロイターに対して「これほど長く低い金利を続けるのは間違っている。自己満足感をはびこらせ、社会の不平等をもたらしているからだ。QEは実施すべき政策だったが、(今は)ゼロ金利に違和感を持っている」と語った。
この考え方は中央銀行や金融監督当局の関係者にも幅広く共有されており、彼らの間にはインフレ・ターゲティングを掲げる各中銀が昨年の原油価格急落に起因する物価上昇率のヘッドライン下振れのために、あまりにも杓子定規に超低金利をさらに継続させてしまったのではないか、といった不安がある。
超低金利の長期化で懸念されているのは、新たな経済危機や金融市場のショックに対処する金融政策手段がないことや、これまでの大規模緩和で債券と株式の価格がともに経済成長に見合わない形で歴史的高水準に達して不安定化していることだ。
もしも資産価格が実体経済を見失っているとすれば、思い出させる作業を遅らせるよりも早めた方が恐らくは良いだろう。
米パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(ピムコ)の債券担当最高投資責任者、アンドリュー・ボールズ氏は「市場を落ち着かせようとしていたり、極度のマクロリスクについて心配しているなら、QEはうまく機能する」と指摘する一方、「経済成長や物価に微調整を加えたいなら、QEはかなりの『なまくら刀』であることが分かる」と話す。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁でさえ、先週にはゼロ近傍にあったドイツ10年国債が急上昇した事態について、投資家が慣れる必要があると発言して、ECBのQEが続くことが単純に最大限の国債買い入れにはつながらないことを示唆した。
<格差増幅への批判>
もっとも人々の間で議論を巻き起こし、政策転換に向けた政治圧力を高まらせているのはゼロ金利とQEが資産格差を一段と拡大させているのではないかとの懸念だ。
金融緩和は初めのうちこそ雇用を安定化させてから増やすことで労働者を支えていたが、同時に株式と債券、不動産という最富裕層が主に所有する資産価値を持続的に押し上げ、特に財政支出が切り詰められる中では富の偏在を増幅させている、との見方が多い。
さらにノーベル経済学賞の受賞者のジョゼフ・スティグリッツ氏が手掛けた最新の格差拡大に関する調査研究で、株式や不動産は中間層よりも最富裕層に保有される傾向が強いため、QEが最富裕層の資産を大きく伸ばしたと分析した。年金運用絡みの債券投資からの収入が貯蓄の主要部分を占める中間層は、QEで債券の利回りとリターンが目減りしてしまったという。
例えば2012年以降で、株式投資の総リターンは50%増えているが債券は横ばいだ。モルガン・スタンレーなどが富豪投資家を対象に今年実施した調査では、こうした投資家の資産構成で株式や不動産、オルタナティブ資産は全体の半分から3分の2前後を占め、債券とキャッシュは30%弱だった。
(Mike Dolan記者)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OR0DF20150611
ドル123円前半、日銀と政府で円安許容姿勢にズレ
2015年 06月 11日 15:46 JST
[東京 11日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク午後5時時点に比べドル高/円安の123円前半。前日の黒田ショックから一夜明けたこの日は、昨夜に引き続いて政府筋から、前日の黒田総裁発言を修正する趣旨の発言がなされ、小幅ながらもドル買戻しを誘った。
ドルは早朝一時122.63円まで下押ししたが、122円台後半では、出遅れていた国内の輸出企業からの打診買いも流入したという。ただ、「仕掛け的な買いが入っている感じではない。昨日の動きが落ち着くにはもう少し時間がかかる」(信託銀行)との声が出ていた。前日、甘利明経済財政担当大臣の火消し発言後に付けた123.35円が上値として意識されるなか、きょう午後3時までの高値は123.34円だった。
今夜は重要指標である米小売売上高の発表を控えており、良い内容となってこの水準を抜けてくれば「ドル/円の調整は一時的との雰囲気が広がりそうだ」(同)という。
<政府と日銀で円安許容姿勢にズレ>
市場参加者の間では「日銀と政府の間で円安許容姿勢にズレが生じている」(国内証券)との指摘が複数出ていた。
時系列に出来事を追えば、10日午後、黒田日銀総裁が衆院財務金融委員会で、「実質実効為替レートではかなりの円安水準になっている」、「実質実効為替レートがここまで来ているということは、ここからさらに円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」と発言した。
同発言を受けドル/円は急落した。
その後10日夕刻の会見で、菅義偉官房長官が、黒田発言について「総裁自身の責任の下で発言した」と指摘し、距離を置くスタンスをみせた。
同日夜、甘利明経済財政担当相は、黒田発言について「私からは特段コメントしない」としたうえで、「あれは『黒田バズーカ』第3弾ではない。趣旨が若干、曲解されて市場に伝わったようだ」との認識を示し、ドル/円は123.35円まで反発した。
市場関係者の間では「黒田発言は、G7会議やその後否定されたがドル高に関するオバマ発言の流れの一環として出てきているのではないか。一方で、政府は、なんらかの理由で情報が遮断され、その流れを正確に把握していないのではないか」(前出の国内証券)との意見も出ている。
ダウジョーンズはこの日、政府筋を引用し、黒田総裁の発言は安倍政権の見解を表したものではない、と報じた。同発言を「慎重さにかける」ものと表現した。
同報道により、ドルは123円付近から123円台前半で強含む展開となった。
<豪ドルが上昇、NZドルは下落>
オーストラリア連邦統計局が発表した5月雇用統計が強い内容だったことを受け、豪ドルが買われた。
就業者数は前月比4万2000人増と、ロイターがまとめた市場予想の1万1000人増を大幅に上回ったほか、失業率も6.0%となり、予想の6.2%を下回った。指標発表を受け、豪ドル/米ドルは0.7711米ドル付近から一時0.7793米ドルまで上昇した。
豪ドル買い/米ドル売りのドル売りの流れが波及し、ドル/円も一時122.86円まで下押しした。
一方、NZドルは、ニュージーランド準備銀行(RBNZ、中央銀行)が予想外の利上げを決定したことを受け下落した。RBNZは声明で、一段の金融緩和が適切になる可能性があるとの認識を示した。
ロイターがまとめたエコノミスト調査では、15人中10人が金利据え置きを予想しており、NZドル/米ドルは0.7180米ドル付近から一時0.7018米ドルまで下げ、2010年9月以来、4年9カ月ぶりの安値をつけた。
ドル/円JPY= ユーロ/ドルEUR= ユーロ/円EURJPY=
午後3時現在 123.18/20 1.1301/05 139.22/26
午前9時現在 122.87/89 1.1308/12 138.95/99
NY午後5時 122.68/70 1.1323/25 138.91/95
(為替マーケットチーム)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OR0H220150611
- アベノミクスの出口戦略、高橋是清にみる危うさ 黒田日銀総裁の為替発言は「不用意」=関係筋 rei 2015/6/11 19:38:08
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