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イエレン議長の発言が金利上昇を招いた?
FRBは利上げのタイミングを逃したか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43638
2015年06月08日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
世界的に金利が大きく上昇している。6月5日発表された5月の米非農業部門雇用者数が予想22.6万人に対して28万人となり、米国の長期金利(10年物国債利回り)は一時、2.4%台に上昇した。欧州ではドラギ総裁が、「投資家は金利が大きく動きやすい状況に慣れる順応すべきだ」と述べ、欧州各国の金利が大きく上昇した。
一方、IMFは「米国の利上げは2016年前半まで待つべき」と指摘するなど、金利上昇をけん制する動きもある。ただし、株式などほかの金融市場の動向を見ても、今後、長期金利の変動率=ボラティリティ―が上昇するとみられる。金利は、世界経済にとって大きなリスク要因になる可能性が出てきた。
■金利急上昇の背景はなにか
足許の金利上昇について、金融市場では、様々な観測や憶測が出ている。欧州の景気回復期待、米FRBイエレン議長の発言、堅調に推移する米新規失業保険申請者数などはその一例だ。ただ、欧州、米国での景気の弱い面を考えると、これらの指摘は十分な説得力を持っているようには見えない。
おそらく、今回の金利上昇の背景にはECBの政策が影響しているとみるのが適正だろう。有体に言えば、“行き過ぎの反動”だ。ECBのQEを受けて、4月半ばドイツの長期金利は0.1%以下にまで低下した。一方、ドイツの景気自体は相対的には堅調だ。そのため、景気と金利の“体温差”が顕著になった。
3月以降、原油価格は50ドル割れの水準から60ドル台にまで上昇した。それもドイツの金利が低すぎるという見方を強めたはずだ。その結果、イエレン議長の発言なども材料視される形で世界的に金利が上昇した。
一方、ドラギECB総裁はユーロ圏経済が幾分減速したとの認識を示すとともに、ボラティリティの高い市場環境は当分続く可能性があると述べている。つまり、ECBは金利の大幅な変動を人為的に抑えるためにQEを変更することを考えてはいない。そのため、当分欧州の金利は上下に動きやすいだろう。
■FRBの利上げは可能か
そうした欧州の金利上昇が、米国の金利上昇ともつながっている。また、5月の雇用統計を見ても、FRBによる利上げ観測を高める要因になりやすい。6月の利上げが困難とみられる中、9月の利上げ期待は高まりやすいだろう。
一方、米国の景気状況を見る限り、昨年よりも回復の勢いは幾分減速している。S&P500指数の動きを見ても年初来の上昇率は2%程度と低調だ。雇用統計後には株価が大きく下落したことを踏まえると、株式市場は金融政策の引き締めに懸念を高めているようだ。
株価の上昇は景気先行きに対する期待の表れだといえる。それは利上げのショックを吸収する上で最も重要な前提条件の一つだが、その前提条件は失われつつあるのかもしれない。ここから示唆できることは、昨年のどこかのタイミングで利上げを実施すべきだったのではないかということだ。
金利の上昇は住宅ローンなどの負担増を通して、消費下振れの要因になる。足許では米社債市場、特に投資適格級未満の信用力の劣る債券の価格が安定している。利上げ、その後の金利リスクへの懸念から社債市場が大きく崩れるのであれば、景気への影響も大きくなるだろう。
そうした点を踏まえると、IMFの指摘を冷静に評価することは今後のリスクを考える上で重要だ。市場の見方とは裏腹に、利上げが景気に与える影響は大きくなっている可能性がある。それを考える上では、経済指標の動きに加え、社債市場など低金利の恩恵を受けてきた市場の動向にも注意が必要だろう。
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