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[月曜経済観測]
世界の設備投資動向 欧州、車関係で回復傾向
ファナック社長 稲葉善治氏
米国と中国の経済が減速するなか、世界の設備投資の行方は焦点のひとつだ。工作機械の頭脳となる数値制御(NC)装置や、ロボットを生産するファナックの稲葉善治社長に、現状や先行きを聞いた。
中国、まだら模様
――工作機械の最大市場である中国では、景気が減速していますが。
「非常にまだら模様だ。スマートフォン(スマホ)を中心としたIT(情報技術)関係はまだまだ需要があるが、中・大型の工作機械はこの2年、たいへん厳しかった。いまは鉄道などのインフラ関係が動き始めてきたので、1〜2年後には需要が復活してくると期待している」
「インドは思ったより成長スピードが遅かった。道路を中心としたインフラ整備が遅れているのが一番の弱点だ。しかし中国の次の巨大市場になるので、インド国内の拠点もどんどん拡充し、準備を進めている」
――米経済が一時的に足踏みしているのは、気がかりではありませんか。
「ロボットにとって米国は最大の市場だ。航空宇宙産業のほか、自動車で活況を呈している。シェール関係の事業が止まったところでは影響が大きいが、全体ではかなり高水準の高原状態だ」
――欧州経済は持ち直してきた印象があります。
「ずっとパッとしなかったが、このところ特に自動車関係で元気が出てきた。独フォルクスワーゲン(VW)、独BMWなどが設備投資を再開してきている」
「ロボットの引き合いはドイツで大きく、フランス、イタリアでもある。製造ラインの増設が多い。工作機械向けのNC装置では、欧州に受け入れられるような仕様を充実させ、市場占有率を高めたい」
国内、ロボ横ばい
――日本国内の設備投資は堅調なのか、弱いのか、見極めが難しい段階です。
「国内で生産される工作機械のうち、国内に残る設備は20%程度。設備投資減税のおかげで最近まで盛り上がっていた。いま、その追加投資が動き出したので、もう少しカンフル剤が効いてくるのではないか。ただ、国内のロボットは横ばいで、残念ながらそんなに伸びていない」
「自動車にしても家電にしても、最終製品のメーカーが海外にいくと部品メーカーは海外で現地生産せざるを得ない。家電メーカーもどちらかといえば国内の工場は縮小し、自動車も国内の製造ライン増強という話はほとんどない。部品メーカーは国内の生産能力増強に動きにくいというのが実態ではないか」
――円相場の水準はどうですか。
「これ以上安くなると必ず反動があるので、いまぐらいの水準が安定して続くとありがたい」
――欧米では、ロボットが経済の生産性を高める効果が期待できる一方で、人間の雇用を奪いかねないとの議論が盛んです。
「ロボットは人間の生活を豊かにして、労働の負担を少なくするための道具だ。人間がもっと少ない時間で、もっと付加価値の高い仕事をできるようになるので、人間の雇用を奪うという発想はおかしい。人間が必要な仕事はいくらでもある」
(聞き手は編集委員 瀬能繁)
いなば・よしはる 株主還元と設備投資の強化を決めた。66歳。
[日経新聞5月25日朝刊P.3]
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