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“海外出張と5時間睡眠” エリートを襲う不都合な真実 “残業代ゼロ制度”は過労死を助長する business.nikke
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/269.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 02 日 08:56:26: tW6yLih8JvEfw
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20150529/281807
“海外出張と5時間睡眠” エリートを襲う不都合な真実 “残業代ゼロ制度”は過労死を助長する
2015年6月2日(火)  河合 薫


 「一般的に」「例外的に」「客観的に」「限定的に」「慎重に」って、一体どういうことなのだろう?
 「普通の国民に分かりやすく説明することが必要なんです」、「いわば」「つまり」「まさに」「加えて」と長々話されても、ちっとも分からない。
 何を根拠に、「絶対にない」と決めつけるのかも、よく分からない。
 私の頭が相当悪いのか、はたまた理解力が致命的に欠如しているのか、その両方なのか、どうやっても分からん! そう。国会でのやり取りである。
 ううむ…。つまり、これって「門限無視」ってことなのだろうか。
 “門限8時”と厳しく父親に言われてたので、今まではどんなコンパも断っていた。
 だがあるとき「親友のゆみちゃんに誘われた時だけは、行ってもいい」と考えるようになった。
 でも、それには母が猛反対。 
母:「お酒がNGだから門限決めてたのに、それじゃお酒飲むことになっちゃうんじゃない?」
薫:「ううん、大丈夫。ゆみちゃんの後ろで見てるだけだから」
母:「でも、コンパに行ったら、飲まないってわけにはいかないでしょ?」

薫:「一般的には、大丈夫よ。でも事態は刻々と変化するから、例外はあるかもしれないけどね」
母:「例外って何よ? まさか歌舞伎町みたいな危険な場所には行かないよね?」
薫:「そこは慎重に考えて、客観的に判断しますよ。ここで断言するのはあんまりよくないでしょ? あんまり心配しないでよ。パパの言いつけは守るからさ」
 …………。
 ん? やっぱりちょっと違うか。かなり違いますかね。
 でも、どんなに聞いてもどうやっても分からないと、分からなすぎてぐるっと「分からん!」が一周し、上滑りな、それでもって自分の都合のいい解釈になる。
 ふ〜む、実に危険だ。
 というわけで、今回は、「どうやっても分からない」。けどちゃんと理解しないといけない、ものすごく大切なことについて、あれこれ書こうと思う。
 といっても、安保法案(安全保障関連法案)についてではありません。あくまでもこれは前フリです。取り上げたいのは、本国会で議論される予定の、「新しい働き方」についてである。
 では、早速、これまたどういうわけか分からないけど、テレビではあまり報じられなかったこちらのニュースから。
【裁量労働制の男性 過労死】という見出しで、毎日新聞などでこの“一件”が報じられたのは5月中旬のこと。
 証券や国債などの市場情報を提供する東京都内の会社でアナリストとして働き、2013年7月に倒れ心疾患で亡くなった男性(当時47歳)が、過労死に労災認定されたのだ(三田労働基準監督署)。
 男性は出退勤時間を自分で決められる「専門業務型裁量労働制」で働いていた。みなし労働時間(=40時間の残業)込みの給与体系だった。
• 男性は毎朝、午前3時頃に起床し海外市場の動向を分析。
• 5時頃に家を出て、6時ごろに出社。
• 出社直後から顧客向けリポートを発信し、1日のリポート数は午後5時半までに30超。
高熱でも出社を命じられる
 そんな“朝型勤務”に、リーマン・ショックをきかっけに変化が起きた。
 人員削減の影響で1人当たりの業務量が増加。上司からは「他のチームはもっと残っているぞ」と言われ、遅くまで帰宅できない日々が続いたそうだ。早朝出勤しているにもかかわらず「他の従業員より早く帰るな」と注意され、高熱でも出勤を命じられたりするようになった。
 朝一番の海外市場チェックは不可欠なので、始動時刻を遅らせることもできず、次第に男性は疲労を訴えるようになった。極限状態まで追いつめられ、うつの一歩手前の状態に。亡くなる1カ月前から在宅勤務に切り替えていたが、1日4時間程度しか眠れず、妻には「つらい」と漏らしていたという。
 男性の死後、会社は妻に「居残りは本人が望んだこと」と告げていたが、遺族側は納得がいかず、男性が会社から顧客に送っていたリポートの発信記録や同僚の証言などを基に男性の労働実態を調べた。
 その結果……、
• 発症前1カ月の残業を133時間
• 発症前2〜6カ月の平均残業時間を108時間と判断
 そこで「このままでは夫の死が無駄になる」と、遺族は昨年8月、三田労働基準監督署に労災認定を申請し(申請の事実は東京新聞が伝えている)、同署は15年3月労災認定。それが、5月に入り遺族側の代理人弁護士への取材で明らかになり、新聞各紙が報じたのである。
※過労死の労災認定は、直前の1カ月の残業が100時間を超えるか、発症前2〜6カ月の残業時間が月平均80時間を超えるのが基準となっている。
 報道によれば、遺族は「裁量労働制で労働実態が分からず泣き寝入りしている遺族はたくさんいると思う。経営者がきちんと労働時間を把握すべきだ」と話しているそうだ。
 ご存じの通り、政府が今国会に提出している「労基法改正案」には、ホワイトカラー・エグゼンプション(残業代ゼロ制度)導入が盛り込まれている。
 改めて言うまでもないが、ホワイトカラー・エグゼンプションは、「週40時間まで」などの労働時間規制の適用から除外され、残業代も支払われなくなる。
 法案には、働き過ぎを防ぐため、(1)年間104日の休日、(2)1日の中で一定の休息時間を確保、(3)在社時間に上限を設ける、のいずれかの措置を取ることとされている。
 そう。「いずれ」かの措置だ。
 さらに、「改正案」では、あらかじめ定めた労働時間に賃金を支払う「裁量労働制」の適用対象が、新商品の企画立案と一体で営業を行う「課題解決型の営業」や「工場の品質管理」業務にも拡大することになる。
 厚労省の調べで、裁量労働制で働く事業場の約45%で、1日12時間を超えて働いている労働者がいるという事実が明かになっているにもかかわらず、だ。
 「この法案はワークライフバランスの観点から、働き過ぎを是正し、働く人の多様なニーズに対応した働き方の選択肢を設けるもの。『裁量労働制』の適用範囲の見直しや、『高度プロフェッショナル制度』の創設は、経済のグローバル化の進展の中で、日本の労働生産性を向上させ、働く人の意欲や創造性を一層発揮させる」
 塩崎(恭久)厚労相は、こう言っていたけど、
 労災申請さえままならないこういった制度を、推し進めるなんて軽卒すぎやしないか。
 「いずれかの措置」では、持ち帰らせて「労働者が勝手にやった」と言うことだってできるじゃないか。「持ち帰り残業は、本人が望んだこと」と会社は堂々と言える法案を、長時間労働や過労死が世界的にも批判されているこのご時世で、推し進めようとする意味が分からない。ちっとも分からないのである。
 だいたい裁量労働制で働く人の半数近くが、1日12時間、すなわち4時間以上の残業をしている実態が分かっているのに、なんでさらに過労死予備軍を増やすような法案を押し進める?
 しかも、だ。な・ぜ・か、あまり報じられていないのだが、厚労省の「身内」の監督官からも反対の声が上がっていたのだ。
過半数が「残業代ゼロ制度」に反対
 労働組合の全労働(森崎巌委員長)が労働基準監督官、約2000人を対象にアンケートを実施したところ、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入に「賛成」は13.3%、「反対」は53.6%、「どちらとも言えない」が33.1%で、反対が半数を超えた。
 同制度の導入による影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が73.4%、「長時間労働が抑制され効率的な働き方が広がる」は4.2%、「わからない」が22.4%で、懐疑的な立場が多数を占めた。
 “労基法の警察”である労働基準監督官の7割が、「長時間労働・過重労働は深刻化する」と懸念しているというのに、わけが分からない。
 政府は「長時間労働を是正する!」だの「ブラック企業を公開する!」だのアレコレ言うけど、労働時間を把握する義務が明確に示されていなけりゃ、どうにでも言い逃れはできる。そんな逃げ道だらけの“武器(=労基法)”では、“警察”が取り締まろうにも取り締まれないじゃないか。
 分からないい。どうやっても分からない。でも、恐らくそんな私の「???」に、我が国のお偉いさんはこう言うに違いない。
 「一般的に、長時間労働はさせません。え? 過労死のリスクが高まるって? 今だって、リスクはあるでしょ。似たような環境で働いていても、大丈夫な人は大丈夫だからね。
 それに過労で自殺する人たちも、“会社に迷惑をかけて申し訳ない”とか“期待に応えられず、すみません”と遺書を残すことが多いって聞いてますよ。私たちは、国民の命と幸せを守ることに全力をかけるんですよ」
 やっぱり理解不能だ。ちっとも分からない。
 「何をヒステリックに言ってるんだよ。オレは賛成! 私も賛成!」
 混乱している私に、賛成派の方たちは、こう攻撃してくることだろう。
 確かに、仕事の成果と働いた時間は必ずしも関係しない。でも、だからといって労働から時間を切り離してホントにいいのか?
 だって、成果とは関係しなくとも、人の健康には密接に関係するぞ。年収や専門性に一切関係なく、だ。
 「成果」は、時間的切迫度、仕事の密度などの、心理的なプレッシャーを左右する極めて複雑な要因である。しかも、成果に付随する様々な要求は「人の健康」に強い影響を与える。だが、成果は一般化できないため具体的なリスクを示すのが困難である。
 一方、長時間労働と健康の関連性は、世界中で古くから研究されてきた。長時間労働は、「仕事時間の増加」と「仕事以外の時間の減少」をもたらす。前者は、「仕事の負荷を増加」させ、後者は「疲労回復の時間を減少」させることが明らかになっているのだ。
 そして、この2つの要因各々が、健康問題を引き起こし、脳や心臓疾患のリスクや、精神障害や過労自殺のリスクを高める。
 特に、脳と心臓疾患のリスクは、長時間労働と睡眠時間の両方の側面から関連性が認められているのである。
 その境界線となるのが……
 ・一日の労働時間が11時間以上
 ・睡眠時間6時間未満
 ――だ。
 例えば、降圧剤治療を受けている50歳代の男性労働者899人を3年間にわたって追跡した調査では、「11時間超」労働群は、「7〜10時間」群に比べ、脳・心臓疾患を発症するリスクが2.7倍もあった。
 また、心筋梗塞の男性患者195人と健康な男性331人を比較した調査では、「11時間超」群の方が心筋梗塞になるリスクが2.9倍高かった。
「週労働60時間以上、睡眠6時間以下」ならリスク5倍
 さらに、睡眠時間が6時間未満になると、循環器系疾患のリスクを高めることが、国内外の多くの調査で示されている。
 労働時間、勤務日の睡眠時間、と心筋梗塞との関係を調べた調査では、「週労働60時間未満、睡眠6時間以上」群のリスクを1にした場合……
• 「週労働60時間以上、睡眠6時間以上」群のリスクは1.4倍であるのに対し、
• 「週労働60時間未満、睡眠6時間未満」群では2.2倍
• 「週労働60時間以上、睡眠6時間未満」群では4.8倍
 となり、睡眠時間の重要性が分かっているのである。
 週労働時間60時間は、1日にすると12時間(週休2日の場合)で、朝9時を就業開始だと考えれば毎晩10時まで働き(昼休みを1時間とする)、毎日4時間の残業をする計算になる。月に換算すると残業80時間。この数字は厚労省が「過労死ライン」に定めている数字だ。
 私は過労死のボーダーラインを決める検討委員会を数回傍聴したことがあるのだが、医師を含む研究者のほとんどは、60時間を主張していたと記憶している。
 加えて、研究者からは、海外出張や深夜勤務のリスクも指摘されていた。
 当時、時差による肉体への負担、言葉や文化の違いによる心理的負担など、海外で活躍するビジネスマンの多くがストレス豪雨にびしょ濡れになり、倒れる人たちが相次ぎ問題となっていたのだ。時間外労働に加算されない「出張」の多い人や、深夜勤務なども、心筋梗塞発症のリスクだったのである。
 ところが、企業サイドは、「海外出張や夜間勤務は、グローバル化だから仕方がない」と主張。「そんなにアレコレ規制を厳しくしたんじゃ、経済はたちいかない」と無視したのだ。
 労働時間は「成果」とセットで考えるものでもなければ、「賃金」とセットで捉えるものでもない。「健康」とセットにすべき問題なのに、残念ながら経済界や法律を決めるお偉い方たちの、「健康」のプライオリティはとんでもなく低い。いや、正確には「他人=労働者の健康」である。
 今回の労基法改正案を検討した“会議”でも、いかに健康が軽んじられていったかが、よ〜く分かるのでお時間のある方はこちらを読んでほしい。
優秀な人は健康管理もできる
 が、
 「仕事が忙しくて、そんな時間はない!」
 と口を尖らせた方のために、大雑把に大切な部分を抜粋し、平た〜く書いておきます。
 「一般的には、長時間労働の強要はなくさなきゃだよ。でもね、経済成長に寄与してるすっばらしい人や、企業の活動を過度に抑制する制度って、あんまりよくないよね〜。今みたく法律で事前に縛るんじゃなくって、企業に開示させればいいでしょ? 
 それに、業務遂行能力ある優秀な人って、結構、健康管理もちゃんとできるでしょ。ホラ、見てみて! これだけ意見も聞いたよ〜。客観的に慎重に考えて、やっぱり成果ベースで自由にできるような法律つくらなきゃだよ」
 っとまぁ、こんな感じです。
 そういえば、件の「過労死認定」をテレビはあまり取り上げなかったけど、これって気のせい? まさか、何か都合の悪いことでもあったりして……。



河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
 

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コメント
 
1. 2015年6月02日 12:25:06 : nJF6kGWndY

>裁量労働制の男性 過労死

別に残業代がつこうが、つくまいが、関係ない話

昔から仕事中毒で自己コントロールができない労働者には、裁量労働制は機能しないというだけだから

大企業であれば、労働時間と健康の管理を企業に義務付け、労組と当局による監視が解決策だろう

中小に関しては、景気が改善することが、ほぼ唯一の解決策

また雇用が悪化するなら、規制だけ厳しくしたところで、単に失業世帯と一般世帯の社会保障負担が増えるだけで全く意味は無い


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