7. 2015年6月02日 18:29:08
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焦点:「熱狂なき円安」に冷めた視線の海外勢 2015年 06月 2日 18:15 JST ・http://jp.reuters.com/news/pictures/articleslideshow?articleId=JPKBN0OI0SU20150602&channelName=topNews#a=1 1 of 1[Full Size] [東京 2日 ロイター] - 12年半ぶりにドル高/円安を記録した外為市場は、予想外に冷めた空気に包まれている。海外勢の日本株買いに伴うヘッジの円売りやシステム売買が中心で、ヘッジファンドが円売りで押し寄せたかつての熱狂とは対照的な状況だ。背景には、今の円売りの潮目が変わるのをじっと待つ市場参加者の存在があり、市場の流れがある日突然変わるという不気味さを感じる参加者も出てきた。 <システム売買がドル高演出> ドルは5月半ばの118.88円から、2日に記録した12年半ぶり高値125.07円まで2週間余りで5.2%上昇した。ただ、市場参加者の多くは、このドル高/円安に「過熱感がない」と口をそろえる。 「上値を抜けたから自動的に買うモメンタム系以外のドル買いは乏しい」(国内運用機関ファンドマネージャー)とされ、システムが自動発注する以外の売買は、低調なままだ。静寂の中でドル高/円安が進行しているという。 今回のドル高をけん引したのは、為替相場が一定の水準を上抜けたら自動的に買うプログラムを運営する為替オーバーレイ、モデル系ファンド、モメンタム系ファンドなどだとみられている。 日本株投資を拡大する海外投資家によるヘッジの円売りも大きいようだ。財務省統計によると、非居住者の国内株買い越しは4月に2兆5500億円にのぼっている。 これら全てのオペレーションは機械的に実行され「海外勢が、過去の円安局面のように、積極的にポジションを大きく傾けてドル買い/円売りをしている感じは全くない」(前出のマネージャー)という。 <ユーロも盛り上がり欠く> 為替市場では、盛り上がりに欠けるのは円だけではない。ユーロは4月半ばの1.052ドル付近から5月半ばの1.1468ドルまで1カ月間で9%上昇したが、その後2週間足らずで1.0819ドル付近まで下落した。 「ユーロの上昇過程は、主要なポイントを次々と上抜け、踏み上げがさらなる踏み上げを招くありさまだった。だが、下げ過程は熱気がなく、スカスカの薄商いの中、ユーロが落ちている感じだった」(外銀)という。 「グローバルにみて、金融市場の参加者は、次の大きな潮目の変化を待っている状況で、短期筋もそう簡単にリスクを取れるような環境ではなくなっている」(別の外銀)という。 <短期的には上振れ余地も、海外勢は円安に慎重> ドル/円相場では、1)全般的なドル高傾向、2)日米当局の様子見姿勢、3)短期筋の一部による円ショートの再構築ーーなどが継続する限り、短期的には上振れ余地があるとみられている。 だが、それらの持続可能性には不確実さがつきまとう。シカゴIMMでは4月末以降、円ショートを再び積み増す動きが生じている。5月26日時点の円ショートは6万2224枚と、前週の2万2005枚から一週間で4万枚と急ピッチで増加した。 ただ、市場では、円売りポジションが過去最高水準(2007年6月の18万8000枚)まで拡大する可能性は低いとみられている。 JPモルガン・チェース銀行のチーフFX/EMストラテジスト、棚瀬順哉氏は、現行の円安は、過去と異なり、日本の貿易収支が継続的に改善する中で起きていると指摘する。 日銀の追加緩和期待も盛り上がっていないほか、来週以降、米議会でTPA(貿易促進権限)の審議が開始される見通しで、米当局が引き続きドル高容認姿勢を維持するか否かは不確実な状況だとする。 国内では、「何年ぶりの円安」という報道が目を引くが、ドル高は他の通貨に対しても顕著であり、棚瀬氏は「海外勢が円売りに特化して盛り上がっているようには見えず、むしろ慎重な姿勢を保っている」と指摘する。 <日銀総裁が遠くに示した円安の終えん> 一段の円安期待に首をかしげるのは、棚瀬氏だけではない。米英当局が異例の大規模緩和の出口を模索する中、視界の片隅に日銀の出口戦略を描き始めた市場参加者は、ごく少数だが着実に増え始めた。 日本の金融政策をめぐっては、海外勢を中心に追加緩和に期待する見方が主流。具体的な成果の見えづらい構造改革の時間を稼ぐため、当面は緩和策を維持するとの見方で、とても出口論という雰囲気ではない。 しかし、そうした参加者が肝を冷やしたのは、ほかならぬ黒田東彦日銀総裁のひとこと。前週末に米テレビ局とのインタビューで「円が上昇する」シナリオに言及したことだった。 黒田総裁の発言は日本経済が日銀の想定通りに今後2年間で拡大すれば、との前提付き。発言の趣旨そのものに新味はないが、円安政策と市場が位置付けるアベノミクスの仕掛け人から飛び出した円高宣言は、参加者の脳裏に現実的な「宴の後」を想像させるのに十分だった。 過熱感の乏しいまま歴史的水準へ上昇した株価、過去最低水準ながら突如上下に荒れ狂う国債金利──。 世界同時の大規模緩和がもたらす市場の副作用は、日本に限らず明白だ。きしむ市場にとって、楽観論はかなりのリスクを持っているとみる参加者も増えている。「米利上げと追加緩和で1ドル=150円」と言ったのんきな円安論は、主要な海外投資家の間では次第に後退している。 (森佳子 基太村真司 編集:田巻一彦)
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