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ソニー、知られざる凄まじい変貌と解体的改革 阻む社員やOBら「内なる敵」たちの愚行(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/358.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 05 日 07:47:05: igsppGRN/E9PQ
 

ソニー、知られざる凄まじい変貌と解体的改革 阻む社員やOBら「内なる敵」たちの愚行
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150605-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 6月5日(金)6時1分配信


 前回の本連載記事では業績V字回復が叫ばれるパナソニックの事業展開についての論考を行ったが、今回は依然として業績低迷にあえぐソニーの事業展開についてみていく。

●デジタル製品

 ソニーは技術に基礎を置くハード機器メーカーのイメージこそ強いが、その歴史の中で事業を多角化し、北米を中心としてグローバルに活動を展開してきている。まず、ソニーの根幹といわれるデジタル製品の領域では、テレビ(同社の売り上げの約1割)、スマートフォン(スマホ、同約1割半)、デジタルカメラ(同約1割)などの製品価値低下が著しい中で、技術の優位性に戦略的軸足を置くのであれば、キーパーツ/コンポーネンツ(部品)となるハード製品を有するかどうかが今後重要になるであろう。

 この点で、ソニーの半導体事業は、パナソニックが事実上撤退したそれとは様相が大きく異なる。ソニーにはスマホやデジタルカメラで実績のあるCMOSセンサーを筆頭とする、イメージ(画像)センサーという非常に強いデバイスを有している。このイメージセンサーは、デバイスソリューション事業本部(同社の売り上げの約1割)の売り上げの約6割を占め、500億円前後の黒字を出す貢献度の高い優良事業部門である。

 ノイズ除去機能等は競合の半導体メーカーと比較して2年近い優位性があるといわれ、米アップルや韓国サムスンなど自社以外の製品にも使用され、世界シェアは3割を超えるとされる。このCMOSイメージセンサーは世界的な成長分野であり、自動運転を念頭に置いた車載用画像センサーも視野に入れ、ソニーは積極的な投資を計画している。このイメージセンサー事業は、ソニー創業者の1人であり第4代社長となった「半導体事業の父」といわれる岩間和夫氏が手掛けた1970年台初頭のCCD(電荷結合素子)イメージセンサー開発が礎となっており、長い歴史がある。

 ソニーの名が表に出ないデバイスの外部販売をよしとしないOBもいるが、この批判は加速化するハード製品の事業環境の変化を理解できずに昔を懐かしむ、時代錯誤といえよう。技術力をもってこのデバイス事業を強化することは、技術のソニーとしては正しい事業戦略である。

●エンタメ事業

 次に、ソニーの売り上げの約2割を占めるエンターテインメント事業をみてみよう。同事業は、第5代社長の大賀典雄氏の時に行われた、ハード事業からソフト事業への事業展開により生まれた。具体的には、1988年の米国CBSレコード買収、翌89年のコロンビア・ピクチャーズ買収である。

 この2つの事業は、現在のソニーにとっての安定的な事業基盤である。米国中心の事業のためソニー本体がコントロールできていないとの批判もあるが、ソニーの後を追って91年に米MCAを買収したものの、95年に保有株の8割を売却して事実上米国でのソフト事業から早々に撤退したパナソニックに比べれば、ソニーは成功したといえる。これは、グローバル展開、異業種への展開、M&A(合併・買収)におけるソニーの実績でもあり、この領域でパナソニックの実績は比較の対象ではない。

●ゲーム事業

 そして、ソニーの売り上げの2割近くを占めるゲーム事業であるが、2013年11月に欧米で発売(日本発売は14年2月)されたプレイステーション4(PS4)は販売好調で、PSシリーズ最速で今年2月に累計販売台数が2000万台を超えている。国内販売は今年3月にやっと120万台を超えたが低調であり、販売を牽引する市場は完全に北米を中心にグローバル化している。

 これを、「ソニーのハード復活」と捉える向きもあるが、PS4発売において着目すべきは、ソニー・コンピュータエンタテインメントがソニー・ネットワークエンタテインメントインターナショナルと協業し、クラウドネットワーク時代を念頭にケーブルテレビや衛星放送サービスを必要としないクラウドベースでのテレビのライブ放送、オンデマンドによるコンテンツ視聴をPS4とPS3で提供する新テレビサービス、プレイステーション ヴュー(PS Vue)を昨年11月に発表し、この3月に米国でサービスを開始したことである。

 成功するか失敗するかは置き、情報通信技術の進化による事業環境の変化に果敢に挑む姿勢は、評価できよう。その姿勢は、ソニーのイメージを損なうという社内の反対を押し切り、当時の大賀社長のサポートのもとゲーム専用機器事業を確立した、「異端児」と呼ばれた久夛良木健元副社長以来のものであろうか。

●金融事業

 最後は、ソニーの売り上げの約1割半を占め、利益貢献度の高い、国内を中心とする金融関連事業である。具体的には、ソニー銀行、ソニー生命、ソニー損保である。この事業については本来のソニーの事業ではないという批判を聞く。しかし、世紀の名経営者といわれるジャック・ウェルチGE元CEOも、エジソンを祖に持つGEで金融事業部門であるGEキャピタルを育成した。ソニーがそのブランドネームを活用して金融事業に参入するのは、米経営学者ロバート・ライシュが指摘するように、変化のスピードが速まり不確実性が高まる事業環境への対応が遅い大企業が取るべき「ブランドオーナーとしての大企業」という戦略を考えると、正しい方向性である。

●戦艦大和から高速駆逐艦の船団へ

 このように、ハードからソフトまでの事業をグローバルに展開し、売り上げにおいて寡占的な事業を持たないのが現在のソニーの事業構造である。それを念頭に平井一夫社長は、今年2月の中期経営方針説明会で各事業の環境変化への適応スピードアップを重視して、AV機器事業(同社の売り上げの約5%)、デバイス事業(同約1割)、デジタルカメラ事業(約1割)も順次分社化し、本社を小さくして事実上持ち株会社化することを明言している。

 これは、ソニーという求心力ではなく、分社化の遠心力により各事業に対する社員のオーナーシップを高めて迅速な意思決定を行うことで、ソニーグループの機動力を高めることを目的とするものである。いわば、戦艦大和という巨艦から、高速駆逐艦の船団になるのである。

 技術進歩と融合したグローバル化が加速し、企業は不確実性の高い事業環境下で非連続的かつ速い環境変化への迅速な適応求められる中、事業を多様化・分社化して本社を持ち株化するというソニーの意思決定は、「積極的惰性」を排除するという点でパナソニックに勝る。

 これまで日本企業の生息領域であった、想定内の競合と切磋琢磨して競争をするというRBV(Resource Based View:競争優位の源泉を企業の内部資源に求める戦略理論)へ回帰するパナソニックと違い、ソニーは不確実性の高い環境に自ら身を置きにいっている。その結果、事業売却を含めた選択と集中の絶え間ない見直しによる収益力の強化が求められることになる。ちなみに世界的超優良企業とされるGEも、昨年9月に創業時からの伝統ある家電事業を売却し、今年の4月にかつての花形であったGEキャピタル事業のほとんどを売却すると表明している。

●内なる敵

 パナソニックの意識が日本国内に閉じこもる一方、ソニーは組織と意識共に真剣にグローバル化しようとしている。このソニーの改革を阻むものがあるとすれば、それは「内なる敵」であろう。代表執行役 副社長兼CFO(最高財務責任者)の吉田憲一郎氏は、「今所属している組織の事業を自由度高く運営できるかという点よりも、ソニー本社の社員であることが重要だという社員が少なくなかった」と指摘している。こうした「寄らば大樹の陰」の意識を持つ社員の存在が、その「内なる敵」の一つである。

 そして二つめは、株主とはいえ、経営にもはや関係のない大物OBといわれる人物たちである。現役時代と経営環境が大きく変わっているにもかかわらず、現経営陣に対して経営改革に関する提言書を出すという時代錯誤がまかり通る日本企業の体質の問題である。

 最後は、「ソニーはiPodをつくれた」といった日本人のソニーに対する強い願望である。「アップルに対抗できるユニークな製品をつくれるメーカー」というイメージからソニーが逃れられるかが、グローバル企業化を志向する同社の大きな課題であろう。現状のソニーは、それに向かって果敢に進んでいると考えられる。

 業績低迷から復活を遂げ、15年3月期決算で過去最高益を更新した日立製作所の東原敏昭社長は、「V字回復までは赤字を抑えたりすればよい。これから先はどうやったら成長できるか、自分の頭で考えることだ」と語っている。今後、パナソニックとソニーのどちらに軍配が上がるだろうか。

(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

 

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