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4月経済統計について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52703925.html
2015年05月29日 在野のアナリスト
口永良部島の新岳が噴火しました。鹿児島以南にある鬼界カルデラは、縄文時代に九州から西日本にかけて人が消えたといわれるほどの、巨大噴火を起こしています。今回もかなり大きな噴火ですが、歴史上では小さな噴火であり、縄文人が途絶するほどの噴火となれば、数十年にわたって噴煙が太陽光を妨げるようなとんでもない規模でしょうが、そうしたものが起こり得る、という認識にたって、噴火警戒については考えていかなければいけないのでしょう。
日経平均は11日続伸、この間の上げ幅は1000円に迫る勢いです。5月全体でも2日しか下げた日がなく、そのほとんどが欧州から流れてくるマネーの所為と云われます。ECBの緩和でだぶついたマネーが、歴史的にみても高値圏にある米欧より、まだ余力のある日本へ、という流れもあるのでしょう。そんな中、今日は経済指標の集中発表日です。まず有効求人倍率が1.17倍、前月比0.02pt上昇しています。しかし求職者数が前年同月比5.0pt減、前月比0.7pt減、新規求人数が前年同月比0.1pt増、前月比5.4pt増。つまり求職者が大きく減る傾向がつづいており、これが労働人口の減少を映すなら、日本は重症です。しかも就職件数も前年同月比4.8pt減と大きく下がっており、求職、求人にミスマッチが起こっている。雇用形態別でみると、求職は常用雇用の方がパートタイムより大きく下がっているので、高齢者や主婦が短時間の就労を求めている傾向もみえ、数字による印象より、実態はかなり深刻な状況を示すもの、という印象が強くなります。
これが総務省の労働力調査をみると、補完されます。雇用者数は前年同月比29万人増ですが、医療・福祉30万人増、サービス業23万人増でほとんどを占め、製造業や小売、運輸などが大きく下げています。つまり年度末の需要の一巡が、4月に出てきた。ここ3ヶ月は順調だった正規雇用も6万人増と大きく下がり、非正規雇用が30万人増と大きく上がった。年度の切り替えで、雇用形態にも変化の兆しがみられます。しかも自営業者は右肩下がりで減り、一方で15〜64歳の労働人口は減り、65歳以上の就労が増えている。いくら賃上げしても景気、小売への影響が少ないのは、労働人口の増加のほとんどを高齢者が占め、賃上げに関係しないから。しかも正規雇用の伸びは低い。低賃金労働ばかり増えている現状が、指標と効果のミスマッチを生んでいるのです。
家計調査は深刻でした。消費支出が前年同月比実質で1.3%減、名目で0.5%減。つまり増税後の反動減だった昨年4月よりも、支出が下がってしまったのです。実収入は前年同月比実質で2.0%増、名目で2.8%増ですが、2014年平均の実質3.9%減にもとどかなかった。まだ一昨年並みの購買余力ほどにはもどっておらず、これが支出を減らさざるを得ない、最大の原因です。しかも勤労者世帯の収支をみると、世帯主の収入は実質1.3%減であるものの、配偶者の収入が2.4%増。つまりこの結果から、賃上げの結果、実収入が増えたわけではなく、パートタイムなどの配偶者の頑張りによって、家計の収入が上がったに過ぎない。これは上記、求職者数の動向や、労働力調査からも裏付けられ、パートタイム、契約社員などの形態の伸びが支えているのが現状です。
鉱工業生産指数は前月比1.0%増。ただし、製造業の雇用者が減っている現状で、若干の違和感もある数字です。ただ4ヶ月ぶりの上昇であることからも、低位反発といった印象です。消費者物価は前年同月比0.3%増ですが、円は対ドルで100円前後、WTIは1バレル100$前後だったことからすると、実は円安ほどには物価が昂進しておらず、それを中小企業や自営業者がかぶる形となり、日本経済を圧迫する一因ともなっているのでしょう。経済指標からみえるのは、労働者にとってより厳しい現状であり、それが消費にも悪影響を与え、構造的に日本経済を押し下げる要因となっている、ということです。ここで労働法制をさらに改悪させる安倍政権は、もう日本のことなど考えていない、とも言えてしまうのでしょう。官製賃上げの効果がこの4月ですら出ていないのなら、安倍ノミクスは家計に対して一貫して負担にしかなっていない、としか言えないのです。海外投資家が、内需の回復を期待して入れてきた買いが、いつ途絶え、逆回転するか? 日本は色々なところで最悪のマグマを溜めているのかもしれませんね。
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