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「エコノミスト・浜矩子氏インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/17542.html
2015/6/6 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
これより2015年5月30日、東京都内で行われた、岩上安身によるエコノミスト・浜矩子氏インタビューの模様を連投ツイートします。
岩上安身(以下、岩上)「安倍政権は、首相本人はボロボロにもかかわらず、官僚や財界に祭り上げられ、衰退する米国に日本を組み込んで『リバランス(肩代わり)』させるという政治的使命を担った政権ではないでしょうか」
岩上「軍事国家化(集団的自衛権)、改憲(人権停止)、主権喪失(TPP)。2年間で、これまでにないほど日本を米国に隷従させるのが目的だが、普通ではそんなことは実行できないので、手段としてのアベノミクスがある」
岩上「一時的な株高と内閣支持率の向上。これを日本の奴隷的属領への改造手段に用いて、ミッションが終われば崩れていく。私は今の経済と政治の関係を、このように見立てたのですが」
浜矩子氏(以下、浜氏)「安倍政権への疑念や怒りは同感です。ただ、安倍政権の歴史的ミッションとは、米国に組み込まれる程度では済まない。『大日本帝国の復元』なのだと思います」
浜氏「安倍首相は第1次安倍内閣の時から『戦後レジームからの脱却』と言っていますが、日米関係はまさに戦後レジーム。つまり、アメリカをも蹴散らして戦前に戻りたい、というのが本当のミッションではないでしょうか」
浜氏「米連邦議会での安倍首相のTPP関連の演説は、英語原稿と日本語訳とでニュアンスが違う。英文では『(TPPは)経済的利益を追求することに留まらず、長期的に見た戦略的価値は驚異的だ』としています」
浜氏「第二次世界大戦の反省から、通商協定に戦略性を持たせないことを戦後レジームの大原則にしたのに、安倍首相はこれを否定しようとしている。対米隷属に見えながら、もっと恐ろしいものが背後に横たわっていると思います」
浜氏「世界市場のぶん取り合戦が、武力を伴う衝突に発展する。戦前と同じ轍を踏もうとしています」
岩上「一方、軍事的には明らかに対米従属。航空自衛隊は米軍の下請けだったりする。それで国防軍と言えるのでしょうか」
岩上「安保条約をそのままに、憲法を変えることが『戦後レジームからの脱却』でしょうか。また、安倍首相はポツダム宣言を不承知だと言う。これは『私たちは戦争に負けていない』と宣言したと同然。国連の敵国条項の対象になりうる」
岩上「大手メディアは毎日のように好景気だと囃し立てています。円安になり、一定の期間が過ぎれば輸出数量が伸びることをJカーブ効果と言いますが、2014年度の貿易赤字は12兆円で過去最悪。どういうことなのですか」
浜氏「Jカーブ効果は、今の日本には効かない過去の遺物です。日本は輸入大国。これだけの成熟大国を維持するには世界中の物資に依存しなくてはならず、だからこそ、世界の国々と仲良くしていかなくてはなりません」
岩上「確かに株価は上昇していますが、実際は日銀やGPIFマネーの投入で作られた官製相場なのでしょうか」
浜氏「完全に官製相場。また、惨めなのは株価を上げることしかできないこと。官の側が相場に振り回される奴隷になっている」
岩上「一部上場企業の限られたサンプルで、賃金上昇だと言う。国民全体では23ヵ月連続で前年比減。2015年3月は2.6%減。これでは内需がよくなったとは言えません」
浜氏「物価上昇分を含めたら、もっと大きなマイナスです」
浜氏「2015年4月の家計消費もマイナス。賃金が上がっていないことの裏付けです。結局、富国強兵路線のための経済運営。アホノミクスで富国、憲法改正で強兵。富国は富民を意味せず、強兵に役立つ人たちが富むということです」
浜氏「経済活動とは人間の営み。人間を幸せにし、人権の礎であるべきなのに、今は『ムノウ(無能)ミクス』です」
岩上「第二次大戦と同じ、富国・貧民・強兵だ。今、社会保障費の支出削減で弱者に大きな影響が出ています」
岩上「2015年1月、生活保護受給世帯は過去最高の161万8817世帯に。受給者数は217万242人。トリクルダウン(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる)は全然、起きていませんよね」
浜氏「トリクルダウン自体がナンセンス。元々、馬に餌を多くやるとたくさん糞をするから周囲の雀はそれを食え、という19世紀の『馬と雀』政策を非難した言葉なのに、それを(政権が)平気で使う神経には本当に呆れます」
岩上「異次元金融緩和で日銀は、国債の買い支え、株価の押し上げ、円安誘導をやってきた。2013年3月、94兆円から113兆円へ、2014年12月には207兆円の国債を日銀は保有しています。この意味は、何なのでしょう?」
浜氏「ひとつは、日本銀行は政府専任の金貸し業者と化したことを、もうひとつは、これだけの不良債権を抱えたことを意味しており、破産に刻一刻と近づきつつある証明です」
岩上「日銀が破産したら、どうなるのですか?」
浜氏「中央銀行が破たんすると経済恐慌に陥ります。すべてがそこで止まる。経済活動のショック死です。すべての借金や売掛金は回収できず、すべての公共サービスは停止し、すべての銀行で取り付け騒ぎになるが預金は戻って来ない」
浜氏「物資が窮乏し、物々交換や闇市場の出現など大混迷に陥るでしょう。その後は配給制、統制経済になり、混乱を収めるための強権発動で、大日本帝国にたどり着く」
岩上「恐ろしいところに差し掛かっているのですね」
岩上「安倍政権の発足以来、マネタリーベース(日銀が供給する通貨)が急激に上昇し、2014年からは月々、前年比40%弱〜55%増。しかし、マネーストック(預金など)の前年伸び率は3%〜4%強。実体経済に何も寄与していない」
浜氏「日銀に民間銀行の預金残高ばかりが増え、その金で、また国債を買い増す近親相姦のような流れが形成されています。賃金はどんどん下がるばかりですが、株価が上がり、円安で売上げが膨らみ、正規社員にはボーナスも出る」
浜氏「日本経済は猛烈な二極分化を起こし、壊れたホットプレートの一部分だけが煮えたぎった状態なのです」
岩上「瞬間加熱エリアと永久凍土エリアに分化して、トリクルダウンは破綻する」
浜氏「永久凍土エリアは見捨てられます」
浜氏「強さや力に固執すると、こうなるのです。本当の力は腕力ではなく、皆で一緒にやっていく知恵であり、多様性から生まれる創造性や寛容さ。共生の生態系が一番強いのです」
岩上「国債の流動性低下も、株式押し上げの要因と言われますが」
浜氏「日銀のチーム・アホノミクスは、早い段階からリスク資産に対する投資を増やす金融政策で『貯蓄より投資』と謳っていました」
浜氏「少しでも国債金利が上がり始めたら、日銀の保有国債は大きな損失を被る。日経新聞に『日銀が自己資本比率を高める方向』とあり、アホノミクス崩壊に備え始めた。株価が下がり始めたら危険を察知した鼠が逃げ出し一貫の終わり」
岩上「日本の金融緩和(QE)は米国QE3兆3000億円の後始末では? バーナンキ米FRB議長は『実体経済に波及せず失敗に終った』と認め、2013年、QEの縮小を発表。2014年10月、イエレン議長の下でQE終了を決めました」
岩上「にもかかわらず、米国株式市場は高値を更新。なぜなら日本の異次元金融緩和が始まったから。バーナンキ氏は『複数の国が金融緩和を行なえば、お互いの利益になる』とスピーチしている。日本にQEをやれというサインでは?」
浜氏「日本側も2回目の異次元緩和をしたい時で、アメリカに恩を売り、日本の世論の批判もかわせた。またバーナンキ氏には、アンフェアなQEから脱する姿を世の中にアピールしたい、との思いもあったのではないでしょうか」
浜氏「日本の異次元緩和が米国の株価を維持するパターンは、リーマンショックと同じです。リーマンショックがなぜ、起こったか。当時は日本だけが量的緩和をやり、ゼロ金利。日本からの資金が米国に流れ、株や金融商品が買われました」
浜氏「つまり、日本発の金融恐慌だったのです。今回もそれと同じパターンで、アホノミクス恐慌です。バブルは必ず恐慌によって終わりますから」
岩上「皆さん、今日は大変なことを知りましたね。アホノミクス発の世界恐慌です」
岩上「『日本を取り戻す』で取り戻したのは経常収支赤字。2014年1月まで4ヵ月連続赤字で、それは円安による貿易赤字の拡大です。なぜでしょう?」
浜氏「円安で輸出が伸びるはずが違った。そもそも、日本は輸入依存だからです」
岩上「コールドスポットの住人は長期失業によるエンプロイアビリティ(雇われ力)が低下する。OECD調査で長期失業者の割合がリーマンショック直後の33%から、2011年第4四半期に44%と前例のない水準に。政策の責任ですね」
浜氏「民間は追いたてられ、生き残らなければならない。そこで政策が改善するのです。国家は国民のために奉仕するサービス産業。国民の人権、存在権が守られるために、一生懸命に奉仕するのが国家の役割です」
岩上「日経新聞は『1ドル=140円、株価2万2000円の現実味』と煽る。さらに、『1988年のバブル期以来の13日続伸の記録に再び迫る。海外マネーはこれまで出遅れた銘柄や業種を拾っているようだ』と書き立てる。ひどすぎます」
浜氏「バブル期に戻っちゃいけないんです」
岩上「日経は『ユーロ相場の投機マネーが本格的に円に向かえば、140円も絵空事ではない』『世界の株式市場は日本株独歩高の様相だ』と嬉しそうです。呆れますね」
浜氏「投機マネーは、必ず逃げるために入ってきます。前回のバブルは非正規雇用者もなく、終身雇用、年功序列の社会で起こった。日本経済は、今のような壊れたホットプレートではなかった。でも、新自由主義下のバブルは違います」
岩上「今、日本株の筆頭株主はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)。民主党の長妻昭衆議院議員が、リーマンショックと同様の損失想定額を質問したら、政府は約26兆円と回答しました。リーマン当時の損失額9.3兆円の約3倍です」
浜氏「そういう運用をGPIFが(年金積立金で)やるということは、公共財の私物化です。政府の予算も公共財。そして、憲法は最大の公共財です。政治家たちの私的野望のために利用するなど、もっともやってはいけないことです」
岩上「エコノミストの高橋乗宣氏は『株、円、国債のトリプル暴落はある』と断言しました」
浜氏「政府は異次元緩和は2%の物価上昇のためと明言したので、それを達成したら手を引かねばならない。買い手を失った国債は暴落します」
岩上「安倍政権の間に始末がつくのでしょうか。次の政権に付け回しをされたら……」
浜氏「反省ベクトルを持たない安倍政権では、決着はつけられないでしょう。次期政権が金融政策を正常に戻すことを国民にきちんと説明するしかない」
浜氏「アメリカ経済も、強い者を強くするためだけにやってきた結果、底の浅い狭い経済になりました。一度落ちた穴からは脱却できない。皆で支え合うなら脱出できるが、一部の腕力の強い者たちに頼っていては不可能です」
岩上「FRB議長を務めたグリーンスパン氏は『QE3は失敗』と公に宣言しました。『貧困格差を拡げる政策は大成功だったが、実体経済の需要増という最重要目標に関しては大失敗し、後始末はひどいことになる』とも述べています」
浜氏「トマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本』では、『国家の社会性が復元されなければいけない』と言っている。重要なメッセージだと思います。放っておくと希薄になってしまう社会性をしっかり守っていくべきです」
浜氏「その守り手としてのサービス事業者が、国だということを、今一度、見直す必要があります。国民が持つ権限の一部を国家に預け、国家は国民から付託されているという関係が、近代的で民主的な契約関係なのです」
岩上「国家は国民の上に君臨するものではなく、国民を支えるというのが立憲主義のあり方です。国民は、憲法で国家を制約する。今、これを憲法改正で逆転させようとしている。それは民主主義でも立憲主義でもありません」
岩上「また、日米以外の同盟国が全部参加したAIIBの衝撃がありました。米国のサマーズ元財務長官は、『米国は覇権国家の地位を失った』『この失敗はブレトンウッズ以降、思い当たらない』と発言しています」
岩上「基軸通貨と覇権の歴史を見ると、パックス・ブリタニカでは金(きん)がお金です。金本位制の下での安定と瓦解。パックス・アメリカーナはブレトンウッズ体制(世銀とIMF)の時代で、最後の金本位制だといいます」
岩上「他国の成長により、ドルで買う物がなくなると、米国の輸出型経済が崩壊する。国内内需拡大のため通貨供給を増やす。すると、対外収支が崩れて貿易赤字になり、ドルの信用が落ちるが、米国はそれでもドルを刷り続けた」
浜氏「戦争で世界中の金(きん)が安全なアメリカに集まりました。それを元にドルを刷っていたが明らかに超過し、金の取り付け騒ぎになった。耐えられなくなり、金本位制を廃止したのが1971年のニクソン・ショックです」
岩上「今、世界では『アメリカに預けた金(きん)を返せ』という声をよく聞く。ドイツも請求したが、大量なせいか敗戦国のためか、まだ返ってこない。日本もFRBにアメリカ国債や金を預けてある。返せと請求しないのでしょうか」
浜氏「プラザ合意の時に請求しておけば、まだ変わっていたかも知れない。そして、今回のAIIBをきっかけに中国に覇権が移るかと言えば、そうでもない。もう基軸通貨の時代ではありません。だからこそ、協調する必要があるのです」
岩上「先日、投資家のジョージ・ソロス氏は『中国が輸出でなく内需に経済の主軸を移したとき、新たな世界大戦のシナリオが現実のものとなる』『中国元にIMFの通貨バスケットの一部となることを許すことだ』と述べていますが……」
浜氏「SDR(IMFの特別引出権)の価値を支える通貨バスケットに、人民元を加えるという話ですね。そのためには、人民元も中国経済も大人にならないといけないし、中国を仲間に迎える側にも懐の広さが求められます」
浜氏「そうすれば、覇権国家なき時代を皆で支え合っていけるのではないか。世界大戦というのは、中国が内需主体になり、輸出に依存せずやっていける状態になると、対外的に気を遣わず過激な行動にも出られるという意味でしょう」
岩上「安倍政権の目指すところは『富国強兵』経済で、支持者たちは『善ではないが得だ』と考えている。しかし、GDPが縮小するような政策をやっていては戦争に勝てないし、大日本帝国もできない。『悪にして損をする』国家なのでは?」
浜氏「まったくその通り。安倍政権はやっていることの辻褄があっていません。『悪』は必ず『損』につながる。今さら、彼らを変えることはできないので、重要なのは、彼らにとんでもない所に連れて行かれないようにすることです」
岩上「彼らには政権の座から降りてもらい、まともな人に政権運営を任せて、苦しいけれど国家のあり方をわれわれが考えるしかない。だが、今国会では生活保護費引下げ、労働者派遣法改正案(生涯派遣法案)の成立が予定されています」
浜氏「大人の知性がちゃんと機能する状態を作っていくことです。現政権の人たちは幼児的凶暴性の塊ですからね。市民が責任を持って、常に政治家を見張って誘導しないといけない。しかし、株暴落は明日にでも起こるかもしれません」
これで、岩上安身によるエコノミスト・浜矩子氏インタビューの連投ツイートを終了します。
動画アーカイブは、こちらからご覧になれます。 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/247279 … @iwakamiyasumi
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