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あなたはr型人間?g型人間?判定チェックシート
ピケティ沸騰! この先5年、「超」格差社会の全貌
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150528-00015199-president-bus_all
プレジデント 5月28日(木)8時45分配信
r > gに対するマクロ的な解決策の一つは「国による富裕層への課税強化」である。では、“個人的”な解決策は、どのようなものになるだろうか。
フランスの経済学者トマ・ピケティが大ブームとなっている。彼の著書『21世紀の資本』は分厚い経済書であるにもかかわらず、米国を中心に、世界中で異例のベストセラーとなった。
『21世紀の資本』がこれほどの話題になったのは、ピケティが膨大な歴史データを駆使して、富を持つ人とそうでない人との格差が拡大しているという事実を明らかにしたからである。
ピケティは、格差を是正するにはどのような税制がよいのかという世界レベルの提言を行っており、日本におけるピケティ関連の議論も多くがこのあたりに集中している。こうした大きな話も重要だが、ピケティの主張が真実なのだとすると、私たちは、これからどのようにして、個人のキャリアや資産を形成していけばよいのだろうか。ここではそうした視点でピケティ理論を検証してみたいと思う。
■資産からの収入は所得の増加を上回る
ピケティ理論のエッセンスとなっているのは、r > gの法則と呼ばれているものである。ピケティによると、歴史的に、いつの時代も、資産の収益率(r)が所得の伸び(g)を上回っており、これによって富を持つ人とそうでない人の格差が拡大しているという。今後、世界経済の成長率鈍化により、格差拡大がさらに顕著になると予想している。
彼が説明する通り、資産を持っている人は、その資産を運用することでさらに富を増やすことができる。
例えば3億円の資金を持つ人であれば、債券や株式に投資することによって、年間で1000万〜1800万円程度の収入を得ることが可能だ(一般的な期待リターンは債券が3.5%、株式が6%程度)。これは、世間でいうところの不労所得であり、自身が働いて得た収入とは別のものである。資産の保有者は、お金を減らすことなく、毎年、資産が生み出すお金で資産を増やせる仕組みになっている。
これに対して、一般的なビジネスパーソンは、基本的に自分が働いて給料をもらうしかお金を稼ぐ方法がない。長期的に見れば、労働者が受け取る所得の増加は経済成長率とほぼ比例しており、経済成長率を大きく超えて増えることはない。資産運用から得られる利回りが、所得の増加率を上回っている場合には、資産家とそうでない人の格差が拡大するという理屈が成立することになる。
ピケティはマクロ経済のデータから資産の収益率を計算しているが、筆者も独自に、過去100年間に日本における株式や債券の利回りや値上がり率などから簡易的に資産の収益率を計算してみた。
得られた結論はピケティと同じで、いつの時代においても、所得の伸びを資産の収益率が上回っており、唯一の例外はバブル崩壊後の失われた20年だけであった。デフレ下の日本は、幸か不幸かそれほど格差が拡大しなかった時代だったということがわかる(現在、日本で進んでいる格差拡大は、貧困率の増加に代表されるように、どちらかというと下方向への拡大である)。だが今後、アベノミクスが成功して資産価格が上昇すれば、資産を持つ人とそうでない人の格差は一気に拡大していくはずだ。
■資産の中には自分自身も含まれる
こうした状況において、資産家ではない個人は、どのように行動したらよいのだろうか。単純に考えれば、株式や不動産などに投資すればよいということになる。だが当然のことながら投資にはリスクが伴うし、そもそも投資をするための原資がなければ、投資をスタートすることすらできない。
だがピケティはこうした部分についても有益な示唆を与えてくれている。ピケティが富として定義しているのは、特定の金融資産や企業の設備投資だけではない。広い意味では、あらゆる資産が富の対象として捉えられており、間接的には知的資産もそこに含まれることになる。そして、知的資産の蓄積が、実物資産や金融資産の収益率向上に大きく寄与していると考えている。
つまり、個人が持つ資産というのは、何も金融資産に限られる話ではないのだ。これまでのキャリアで得られたノウハウ、人間関係、知識など、あらゆるものが資産であり、それらを総動員することで、「自分」という資産から収益を得ていくという考え方がより重要となってくる。
rの部分は質的な部分(自分の価値を高めるための仕組み)であり、gの部分は量的な部分(労働時間)と考えてもよい。rの部分を継続的に上昇させる流れを確立することができれば、世の中の昇給スピードとは関係なく、自身の所得を拡大し続けることができるというわけだ。
■世の中の見え方が違ったものに
自分自身を「収益を生み出すための資産」と考えると、今、働いている職場の風景もまるで違ったものになるかもしれない。
例えば会社からの評価を例に取ってみよう。会社から十分に評価されていないと不満を持つ人は少なくない。中には上司の評価が不当だと怒っている人もいるだろう。この気持ちはよくわかるのだが、自分自身を資産と考えるなら、それは正反対の発想ということになる。
企業というのは収益を生み出す資産そのものといってよい存在なのだが、自身が企業であるならば、上司は自分にとって顧客ということになる。上司から評価されていないということは、顧客満足度が著しく低い状態にあると解釈することができる。企業において顧客満足度が低いという状況になったとき、「顧客が悪い」と怒り出したりはしないだろう。顧客がどんな性格であれ、どうすれば顧客満足度が上がるのか真剣に考えるはずである。
自分自身が収益を生み出す資産なら、上司に対して不満を持つのではなく、上司(顧客)の満足度を上げるための方策について、マーケティング的な視点で考えるというのが正しい姿勢である。
こうした視点が持てるようになると、社内の人事についても見方は大きく変わってくるはずだ。若手のときにはホープと呼ばれた人が、管理職に昇進するとうまく仕事ができなくなるケースは多い。その理由は、若手と管理職とでは、求められる仕事内容が異なっているからである。これを企業に当てはめれば、必要なビジネスモデルが変わったのと同じことだ。管理職に昇進して成果を挙げられなくなった人は、ビジネスモデルや市場の変化についていくことができなかったのである。
■どの会社に勤めるのかは市場選択の問題
会社に不満があったとしても、自身が富を生み出す資産と考えるならば、ただ不満に思っていてはダメである。自分を企業に見立て、rを向上させるための手段を模索する必要がある。現時点でのビジネス(今の仕事)は最小限にし、空いた時間を副業(新規事業)に費やしたほうが全体の収益率が高まるかもしれないし、場合によっては市場を変える、つまり転職を検討する必要も出てくるだろう。逆に、多少、不満があったとしても、他の市場(別の仕事)より相対的に有利と判断できるなら、そこに居続けるのがベストだ。これは、正しい、正しくないの問題ではなく、市場選択の問題なのである。
アフター5の付き合い方も同様である。仕事が終わった後の時間は、直接労働には関係しない。しかし、どのような人と、どのような付き合い方をするのかで、将来の人脈や年収が大きく変わってくるはずである。つまりアフター5の過ごし方は、rの部分に効いてくるのだ。
■自宅の購入にもrの視点を
資産拡大という視点があれば、住む家に対する価値観も変わってくる。
筆者の知人は、築年はそれほど新しくないが、ゴミ置き場に段差なしで行くことができ、共用スペースが広い中古マンションを購入した。古いマンションは、スペースにゆとりがある構造になっていることが多いのだが、こうした環境は、高齢者が入居する場合において、非常に重要なポイントとなる。
今後は高齢化で入居者の多くが年配者になる状況を考えれば、多少築年数が古くても、こうした物件のほうが逆に資産価値を維持することができ、賃貸に回しても収益を確保できる可能性が高い。持ち家を購入するという行為でも、自分の希望だけを基準に物件を選択するのと、市場性を考えて物件を選択するのとでは、結果は雲泥の差となってくる。
一方で、利便性を最優先し、住宅は機能的な賃貸物件でよいという考え方もある。住宅はコストとして割り切り、仕事の効率を向上させ、収入を最大化させたほうが合理的という発想である。どちらがよいのかは、人それぞれであり、どちらを選択したのかはあまり大した問題ではない。こうした選択ができていることが重要なのであり、それはrの視点を持っていればこそである。
収入が上がっていけば、それに伴って貯蓄も増加していく。そうすれば、資産の運用から得られる収入や資産の時価総額も同時に増えていくだろう。このように、資産が継続的に拡大する仕組みをつくることができた人は、規模は小さくても、紛れもない資産家であり、ピケティが主張するところの、rの側に立つ人間ということになる。
評論家 加谷珪一=文 早川智哉=撮影 時事通信フォト=写真
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