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タカタ、現実味増す「倒産」の二文字 際限なきリコール地獄、債務超過の懸念も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150604-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 6月4日(木)6時1分配信
タカタ製エアバッグのリコール問題が拡大している。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、タカタが製造したエアバッグに欠陥があることを認め、リコール(回収・無償修理)を全米で実施することで合意したと発表した。タカタ製エアバッグのリコール対象台数は、米国だけで3400万台、全世界で6000万台にも達する見通し。「欠陥が証明されていない」と主張してきたタカタだが、強まる圧力に白旗を揚げざるを得なかった。ただ、異常破裂の原因は依然として「不明」で、対象台数がさらに拡大することも懸念されている。
タカタ製エアバッグの不具合問題は、自動車が衝突するなどしてエアバッグが展開する際、爆発力が大きすぎて火薬を詰めた容器「インフレーター」が欠損、金属片が飛散して乗員を傷つける。米国とマレーシアでは死者も出ている。
タカタでは、製造ミスによる不具合や材料の管理体制に問題があったことを認め、自動車メーカーが数度にわたってリコールを実施してきた。しかし、これまでにリコールしたモデル以外でも欠陥が見つかり、自動車メーカーはユーザーを守るための予防的処置として欠陥がある可能性が疑われるモデルを対象に「調査リコール」を各市場で実施してきた。
今回、正式なリコール実施を決めたタカタの高田重久会長兼社長は、次のようなコメントを発表した。
「顧客の安全確保、信頼回復へ向けて、NHTSAと合意に至ることができ、一歩前進できたものと認識している。今後も、NHTSA、自動車メーカーと全面的に協力し、ユーザーの安全確保を最優先にして、予防的処置を行っていく」
昨年12月、米議会議員がタカタに対して全米でのリコール実施を迫っても、同社側は「原因が明確でないので、リコールには応じられない」と主張。今年2月にはNHTSAは同社がエアバッグの不具合に関する調査に非協力的として、協力的になるまで1日当たり1万4000ドルの罰金を科すと公表しても、タカタは原因が究明されていない段階でのリコールには応じられないとの姿勢を貫いてきた。NHTSAは、タカタ製エアバッグを強制リコールさせる姿勢をちらつかせながら、リコールの実施をタカタに強く迫ってきた。
●追い詰められたタカタ
こうした中で、タカタに不利な事態も発生する。調査リコールで回収したモデルやリコール対象ではないモデルでも欠陥が発覚。さらに、調査リコール段階でも交換用インフレーターが不足し、オートリブやダイセルなどのライバル会社に供給を要請している状況であり、このままでは今後のエアバッグ受注にも影響が及ぶことが懸念されていた。
そしてついに、当局やユーザーの声を背景にした主要納入先の自動車メーカーからの日増しに強まる圧力に屈するかたちで、タカタは、「原因は不明」なままエアバッグの欠陥を認め、自動車メーカーがリコールを実施することとなった。
今後の大きな問題は「欠陥の原因究明」と「リコール費用の分担」だ。現在、タカタ自身と自動車メーカー、そしてタカタ製エアバッグを使っている主要自動車メーカー10社が第三者機関に委託するかたちでそれぞれ欠陥の原因調査を進めているものの、「原因の究明には、かなりの時間を要する」(ホンダ)見通し。そして原因が特定されなければ、リコールの対象も確定できない。このため、今後さらにリコール対象台数が大規模に拡大する可能性も否定できない。
●のしかかるリコール費用
また、欠陥の原因が特定されなければ、リコール対策費用の分担も明確にならない。これまで自動車メーカーが実施してきた「調査リコール」は、自動車メーカー自身がコストを全額負担する覚悟で欠陥の可能性があることを前提として、予防的に実施してきた。例えば、タカタが自動車メーカーの要求基準を満たしていた場合、欠陥があったとしても多くが自動車メーカーの負担になるとみられる。しかし、欠陥の原因が明確になり、タカタに責任があった場合は、タカタは自動車メーカーからリコール費用を求償される。
タカタは2015年3月期連結決算でリコール費用526億円を計上し、295億円の最終赤字に転落した。米国では集団訴訟も起こされており、仮に欠陥原因の多くがタカタの責任となった場合、「費用求償でタカタは債務超過となり、支援先がなければ倒産する」(業界関係者)と見られている。
日本自動車工業会の会長を務める池史彦ホンダ会長は費用負担について「(タカタと)話し合いに応じる覚悟はもっている」と述べ、交渉に応じる姿勢をみせており、自動車メーカーが支援する可能性もある。
「1日でも早く欠陥の原因を解明して、問題が収束する」ことを願うのは、タカタも自動車メーカーも同じ。しかし、問題がさらに拡大する可能性もあり、解決への道のりは長そうだ。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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