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豊田章男トヨタ社長
トヨタ、比類なき“学習意欲” 「尖ったマツダならではのモノ」を吸収し弱み克服
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150609-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 6月9日(火)6時0分配信
●トヨタとマツダが異例な包括提携
5月13日、トヨタ自動車とマツダが業務提携に関して共同記者発表を行った。今回の提携の狙いは、「車が持つ魅力をさらに高めていく」ことを念頭においた、両者の経営資源の活用、商品・技術の補完などにあるという。
トヨタとマツダが提携するのは決して初めてではない。古くは1970年代に排ガス対策としてのロータリーエンジンの技術に魅力を感じたトヨタがマツダと提携しているし、最近ではハイブリッド技術に魅力を感じたマツダと、ファミリーカーづくりに力を入れていたトヨタは、これらの領域での提携をしている。
しかし今回の提携が異例なのは、これまでの提携のような特定の領域における「ギブとテイクの関係」が明確でないことだ。筆者の知る限り、自動車メーカーがこのような包括的な提携を、資本関係抜きで実施することは極めて珍しい。
本稿では、この提携に関して筆者なりの解釈を述べてみたい。
提携のキーワードは「学習」である。一言でいえば「学習のための提携」である。世界をあっと言わせる商品企画・開発力、技術開発力を得意とするマツダと、生産技術、ものづくりを得意とするトヨタが、お互いの得意能力で補完し合うことを構想しているのだろう。
口の悪いジャーナリストが次のようなことを言っている。すなわち「スポーツカー好きの豊田章男社長が、富士重工業(スバル)との提携で実現したトヨタ86(スバルブランドはBRZ)と同様に、マツダの世界的名作ロードスターをトヨタに持ってきたいのではないか」と。しかし、それは少しうがった見方である。
●トヨタが学ぼうとしているポイント
生産台数も品質も世界一といわれながら、トヨタのソフト面における商品力は世界的に見て決して高いとはいえない。無難だし、安心な商品をきちんと生産するトヨタだからこそ、世界最大の販売台数となるのだが、率直に言って面白味のある商品が少ないように感じる。
それに対して、マツダはやや尖った魅力を持つ商品や技術で勝負している。従来型エンジンのモデファイや軽量化だけで、ハイブリッドに負けない高燃費をたたき出したスカイアクティブ技術は、マツダらしいきめの細かい技術の積み重ねの成果である。
また、好き嫌いは分かれるものの、躍動感やメリハリのあるマツダらしいデザインは、市場の最大部分を狙うトヨタには真似ができないものだろう。このような基本的な商品力、技術力を有するゆえに、ドイツをはじめとしたヨーロッパ市場でマツダの存在感は日本で想像する以上に大きい。ここにトヨタは学ぶポイントがあるはずである。
このように考えると、この提携で大きな利益を得るのは、むしろトヨタのほうではないだろうか。フォードと提携以降、そしてその解消後も、ブランドコンセプトの明確化、デザインなどのソフト面と、エンジン、ボディ、シャーシーという車の基本中の基本といえるハード面で、「マツダならではのモノ」を構築してきた。
●もう一つの、マツダならではのハード技術
さらにトヨタがメリットを受けるのは、開発生産方式のアイデアの学習である。
実はマツダはマツダならではのモジュール生産方式を、2006年以来追求している。標準モジュールであるコモン・アーキテクチャーを中心に、多様な車種を「群として」、つまりアクセラ、アテンザ、CX-5などの多様な車種を「一括企画する」開発方式である。
全車種搭載を前提にした標準モジュールをまず開発し、これを個別車種に展開していくという考え方である。これにより開発が効率化するだけでなく、生産も、販売後のサービスも効率化が可能である。
この方式は、車種の多いトヨタでは採用できないとの声ももちろんある。またトヨタが追求しているTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)と呼ぶ、新たな開発生産方式とはかなり異なるアプローチである。しかし、これを学ぶことはトヨタのTNGAの確立に大きなメリットがあると、筆者は注目している。
●おわりに
前述のとおり、今回の提携をスポーツカー好きの豊田社長の思い付きのように言う声があるが、まったく間違っている。トヨタという会社は、本質を見る力のある会社である。自社の弱みを明確に意識しており、それをいかに克服するかを考えて行動している。今回の提携もそのような行動の一環であることを再度強調したい。
(文=井上隆一郎/東京都市大学都市生活学部教授)
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