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記者の質問に応じるシャープの高橋興三社長(奥中央)。会見は社内で中継された=東京都港区(栗橋隆悦撮影)
【経済裏読み】シャープ社内に渦巻くぬぐいがたい失望と不安…誤解招くメッセージ、不透明な再建プランに不満続々
http://www.sankei.com/west/news/150601/wst1506010004-n1.html
2015.6.1 07:00 産経新聞
2度目の経営危機を招いたシャープの高橋興三社長が社内の求心力低下に苦しんでいる。巨額赤字と新中期経営計画の発表後、社内で上映した緊急ビデオメッセージでは「期待を裏切る結果に申し訳ない」と謝罪に追われた。希望退職の募集について社内文書で「痛みを伴うものもあるが、やり切らなければ明るい未来を描くことはできない」と全社一丸となった再建を呼びかけるが、社内の反応は冷ややかだ。リストラ優先で成長戦略が不透明な再建策に失望と不安が広がっている。(松岡達郎)
■相次ぐ社内説明
5月14日午後。シャープのイントラネット(企業内通信ネットワーク)に「気持ちを新たに、そしてひとつに」と題した高橋社長のメッセージが掲載された。
同日午後3時すぎ、平成27年3月期連結決算と新しい中期経営計画を発表する記者会見を社内にリアルタイム中継するにあたり、自らの思いを社員に訴える狙いがあった。
「皆さん、高橋です」と始まり、「きっと非常に厳しい質問がたくさん来ると思うが、しっかり見てください。その上で一丸となり、『もう一度シャープを再生させる』という強い気持ちを皆で持ちたい」と呼びかけた。
決算会見のリアルタイム中継は、新中期経営計画について沈黙を守った経営陣に対し説明責任を求める声に応じた初の試みだった。本社ビルの大会議室には300人以上の社員が見守った。ただ、会見が始まり、期待がしぼんでいくのに時間はかからなかった。リストラによる固定費削減が目立った再建策に「銀行の言い分ばかり飲んだのか」と次々と席を立っていった。ある工場では机をたたきながら「なんでこんなことになるんや」と叫ぶ社員もいたという。
関係者は「指示を避ける社長が珍しく『5月14日まで待て』と命じただけに少しは期待したところもあったが、従来の事業説明会で打ち出した内容を焼き直した社内カンパニーの方針に失望や不安が広がった」と打ち明ける。
翌週の5月18日から主要な事業所や工場で高橋社長の緊急ビデオメッセージを上映し、巨額赤字を計上し希望退職の募集を決断したことを「会社のトップとして申し訳なく心苦しい」と謝罪。「意思決定が迅速にできず、急激な変化に対応できなかった。構造改革も不十分だった」と敗戦の弁を語った。
ビデオメッセージではその後、国内で3500人規模の希望退職募集と社内カンパニー制の導入を柱とする新中期経営計画に理解を求めた。続いて事業部トップらが説明したが、本人が直前に方針を聞かされたばかりで「大丈夫だ」と根拠なく繰り返すだけのケースもあったという。
このため、高橋社長の思惑通り全社一丸となった再建に臨む雰囲気とはほど遠いという。
■時期がくれば…
失望が広がった背景には経営陣が社内の情報管理を徹底したこともある。主力取引銀行のみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行と協議中だった再建策について「非常にきつい情報統制を経営幹部の中でも敷いた」(高橋社長)といい、報道が先行していた。
加えて、高橋社長は誤解を招きかねないメッセージを送っていた。2月の時点では否定していた希望退職の募集に踏み切ると報道が流れた3月19日の翌日、社内放送で「いろんな憶測で書かれており、皆さんもそういう報道にあまり惑わされないように」と訴えたのだ。
それどころか主力行と資本支援を前提にした再建策を協議していたにもかかわらず「決して(銀行の)支援がないと立ち行かないような会社になっているわけではない」と言ってのけ、「時期がくればきっちり説明させていただく」と期待をもたせてもいた。
それが会見中継や緊急ビデオメッセージで希望退職や資本支援などがメニューとして正式に発表されると「期待が裏切られた」との思いが広がっていった。
■根深いしこり
結局、新中期経営計画には3500人規模の希望退職募集を含めて、世界の全社員の1割程度を削減することが盛り込まれた。本社売却も検討し、社員の給与・賞与もカットすることで年間285億円の固定費を削減する。リストラ策が並んだことに対し、高橋社長は社内文書で「(再建策には)痛みを伴うものも含まれているが、これをやり切らなければ明るい未来を描くことはできない」と強調した。
一方で会見で、高橋社長は「経営が間違っていなくて、こう(経営危機)なるわけはない」と経営責任は認めたが、「身を引くのはひとつのやり方だが、経営危機の原因となった外部環境の変化に強い会社にするのが私の責任だ」と強調した。
ただ、業績不振や経営危機が表面化して以降、主力行との協議を優先するあまり社内の対話が後手に回ったあげく、高橋社長がそのまま残留するなど経営トップの責任の取り方についても不信感が芽生えているという。
相次ぐ経営危機で後がないシャープの経営再建には今こそ「気持ちを新たに、そしてひとつに」なることが必要だが、情報統制や誤解招くメッセージ、先行き不透明な再建策などがもたらした社内のしこりは意外と根深い。
高橋社長は5月14日の会見で「社員とどう向き合うかは今日から始まる大きな課題だ」と述べたが、「10人に1人が人員削減で会社を去るのに気持ちをひとつになんて…」などの社員のぬぐいがたい思いが再建の足かせになりかねない。
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