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苦境を脱することはできるか
ヤマダ電機とイオンが同時に苦境に陥った4つの理由
http://news.livedoor.com/article/detail/10211493/
2015年6月9日 18時45分 All About
■ヤマダ電機とイオンの現在
家電最大手のヤマダ電機が、地方や郊外店を中心に46店舗の閉鎖を発表した。一部は改装に伴う一時閉店、他業態への変更もあるが37店は完全閉店となる。ヤマダ電機は地方や郊外を中心に積極的に出店を進めるほか、2012年にベスト電器を子会社化するなどして約1000店舗を全国に持つが、そのビジネスモデルを変更せざるを得ない状況になったということだ。売り上げもピーク時には約2兆円あったが、2015年3月期には1兆6000億円まで減少している。
一方、小売最大手のイオンも苦戦している。イオンには規模の違いはあれど、どの土地にいっても同じようなテナント、同じような品物が揃っている。そして、イオンが出店するとその街の商店街が廃れると言われるほど、街の生態系を変えてしまう力を持っていた。
例えば、沿岸部から遠い石巻のイオンは、その便利さゆえに地域で今もっとも人気のエリアになっているという。石和温泉のイオンはほとんど店のない駅前に立っている。
幕張新都心のイオンモールの巨大さは、あのコストコがとても小さく見えるほどの存在感がある。日の出町(西多摩)のイオンモールも、周りには低層の住宅ばかりの場所に存在感たっぷりに構えている。だが、そのイオンの成長にも陰りが見え始めているというのだ。
■ヤマダとイオンが苦戦する4つの理由
ヤマダ電機も、イオンもほんの2、3年前までは飛ぶ鳥を落とす勢いだった。それが今、苦境に追い込まれている理由は4つに集約される。
まず1つ目は「グロスメリットが出せなくなってきたこと」だ。ヤマダもイオンも拡大戦略を取ることで、より多くの販売量を達成することに力を入れてきた。大量の商品を作ったり納入したりすることで、低価格というメリットを生み出してきた。
ところがヤマダ電機の山田昇社長も発言しているように、ヤマダ電機は出店余地がないほど店舗拡大をしてしまった。これ以上、拡大しようがないのだからグロスメリットも出しにくくなってきたのだ。
2つ目は「地方の不振」だ。ヤマダ電機やイオンは地方や郊外店を重視した戦略を取ってきた。しかし、今は都市部のほうが好調だ。
例えば、ヤマダ電機とはライバル関係であるヨドバシカメラやビックカメラなどは、都心部の駅近に店舗を構えている。イオンのライバルとは言えないが、都心部ではJRも地下鉄も駅ナカの施設を充実させ好調だ。駅ナカは安いものばかりではないが、カフェもレストランも食品も化粧品も好調のようだ。
家電量販店の売り上げを見ても、2015年の1〜3月は前年比25%マイナスだが、都心部だけ見れば中国人観光客を中心に売り上げはプラスのようだ。
私もヨドバシカメラ、ビックカメラ、銀座のラオックスなどを視察したが、近くを歩くほぼすべての観光客が購入した電化製品を両手に抱えている光景を目の当たりにした。また、レジに行列を作り数十万円を次々に支払っている様子も見られた。地方・郊外を中心に46店舗の閉鎖を発表したヤマダ電機も、外国人観光客向けに都心部の店舗を強化する方針を一方で打ち出している。
3つ目は「品質面での改良スピードの遅さ」だ。ヤマダ電機もイオンも、大規模集客力による低価格が売りだが、商品やサービスがライバルと比べて優れているとは言い切れない。消費者にヒアリングをすると、オープン当初や安く買いたい場合は行くが、それ以外の場合には競合店に行くという人が少なくない。
4つ目は「消費者から飽きられてしまったということ」だ。消費者の趣味嗜好は多様化している。流行りすたりのサイクルも短期化している。商品やサービスが話題になっても、そのブームはすぐに去っていってしまう。
以上の4つがヤマダ電機とイオンに共通する不振の理由なのだ。
【参考】完全閉鎖の37店舗の地域別内訳 北海道 2店舗、東北9店舗、茨城7店舗、埼玉1店舗、東京2店舗(多摩センター、江東潮見)、北陸2店舗、中部4店舗、近畿6店舗、中国3店舗、四国1店舗
■ヤマダ電機とイオンが復調するヒント
苦境にあるヤマダ電機とイオンは復活できるのだろうか。その鍵は「製品」にある。
マーケティングの基礎理論に4Pというものがある。Product、Price、Place、Promotionの頭文字を合わせたものだ 。Productは製品、Priceは価格、Placeは流通・店舗、Promotionは宣伝販促と考えてもらえば良い。
実はヤマダ電機もイオンもProduct以外の3Pは競合と比べて相対的に優位にある。ヤマダ電機とイオンにとっての課題はProductだ。ヤマダ電機は競合と比べて安い印象が強く、実際に安い商品もあるのだが、やや旬が過ぎたものだったり、展示品在庫だったりすることも少なくない。その他の商品を見てみると、実は安くないという商品もあるのだ。
一方のイオンは、PB(プライベートブランド)を中心に安い商品が多いのだが、競合と比較して、とりたてて質が高いということをメインコンセプトにしているわけではない。つまり、ヤマダ電機とイオンに共通する大きな課題とは、消費者が欲しいと思える商品を置けるかどうかにあるのだ。
■セブン-イレブンと日清食品の成功例が参考に
業界は変わるが参考例を紹介したい。コンビニ大手セブン-イレブンはPBに力を入れている。それは低価格を追求するものばかりではない。日清食品へのPB依頼の際には、価格を気にせずNB(ナショナルブランド)よりも質の良いものを作ってほしいと伝えている。
日清食品は相場よりも高い商品を開発し、セブン-イレブンのPBとして発売することになった。結果としてセブン-イレブンにおける日清食品のシェアが高まっただけでなく、セブン-イレブン向けの売り上げは10%増えたのだ。
圧倒的なPlace(販売店網)が確立されている販売店で販売する場合、宣伝費をかけず材料費に力を入れることで、より品質の良いものを提供することができる。今の消費者には、多少高くても話題性や魅力ある商品なら一度は食べてみよう、試してみようというマインドを持つ人が多くいる。
最初はトライアル的に試してみた消費者が、その品質の良さに納得し、リピーターになるという仕組みが生まれる。ヤマダ電機にしてもイオンにしても、競合と比べてPlace(販売店網)は強い。つまり、セブン-イレブンと同様、より質の高い商品を提供する仕組みを持てる可能性があるのだ。
宣伝をしない分、魅力ある商品開発やラインナップに力を入れる。セブン-イレブンと日清食品の成功例は、ヤマダ電機とイオンが復活をする上でのヒントになるのではないだろうか。
【マーケティングガイド:新井 庸志】
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