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焦点:巨艦・ゆうちょ銀の進路変更、思わぬ横波に警戒の声
2015年 06月 1日 18:22 JST
[東京 1日 ロイター] - 年内にも株式上場が予定されている「ゆうちょ銀行」の運用姿勢見直しに、市場の注目が集まっている。「国債傾斜」から株式、外債などのリスク資産の比率を上げることになるが、焦点はそのテンポ。
200兆円超と巨額の資産運用を変更するには、一定の時間がかかるとの見方が多いものの、「巨艦の進路変更」による思わぬ横波の発生に、市場は神経をとがらせている。
<利害重なるゆうちょと日銀>
日本郵政の西室泰三社長は5月29日の記者会見で、リスク管理を強化しながら、国債中心の運用体制を見直す方針をあらためて表明。同時に日銀の黒田東彦総裁と1週間前に会談した事実を明らかにした。黒田総裁との話し合いについて「国債そのものの運用を大幅に変えると話したが、それについて別に指示はなかった」という。
大規模な国債買い入れを進める日銀と、国内最大の機関投資家である日本郵政のトップ同士の面談。異例ともいえる動きに、SMBC日興証券・金融財政アナリストの末澤豪謙氏は「保有国債を減らして運用多様化を進めたい郵政側と、国債買い入れを軸にした異次元緩和の枠組みを維持したい日銀との間で、協力関係を確認することが目的だったのではないか」とみる。
日銀にとって、限界説もささやかれる国債買い入れの枠組みを維持する上でも、国債を大量保有する投資家の協力は重要ともいえる。
<すでにハイテンポの国債売却進む>
もっとも、ゆうちょ銀による脱国債の流れは既定路線だ。決算資料によると、ゆうちょ銀行の国債保有残高は2015年3月末現在、106.7兆円と前年同月比19.6兆円減少した。
国内金融機関の債券運用担当者は「年明け以降、国債マーケットで、ゆうちょの買いが聞かれなくなった。ゆうちょの国債保有年限が短いことを踏まえると、国債償還到来による自然減によって、かなりのピッチで国債残高が減少しているのではないか。むしろ減少ペースが速過ぎるほどだ」と話す。
こうした見方を裏付けるように、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が3月末に発表したゆうちょ銀運用計画によると、16年3月末の債券(国債・地方債、政府保証債)残高見通しは111.5兆円と、15年3月(117.2兆円)から5.7兆円の減少にとどまっている。前倒しで残高削減が進み、今年度は削減ペースを落としている印象だ。
<大胆な運用転換に警戒感も>
国債離れの動きに一服感が見え始める中で、市場が注目するのは、ゆうちょ銀が進める新運用体制の構築だ。日本郵政は29日、ゆうちょ銀の市場運用トップに、ゴールドマン・サックス証券・前副会長の佐護勝紀氏を迎え入れる人事を発表している。
新体制の運用方針次第では、国債の中途売却の動きが出てくる可能性も否定できないが「ダイナミックな運用を可能にする新体制をできるのは、早くても今秋から年末になりそうだ」(国内金融機関)との見方が出ている。
また、ゆうちょ銀は200兆円を超える大規模な運用資産を保有するだけに、各マーケットへの影響を配慮すると「新しいポートフォリオ構築は、数年がかりの極めてゆっくりとしたペースになるのではないか」(国内証券)との見方が出ている。
<株式市場には根強い期待感>
株式市場でも、ゆうちょ銀の動向に神経質だ。「自己資本比率が低下するため、ゆうちょ銀がどこまで買えるかは見極めにくい」(ネット系証券)との指摘もある一方、公的資金全体では、今後の相場を下支えする投資主体という認識は根強い。
日本取引所グループが発表する投資主体別売買動向によると、直近の5月第3週(5月18━22日)における信託銀行の現物・先物合計の売買は、今年度に入り初めて買い越しに転じた。現物株に限れば売り越しが続いているが、年度初めの利益確定売りは、ほぼ一巡したとみられている。
内藤証券の投資調査部長・田部井美彦氏は、信託銀行の売り越し基調が弱まりつつあるとしたうえで、海外投資家の買いが鈍れば、公的年金などの買い余力に市場の関心が移る可能性を指摘している。日本郵政などの大型上場で株式市場の需給が一時的に崩れることが警戒されるなか「公的資金が下値を買う動きも予想される」と話している。
(星裕康 長田善行 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OH1VR20150601
日経平均12連騰、日銀ETF買い観測広がる 1部時価総額600兆円超
2015年 06月 1日 15:37 JST
[東京 1日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は12連騰となった。前週末の欧米株安を嫌気し下げ幅が一時150円超となる場面があったが、おう盛な押し目買い機運を支えに切り返す動きとなった。後場に入ると日銀によるETF(上場投資信託)買い観測が広がり、先物主導でプラスに転じた。東証1部の時価総額は初めて600兆円を上回った。
朝方は軟調な外部環境や、連騰に対する警戒感から利益確定売りが先行したものの、繊維業など出遅れセクターを物色する傾向がみられた。指数は前引け時点でマイナス圏ながら、値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回る展開となった。
円安進行にやや一服感が見られたことで、主力輸出関連株の一角は軟調に推移したものの、後場に金融株が一段高。「日銀のETF買いへの期待感が膨らんだ」(国内証券)ことも重なり、先物主導で指数は強含んだ。TOPIXは年初来高値を更新。終値は07年8月以来の高値水準となり、東証1部の時価総額の記録更新につながった。
東洋証券・ストラテジストの大塚竜太氏は「強い動きとなっている。ただバリュエーションが急拡大している訳ではなく、過熱感はみられない」と指摘。「積極的な売り材料もなく、ITバブル高値をうかがう動きとなっている」と話し、時価総額の記録更新も市場心理に好影響を及ぼしそうとの見方を示している。
個別銘柄ではサクセスホールディングス(6065.T)がストップ高比例配分。同社株に対し29日、ジェイコムホールディングス(2462.T)が1株1700円でTOB(公開買い付け)を実施すると発表し、買い注文が集まった。
半面、巴工業(6309.T)が軟調。29日に2015年10月期連結の通期業績予想を下方修正したと発表し、嫌気された。機械製造販売事業において北米での油井関連市況の急激な悪化が響く見込みという。
東証1部騰落数は、値上がり1114銘柄に対し、値下がりが644銘柄、変わらずが127銘柄だった。
日経平均.N225
終値 20569.87 +6.72
寄り付き 20444.54
安値/高値 20410.27─20595.41
TOPIX.TOPX
終値 1678.56 +4.91
寄り付き 1662.55
安値/高値 1661.72─1680.4
東証出来高(万株) 249072
東証売買代金(億円) 25340.28
(長田善行)
コラム:銀行株がけん引する「日本株高」シナリオ=丸山俊氏
2015年 06月 1日 16:36 JST
丸山俊 BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト
[東京 1日] - コーポレートガバナンス強化や新たな自己資本比率規制「バーゼル3」、受け取り配当金への課税強化などの動きを受けてか、銀行の政策保有株式売却や株式持ち合い解消に対する思惑がにわかに高まっている。
実際、こうした動きが加速すれば、渦中の銀行株にとどまらず株式市場全体の新たな起爆剤になる可能性を秘めている。
周知の通り、日本では「銀行」対「銀行」、「銀行」対「事業法人」、「事業法人」対「事業法人」が株式を保有し合い、「物言わぬ安定株主」として君臨してきた。このことが、日本企業のコーポレートガバナンス改善を妨げてきたとの見方は根強い。つまり、持ち合い解消は、株価に対して前向きな材料として捉えられる可能性がある。
また、銀行は株式などの有価証券の含み益を「バーゼル3」ではコア資本(普通株式等Tier1)に算入してよい。売却によって含み益を利益余剰金にすることで資本の大きさは変わらないものの、非効率な保有株式の売却で資本の質が向上すれば、株主還元や海外展開の強化など前向きな動きが出てくる可能性にも期待が持てる。
むろん、短期的には、銀行の政策保有株式売却や持ち合い解消が加速すれば、需給悪化が株安を招く可能性がある。だが、トータルで見れば、それを補って余りあるプラス効果が資本市場にもたらされるのではないだろうか。
<ドイツのシュレーダー改革に学ぶ>
これは、ちょうどドイツのシュレーダー元首相が断行した構造改革と同じである。ドイツでは伝統的にドイツ銀行(DBKGn.DE)やアリアンツ(ALVG.DE)といった巨大金融機関が大企業の大株主であることが多く、株主としてより債権者として君臨する金融機関の影響力が大きいこともあり、コーポレートガバナンスの欠如が企業の資本の収益性を損なっていた。
そこで、シュレーダー政権は2002年から企業が持ち株を売却した場合の利益を非課税にした。それまで法人(金融機関)はキャピタルゲインに課せられる法人実効税率が50%台と高かったため、やむなく保有していたこともあったが、これにより金融機関による持ち合い解消が進んだ。
塩漬けになっていた非効率な保有株式の売却により、株主であった金融機関の資本効率が向上するだけでなく、企業側も物言わぬ株主として株式持ち合いに甘えてはいられなくなるため、コーポレートガバナンスを改善せざるを得なくなったというわけだ。
<銀行株上昇の超巨大カタリスト>
翻って日本では、銀行等保有株式取得機構の積極的な利用によって、市場インパクトを遮断すれば、好影響はさらに大きくなるだろう。
銀行等保有株式取得機構は、銀行などによる政策保有株や持ち合い株の売却に伴う市場への影響を避けるため、2002年1月に設立された受け皿機関だ。買い取り資金は原則、政府保証(最大20兆円)付きの、金融機関からの借り入れや債券発行によって調達され、機構は買い取った株式を、時間をかけて(2027年3月末までに)市場で処分することになっている。
銀行にとって政策保有株や持ち合い株売却のハードルは決して低くないと思うが、金融業界を取り巻く環境を考えると、当面は保有株式の売却益で収益を底上げし、2017年以降になって金利上昇が見通せるようになれば本業(金利ビジネス)に回帰するというのが、有効な経営戦略になるのではないか。そうした意味で安倍政権が政策保有株・持ち合い株の売却加速を政策的に支援することは、銀行にとってまさに「天与の機」になるだろう。
ちなみに、機構の買い取り対象は銀行が保有する株式から持ち合い相手の事業法人が保有する銀行株にも広げられ、買い取り期限も当初の2012年3月末から2017年3月末まで延長されている。ただ、2015年4月までの買い取り実績は累計で1兆0262億円とそれほど活発に利用されているとは言えない。この流れをまず変えることが重要だろう。
同機構の利用によって市場への悪影響を回避しながらプラス面、すなわちコーポレートガバナンス改善と資本の質向上を背景とした株主還元や成長施策の積極化が図られるならば、日本株が一段と高騰しても何ら不思議はない。特に銀行株にとって超巨大なカタリストとなろう。
反対に持ち合い株の売却が遅々として進まなければ、6月1日から適用開始(猶予期間として12月まで)の政策保有株の開示を求めたコーポレートガバナンス・コードへの対応と合わせて、日本企業のガバナンスに対して市場の失望を買うことになるだろう。今や銀行の政策保有株売却への取り組みは、日本企業によるガバナンス改善の試金石であると言える。
*丸山俊氏は、BNPパリバ証券の日本株チーフストラテジスト。早稲田大学政治経済学部卒業後、三和総合研究所に入社し、クレディ・スイス証券を経て2011年より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OH15U20150601
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