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(回答先: 欧州の銀行、マイナス金利の「あべこべ」の世界 スイスの年金基金は預金の大量引き出しを検討 転機を迎える世界の債券市場 投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 08 日 13:55:49)
マイナス金利、欧州債券市場への脅威とは
By MICHAEL J. CASEY
原文(英語)
2015 年 6 月 8 日 14:29 JST
ドラギECB総裁 kai pfaffenbach/Reuters
先週、欧州債券市場で見られた乱高下の背景にはさまざまな要因が考えられるが、その中でも特に油断できない危険なものとして挙げられるのが、誰も経験したことのないマイナス金利の存在だ。
マイナス金利は、預金に手数料を課すことにより金融システムの健全性を直接脅かす上、域内の中央銀行にとっては深刻な問題となる。事実、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が3日に市場の高い変動率(ボラティリティー)について懸念していないと表明した際、債券利回りが急上昇したが、その理由は、マイナス金利がもたらす恐れのある悪影響への懸念だったと考えられる。
ただ、この問題は中央銀行の政策、特にECBによるそれが直接的に生み出したものである。
報復的な金融政策のほか、ユーロ安に象徴される水面下の通貨戦争によって動きを封じられ、欧州では複数の中央銀行が中銀預金にマイナス金利を導入した。さらに、一部の商業銀行はこのコストを顧客の機関投資家などに、やはりマイナス金利の形で転嫁した。
こうした事態は前例のないものだ。実際、経済学者はかつて、「ゼロ金利下限を割り込むこと」は不可能だと考えていた。この前人未到の領域で悪影響が発生すると想像することは難しくない。このため、ドラギ総裁をはじめとする中央銀行関係者は、自らの政策で起きているこの状況について複雑な思いを抱いているかもしれない。一方で、中銀関係者は自国通貨安や信用緩和を求めているが、他方では市場に対し、債券利回りや預金金利の上昇にも動揺していないことを明らかにしている。
マイナス金利に関する最大の懸念は、ある時点で預金者が口座から預金を引き出し、タンス預金にしてしまう恐れがあることだ。機関投資家が金利を払ってスイスの銀行に預金するくらいなら、金利ゼロで現金として手元に持つ方がいいからだ。また、好都合なことにスイスフランには、最大で額面1000フラン(約13万円)の高額紙幣が存在する。
これまでのところ、こうした預金の流出は起きていない。だが、タンス預金という選択肢があるというだけで、預金者にとっては逃げ道が確保されていることになる。このためエコノミストの中には、各国の政府が将来、紙幣を廃止してデジタル通貨を発行する可能性があるとみる向きもある。これなら、取り付け騒ぎを引き起こすこともなく課税が可能となる。
転換点がどこにあるかは誰にも分からないが、マイナス金利で銀行に預金するコストは、どこかの水準で、現金の保管費用や不便さによるコストを上回るはずだ。この水準を超えた場合、システミックな危機が発生する可能性があるのは間違いない。
米コーネル大学教授でブルッキングス研究所のエコノミスト、エスワー・プラサド氏は「一部の中銀は、投資家や金融機関に対し、マイナス金利の国債や銀行預金から現金への移行を促しかねない状態に危険なほど接近している」と警告する。その理由として、ゼロ金利の方が、「国債保有の特典を理由に政府に金利を支払ったり、預金するという特典のため銀行に金利を支払ったりするという倒錯した状況よりも、実質的および心理的に好ましいからだ」という。
スウェーデン、デンマーク、スイスの金融当局はこれまでこうしたリスクについて、投資家がユーロから逃避する中で、為替レート上昇のため経済競争力が失われることと比較しつつ、注意すべきものとみなしてきた。これらの国の中銀は、資金流入を回避する目的でマイナス金利を導入してきた。ただ、ECBも中銀預金にマイナス0.2%の金利を課す一方、月額600億ユーロを費やして国債を購入し、夏には「量的緩和」の拡大に言及している中、ユーロ圏からの資金流出は続いている。
マイナス金利は、一部のマネーマーケット・ファンド(MMF)や保険会社にとって支払い能力の面で課題となる可能性が高い。こうした機関は通常、大規模な流動性預金を抱えており、低利回りの金融商品ではこの預金コストを十分カバーできない可能性がある。
投資運用会社TCWの債券マネジングディレクター、ブレット・バーカー氏は、これが一つの理由となって、中銀は「マイナス金利を永久に維持するわけにいかない」とした上で、「最終的には短期金融市場自体が崩壊を始めるだろう」と述べた。
また、経済見通しについても問題がある。金融政策の指針として中銀は計量経済学のモデルに依存しているが、こうしたモデルは金利、貯蓄、投資、貨幣供給量および貨幣の流通速度との間に予見可能な関連性があると想定している。しかし、マイナス金利の存在は想定していないのだ。
スタンダード・ライフ・インベストメンツの世界戦略部門ヘッド、アンドリュー・ミリガン氏によると、すでにマイナスの預金金利や利回りは「法律的契約のほか、会計や納税および信用について問題を生んでいる」一方、銀行に技術的課題を突きつけている。
ただ、金融システムはこれまでのところ生き延びている。また、幸運なことに、マイナス金利が今後、長期化するとも思えない。5日発表された5月の米雇用統計が強気の内容だったため、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ姿勢を維持している一方で、ユーロ圏の景気回復を背景に、ECBは金融緩和ペースを抑制する可能性が高い。こうした傾向を受けてドルとユーロが上昇し、スイスフランやスウェーデンクローナ、デンマーククローネが軟化するようなら、スイスやスウェーデン、デンマークの各中銀は利上げを開始するかもしれない。
その一方、投資家はマイナス金利への対応を学び、超低インフレのため小さくなっている利便性に対する合理的コストとして扱っているのかもしれない。
クレーン・データ・マネー・ファンド・インテリジェンスのピーター・クレーン氏が指摘するように、「預金して利息が得られるようになってまだ50年しかたっていない。王政下では数百年もの間、安全に資金を保管することに対し課税が行われたり銀行から課金されたりしてきた」のである。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QqQIwAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10913733382003054274504581034870575932348&ei=fS11Ve6fLYiJ8QWgm4GoBw&usg=AFQjCNG7m8Xfsu-CBM_gAjzCQ_lEygYpnA&sig2=-bbWQsEFcdmamWehDhKsww&bvm=bv.95039771,d.dGc
【コラム】IMFが米金融当局に異例の「助言」−エラリアン
2015/06/05 14:22 JST
【コラムニスト:Mohamed El-Erian】 (ブルームバーグ・ビュー):それは異例の「助言」だった。国際通貨基金(IMF)は4日、米金融当局に来年前半まで利上げを見送るよう呼び掛け、それは当然のごとく大きく報じられ、金融市場にも響いた。
IMF最大の出資国で世界第1の経済大国、基軸通貨ドルの発行国である米国の政策について、IMFがこれほど明確かつ具体的にコメントした例は珍しく、波紋は今後も続くだろう。
今回の出来事に関して4つ留意すべき点がある。まず、助言の内容自体は議論を呼ぶものであっても、対米年次経済審査の報告書という通常のチャンネルを通じて伝えられたことだ。
2番目にIMFのコメントは多くの面で異例だが、非常に不透明な米経済統計にもかかわらず、利上げ開始という極めて敏感な政策措置をめぐって具体的な時期に言及している部分が特筆すべきところだ。
米金融当局が場合によっては、短期的に2%の目標を上回るインフレ率を容認しても問題ないと示唆している点も注目される。
第3に金融市場が最初の利上げのタイミングに執着することがないよう、米金融当局者が一丸となって取り組んでいる中、IMFがそれに反して時期の問題を真っ向から取り上げたことで、結果的に相場の大きな変動を招くこととなった。
動機
最後にIMFの動機は次の3つの要因で説明できそうだ。最初に挙げられるのは、ほぼ全ての国々が加盟する国際金融機関の役割りに合致する形で、米金融当局の政策論議に国際的な知見を加えたいと望んだ可能性だ。これには米国発の金利ショックの荒波にさらされるには、世界経済があまりにも脆弱(ぜいじゃく)であることも含まれる。
また、ギリシャ問題で欧州連合(EU)に比較的厳しい姿勢で臨んだ手前、これまで政治的な目的のためにIMFを過度と言えるほど利用してきた主要出資国にはっきりものを言う姿勢を印象付けたいのかもしれない。
広く支持を集めているIMFの議決権改革をめぐり米議会が行動を起こさずにいる中で、IMFとして全ての加盟国に対して率直な姿勢で対応し得ることを強く示したかった可能性もある。
5月の米雇用統計を含め、新たな米経済指標が今後発表されるにつれて、IMFの米国への「助言」の影響は市場でも間違いなく薄れていくだろう。
だが、自国の政策上の問題にIMFがこれほど公然と発言する姿に慣れていない西側諸国の当局者の記憶には、新鮮なエピソードとして今後も残る公算が大きい。(モハメド・エラリアン)
(モハメド・エラリアン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:The IMF’s Unusual Rate Advice for the Fed: Mohamed A. El-Erian(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Mohamed El-Erian melerian@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Max Berley mberley@bloomberg.net
更新日時: 2015/06/05 14:22 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NPGFSN6S972E01.html
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