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5月22日の講演の中で、イエレンFRB議長は年内利上げの可能性をこれまで以上に明確に示した Photo:AP/アフロ
一時125円台の急激な円安で日本の消費マインド悪化の恐れ
http://diamond.jp/articles/-/72803
2015年6月10日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
5月22日にジャネット・イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が年内のゼロ金利解除(リフトオフ)実施の可能性を示唆して以来、円安が急速に進んだ。6月2日には一時125円台に乗った。
米国は利上げ、日本は量的質的金融緩和策(QQE)の継続となれば、日米金利差拡大の思惑から円安ドル高は起きやすくなる。しかし、イエレン議長らFRB主流派幹部が市場に発しているメッセージは、実はそれほどタカ派的ではない。FRBが最初の利上げを決断するハードルは市場の予想よりも低いかもしれないが、2回目以降の利上げは慎重に行われる、と彼らはアピールしている。
週刊ダイヤモンド5月30日号でも触れたが、中央銀行の金利引き上げで着目すべきポイントは、(1)1回目の利上げのタイミング、(2)その後の利上げの速さ、(3)金利の最終的な水準、という3点にある。
(1)がやや早くても(2)や(3)に関してFRBが慎重であるなら、日米金利差の開き方はゆっくりとなる。FRBは米国のインフレ率が目標の2%に達するのはかなり先とみており、過熱感が顕在化しないならば、急ピッチの利上げを行う必要はないと考えている。
実際、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の動きを織り込むFF先物市場は、そういったFRBのメッセージをある程度受け止めた金利予想を示している。2016年12月のFF金利は、今年3月末時点では1.09%程度と予想されていた(4回分の利上げが織り込まれたイメージ)。そのときのドル円レートは119.9円程度だった。
一方、6月2日時点の16年12月のFF金利の予想も横ばいの1.09%である。冒頭のイエレン発言の後でも市場の金利引き上げの織り込み方は変化していない。それにもかかわらず、為替レートは5円も円安に振れた。ちぐはぐなことが起きているといえる。4月下旬から5月上旬にかけてのドイツ国債の金利急騰でやけどした海外ファンド勢が、円売り・日本株買いのトレードで稼ごうとしているといったうわさも聞こえる。
そして、この足元で起きている急激な円安が、低中所得者(数の上ではマジョリティ)の消費マインドを悪化させる恐れがある点には注意が必要だ。これまでもそうだったが、円安による食品価格の上昇は、エンゲル係数が相対的に高い家計に打撃を及ぼすからだ。
消費者のマインドを上向かせる好材料は数多く存在する。大幅に下落したガソリン価格、大企業の製造業を中心に増加が見込まれる給料・ボーナス、17年春へと先送りされた消費税率引き上げ、昨年と異なって今年はわずかだが増加する年金支給額、インフレ率低下による実質所得の増加、株価上昇による資産効果などである。今後は消費の回復がより見えてきても本来はよいはずである。
ところが、日本の消費は全体としては緩やかに回復しつつあるが、その勢いに力強さがまだ表れていない。博報堂生活総合研究所が発表した6月の消費意欲指数も、例年であればボーナス月のために上向くはずなのに、今年は前月比で下落した。昨年、一昨年と比較しても低い水準だ。
日経平均株価の構成銘柄における製造業の比率は、GDPにおける製造業の比率よりもはるかに高い。よって、円安と日経平均株価上昇のスパイラルが続いても、実体経済はそれについていけない、といった事態がより顕在化する可能性がある。
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