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土地柄? 葉山の「移住組」が馴染みやすい理由〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150606-00000001-sasahi-life
AERA 2015年6月1日号より抜粋
価値観の多様化が叫ばれて久しい。自分と同じ考え方の人を探すのは至難の業だ。しかしだからこそ、考えを同じくする人を見つけたときは、その仲間が何かを動かす大きな力になる。
相模湾に面した神奈川県葉山町。人口3万3千人、面積は東京都渋谷区よりも少し広い程度だが、海と山、自然豊かな環境がある。そんな場所で暮らしたい、子育てしたいと移り住んでくる家族が多い。
最初は「移住組」であるはずの人たちもいつしか交じり合ってしまうのは、葉山という場所の土地柄だろうか。
名店「ラ・マーレ・ド・茶屋」でシェフを務め、2012年に「ル・カナリ」をオープンした平田陽(ひでる)さん(54)は、「葉山の人がつながりやすいのは、この地が好きで、わざわざここを選んでいるから。少し話せば意気投合できるのです」という。
妻の奈緒子さん(41)の話は興味深い。
「葉山は、海が好きで子どもか犬がいるとより、人と人がつながりやすい町。私は東京生まれですが、子どもと毎日海に行っていました。私が料理教室を主宰したら、海で知り合った人たちが来てくれるようになりました」
かつての勤務先でマクロビオティックと出合い、8年前に料理教室を始めた。マクロビというとストイックなイメージを持つかもしれないが、「ほとんどの人は体にやさしい野菜料理を習う感覚で、“マクロビって何?”ぐらいの、ゆる〜い空気です。子どもには3歳までの食事が大切、というのが料理教室の原点なので、簡単で安全であれば、堅苦しく考えていません。それが広がった理由かもしれないですね」
子育てなどで制約をかかえながら、ミニマルビジネスを展開する女性が多いのも葉山の特徴だ。口コミで広がる分、人とのつながりを大切にしながら、手を抜かず、無理をせず、好きな仕事を続けていく。
「コッシーナ」のマツモトサオリさん(40)もそんな働き方をする一人。週1回、自家製弁当を販売している。店舗は持たず、友人から定休日の店を借りて営業。いまや25食が約3時間で完売するほどの人気になっている。
かつては街場の洋食店や沖縄料理店、社員食堂などで働いた。出産後、「料理がしたいとずっと思っていた」が、葉山芸術祭でグアテマラ料理を振る舞う仕事をしたことで得た仲間たちが、やがて彼女を支える人脈になる。
「その後も、芸術祭などのイベントだけでなく、ママ友との交流や行きつけの店など、いろんなコミュニティーの人と知り合う中で、つながりはどんどん広がりました」
狭い地域なので、コミュニティーが違っても共通の知り合いは多い。人脈がかけ算のように広がっていくのだ。普通、コミュニティーは閉鎖的になりがちだが、葉山では「友達の友達は皆友達」のような開放感がある。
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