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中国が株式バブルを膨らませている理由 投資主導の高度成長からの転換期、バブルを助長する狙いは・・・(Financial)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/567.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 11 日 00:35:20: igsppGRN/E9PQ
 

            中国の株式バブルには、他のバブルと違う点が1つあるという (c) Can Stock Photo


中国が株式バブルを膨らませている理由 投資主導の高度成長からの転換期、バブルを助長する狙いは・・・
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44008
2015.6.11  Financial Times JBpress


(2015年6月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


 バブルはいろいろな形で現れる。しかし、興味深いのは、容易でない経済の移行を推進しようとする時に副産物として発生するケースが非常に多いことだ。実際、1920年代末期の米国株式市場の上昇は、それまで英国が担っていた世界の覇権国としての役割を引き継ぐ方向に米国がよろよろと歩みを進めていた時期のことだった。

 1980年代の日本で不動産・株式バブルが発生したのも、先進国に追いつく局面では非常によく機能した輸出主導の成長モデルが経済大国になったことで有効性を失った時のことだった。

 今日の中国も同じである。最初に発生した不動産バブルと始まって間もない株式バブルは、投資主導の経済成長から消費の比重が大きい経済成長に移行しなければならない経済における不均衡と大いに関係がある。

 そのような移行は容易ではない。なぜなら、既得権益と衝突するからだ。

■あえて投資家を煽る中国当局

 中国の地方政府の幹部たちは、インフラ整備投資の資金調達が簡単に行えることやそれに伴う土地の収用から大きな利益を手にしてきた。国有企業も同じ甘い汁を吸ってきた。公的セクターには、現在の仕組みがとてつもなく心地よいと考えている者がどの階層にもいる。また、効果的な移行のカギである自由化は、共産党の権力を侵食するだけだ。

 改革が必要だと見ている共産党幹部たちは、中国経済の最近の停滞がもたらす別の困難にも直面している。共産党は高い経済成長を達成することでその正統性を確保しているため、幹部たちはプレッシャーを感じているのだ。

 この問題は、生産能力の余剰に苦しむ産業やインフラ整備事業に資金を投入すれば簡単に解決できる。ただそのためには、バブルを発生させ、国の借金をさらに積み上げ、オーストリア学派の経済学者が言う「マルインベストメント(誤投資)」に大量の資源を振り向けるというコストを払わねばならない。

 しかし、中国大陸の株式市場の盛り上がりが尋常でないところが1つある。これは政策の意図せざる結果などではない。当局は、極端に割高なバリュエーションを正当化する記事を国営の新聞に掲載させ、投資家を煽っているのだ。

 中国人民銀行(中央銀行)は利下げに余念がない。その効果はてきめんだ。世界の大手銀行のクラブである国際金融協会(IIF)によれば、中国の個人投資家の信用買いによる株式投資は今年に入って85%近く増加し、4000億ドルという記録的な水準に達しているという。

 なぜ北京のあのチャーミングな幹部たちはバブルを助長したがるのだろうか。読者はそんな疑問を抱くかもしれない。

 投資ブームの結果、今日では多くの国有企業が赤字になっている。その一方で、国有銀行は過大な貸出を行ってきた。当局は現在、契約どおりの返済が見込めないにもかかわらず、さらに貸出を行うよう銀行に促している。

■狙いは国有企業の資本再構成

 追い貸しをして問題がないふりをする――この危険なゲームからリスクを取り除く最も分かりやすい方法は、国有企業セクターの資本再構成である。バブルで企業価値が過大に評価されていれば、そうでない場合よりも容易かつ安価に行えるだろう。

 また、外国人投資家による中国本土A株市場への投資は今よりも行いやすくなりそうだ。中国の資金が外国に流れ出ている一方で、外国人は中国市場への投資解禁を強く望んでいる。調査会社EPFRによれば、外国の機関投資家がこのところ敬遠してきた市場への警戒感は弱り始めているという。

 米国の株価指数算出会社MSCIが算出する新興国株指数に中国本土A株を組み入れるべきか否かという議論があることは、MSCIがどんな決定を今週下すかに関係なく、中国株市場に投資せざるを得ない投資家が近々増えることを示唆している。北京の当局者にしてみれば、これは願ってもないことだ。

■世界最大の企業統治危機を抱える国

 この議論はまた、パッシブ運用が悪行を働く人々に報酬を与えてしまう可能性があることも示している。何と言っても中国は、世界最大のコーポレートガバナンス(企業統治)危機を抱える国なのだ。

 この国では、誠実な会計処理が行われるようにするための証券法が執行されていないこと、国有企業で利益相反が横行していること、関連当事者との取引が悪用されていること、財産権の制度に深刻な欠陥があることなどが数々のスキャンダルの発生で浮き彫りにされている。

 中国本土A株を組み入れたインデックスファンドに投資する投資家は、本当に価値のない企業にも投資してしまうことになるだろう。そうした企業が増資を行えば、その投資の割合はさらに大きくなってしまう。追い貸しをして問題がないふりをするゲームは、毒入りの小包を順々に手渡すゲームに変わっていくのだ。

 西側諸国ではこれまで、中国のバブル収縮の可能性はほとんど懸念されてこなかった。バブルの原資は中国国内の貯蓄だったからだ。

 しかし、この構図は変わりつつある。自由化が進むにつれ、中国のバブル収縮の影響が伝染し得る範囲も拡大していくことになる。中国と先進国市場は、金融の面で今まで以上に気詰まりな関係になっていきそうだ。


 

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