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投機筋が作ったドル上昇トレンドだけに、過度な期待は禁物だ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43566
2015年06月02日(火) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
約12年ぶりの水準まで円安が進んでいる。5月28日の海外時間で、ドル円は一時124円40銭台にまで上昇した。中国の株価大幅下落、米国今年1−3月期野GDP成長率がマイナスに落ち込んだにも拘らず、ドルの上昇トレンドが続いた。
なぜ、ドルは急速に上昇したか。市場では、利上げ観測の高まりがドル買いの材料と考えられているようだ。ではFRBの見方が大幅に利上げに傾いたのかといえば、そうとも言い切れない。ドル高の背景には、実体経済の動きとはかい離する、短期的、投機的な投資家の動きが影響している可能性がある。
■米国FRBの金融政策
足元の市場では、FRBの高官の発言、特に、イエレン議長とフィッシャー副議長の発言、がドル高の材料になっている。確かに、イエレン議長は景気の回復を前提としつつ、明確に利上げの可能性を示した。それは、FOMC議事録等を通して確認できるFRBの総意より、利上げに強気なタカ派的な印象を残す発言だった。
一方、市場の注目を集めたフィッシャー副議長の発言では、きわめて中立的な考えが示された。講演の中で副議長は、利上げの時期に注目が向かうことは認識を誤らせかねないと述べた。つまり、副議長はFOMCの声明に従い、FRBの意思決定は時期には左右されず、あくまでもデータ次第だということを強調したにすぎない。
加えて、フィッシャー副議長は世界経済の回復が鈍化する場合、米国の金融政策は影響を受けると述べている。2013年のテーパリング危機に端を発する市場の混乱にも言及し、米国金融政策が世界的なボラティリティの急上昇などにつながらないよう細心の注意を払う必要があるという考えも示している。
FRBは利上げの準備を進めてはいるものの、世界経済の動向、新興国を含む世界市場への影響に繊細な神経を使っている。この点を踏まえれば、フィッシャー副議長の発言にある通り、過度に利上げタイミングに執着して米国の金融政策を論じることの意義は冷静に考え直した方がよさそうだ。
■見逃せないヘッジファンドなど投機筋の動き
4月の米コアCPIの上昇はドル買いの材料になった。耐久財受注、製造業受注は堅調に推移している一方、第1四半期の米GDP成長率はマイナスに陥った。総じて景気は強弱混合であり、ドル買い誘発するほど強いとは言えない。
しかし、ドルはあまりに急速に上昇した。特に26日、ドルはごく短時間のうちに121円台から123円を超える水準にまでジャンプした。背景には、投機筋がドル買を仕掛け、自ら大きな相場の動きを作り出した可能性がある。その動きに多くの投資家が追随し円安が進んだのだろう。
投資家のポジションをみると、円は売られやすい状況にあったといえる。米先物取引委員会(CFTC)が公表している円売りポジションは4月から5月上旬にかけて大幅に縮小し、円が買い戻された可能性を示している。この間、ドル円は119円から120円台のレンジで推移していた。投機筋は、このレンジをブレイクさせ、利得の獲得を狙ったのだろう。
足許のドル高・円安は投機筋の動きに影響されている可能性が高い。今後、米国の景気が弱含むのであれば、ドルが売られ、円が上昇する可能性もあるだろう。米国での利上げは緩やかに進められると考えられるだけに、過度なドル高期待には注意が必要だ。
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