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ギリシャが本当にデフォルトしたらどうなる?
THE PAGE 6月1日(月)17時0分配信
ギリシャが本当にデフォルトしたらどうなる?
[写真]ギリシャの債務返済への綱渡りは続く。次の関門は6月5日のIMFへの3億100万ユーロの返済だ(ロイター/アフロ)
ギリシャは5月に国際通貨基金(IMF)への返済が7.5億ユーロあったのですが、ギリシャ政府はIMFの特別引き出し権(SDR)を取り崩し、約7.5億の融資返済を完了させました。最後のとっておきのお金を使ったことになります。5月末の公務員給与や年金の支払いに関しては、地方政府や公営企業の余剰資金をかき集めて当座をしのぎました。まさに切羽詰まった状況にあるといえるギリシャですが、本当にデフォルトが発生してしまったらどうなるのでしょうか。
デフォルトとは債務不履行とも呼ばれますが、元本や利息の支払いが滞ったり、支払い不能が生じることです。いったんデフォルトが発生するとギリシャへの信用がさらに失われ、国債が急落するなどのリスクが生じます。
ギリシャの債務返済に向けての綱渡りは続けられ、次の関門は6月5日の3億100万ユーロのIMFへの借り入れの返済です。6月はこれだけでなくIMF向け返済資金だけでも合計16億ユーロに及びます。6月5日の返済は仮に可能であったとしても、いったん見送って月末に一括して返済する可能性もあります。いずれにしても6月18日のユーロ圏財務省会合あたりまでに、ギリシャは欧州連合(EU)からの金融支援や財務省証券発行額上限の引上げなどを確保する必要があります。
すでに金庫が空に近い状態になっているギリシャにとり、最後の頼みの綱といえるのが、EUなどによる支援となります。EUやIMFなどは現在、ギリシャの改革が不十分として、約72億ユーロのギリシャ向け融資を凍結しています。この融資の凍結解除がなければ6月のIMFへの返済はかなり難しい状況となり、デフォルトが発生する懸念が出てきます。
ギリシャのチプラス政権は反緊縮を掲げて誕生しました。EUなどによる支援にはギリシャの財政改革や構造改革が必要とされますが、安易に妥協すると政権内部からの批判が高まり政権基盤が揺るぐ恐れがあります。しかし、支援を受けられないとデフォルトが待っています。いまのところチプラス政権は政権内部や国民の目もあり、ぎりぎりまで交渉を続け多少でも妥協点を得て、ある程度国民の納得のいくかたちで支援を受けようとするでしょうが、それでもデフォルトの発生の可能性は十分にありえます。
ギリシャのデフォルトの発生は金融市場に大きなインパクトを与えかねません。ただし、ギリシャは2011年に債務のヘアカット(債務元本の減免)というかたちで管理型デフォルトを発生させた経緯があります。また今回、デフォルトが起きたとしてもいずれ支援が受けられるのであれば、たまたま発生してしまったデフォルトとして、その影響は危機的状況を招くようなことにはならないかもしれません。
それより懸念すべきなのは、ギリシャが頑なに改革を避けることにより、EUやIMF、欧州中央銀行(ECB)のいわゆるトロイカからの支援が受けられなくなる事態です。これによりデフォルトが発生するだけでなく、トロイカから見放された結果、ギリシャがユーロ離脱を迫られることが予想されるためです。
ギリシャがユーロを離脱となれば、ギリシャは統一通貨のユーロが使えなくなります。新ドラクマといった自国通貨を使わざるを得なくなります。新たな自国通貨を得てもその通貨の信用力はユーロに比べれば大きく低下することは確実です。これはギリシャの金融経済には大打撃を与えることになります。ギリシャへの資金の貸し手にも大きな打撃を与えかねません。ただし、ギリシャ政府にとっては、新たな通貨を導入する際に債務を削減することも可能となります。
日本での戦後の新円切り替えと預金封鎖は、国民の財産を把握するだけでなく、それを差し押さえすることが目的でした。財産税により、差し押さえたものから強制的に徴収することで、それを原資に内国債の償還に当て、債務を減少させたのです。ギリシャにとっても債務削減は必要であり、同様の事態が発生する懸念があります。
これはギリシャ国民に大きな負担を強いることになります。そのような選択をギリシャ国民がすることは考えられません。しかし、ギリシャでは銀行預金がかなり引き出されているといった動きも出ています。ギリシャの家計と企業による4月の預金残高は2004年9月以来で最低となりました。
IMFのラガルド専務理事は、債務危機に直面しているギリシャについて、ユーロ圏からの離脱もあり得ると語ったように、トロイカと呼ばれたギリシャ支援団の一部から、やや突き放したような発言も出ています。これはチプラス政権というよりもギリシャ国民に対して、ユーロ離脱という選択肢はとれるのか、それで良いのかと問いかけているかと思われます。ギリシャ国民には6月末に向けて、大きな選択が迫られることになります。
(久保田博幸/金融アナリスト)
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最終更新:6月1日(月)17時47分THE PAGE
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150601-00000009-wordleaf-bus_all&p=2
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