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米資金、高リスク商品へ流入
低格付け債などに270兆円 利上げが波乱要因に
【ニューヨーク=山下晃】米国で財務が脆弱な企業向けの融資や、格付けの低い債券の発行が膨らんでいる。4月末時点の残高は2014年末に比べ約2%多い2兆2600億ドル(約270兆円)と過去最高になった。世界的な金融緩和で行き場を失ったマネーが、高金利の金融商品に集まる構図だ。米連邦準備理事会(FRB)が利上げに動けばこうした商品の価格が下がり、投資家の損失が膨らむおそれがある。
信用力の目安である格付けが「投機的」とされる低い水準にある企業への融資である「レバレッジドローン」と、そうした企業が発行するハイイールド(高利回り)債券の残高をS&PキャピタルIQが集計した。
FRBなどによる金融緩和が長引くなか、相対的にリスクの低い国債投資の利回りは米国でも2%台(10年債の場合)にとどまる。
一方、レバレッジドローンの金利は国債の利回りより4%程度高いものもある。国債投資では十分な収益が得られず、株式にも高値警戒感が広がる現状では、魅力的な運用先として高リスクの金融商品に資金を振り向ける投資家が目立つ。
銀行は格付けが低い会社へ融資した後、最近はその債権を売却するケースが多い。金融危機後の規制強化で、リスク資産の保有が難しくなっているためだ。投資信託や年金ファンドなどがそうした債権を購入し、最終的な投資家となる。「影の銀行(シャドーバンキング)」とされるヘッジファンドなどもこうしたローンへの投資を増やしている。
ハイイールド債にも資金流入は続いている。ドル建てハイイールド債の残高は約1兆4300億ドルで、14年末から4%増えた。ハイイールド債はエネルギー関連企業が発行額の約15%を占める。原油相場の急落で警戒感が高まったが、原油安の一服で再び資金が集まりつつある。
こうした融資や社債への投資は、FRBが利上げに踏み切ると、損失が膨らみかねない。財務体質が弱く格付けが低い企業は、利上げが続くと金利負担に耐えきれなくなり、融資や社債の元利払いが難しくなるリスクが出てくるためだ。
投資マネーの流入で、ハイイールド債の価格は上昇している。利回りは国債などに比べなお高いものの、以前よりは低下している。FRBのイエレン議長は「一部の社債市場で割高な状況が認められる」と懸念を示す。専門家の間では「注意深く投資すれば魅力は残るが、米利上げを控えハイイールド債に対する懸念は高まってきている」(アライアンス・バーンスタインの低格付け債担当ディステンフェルド氏)といった指摘が出ている。
金融危機時は信用力の低いサブプライムローンを裏付けとする証券化商品の組成が活発となり、幅広い金融機関が保有していた。こうした証券化商品の値崩れが発端となり多くの金融機関が多額の損失を計上し金融システムを揺さぶった。
現在は規制の強化で、金融機関は高リスクの証券化商品をあまり持っていない。損失が発生しても、金融システム全体に深刻な打撃が及ぶとの見方は少ない。ただ、残高が高水準なだけに、割高になった金融商品が急激な値崩れを起こすと、投資家に大きな損失が出る可能性は残る。
[日経新聞5月22日朝刊P.7]
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車版サブプライムローン急増 危機前の水準超える
【ニューヨーク=平野麻理子】米国では、所得の少ない人を対象とする自動車ローンも増えている。米調査会社エクイファクスによると、2014年の貸出額は1400億ドル(約17兆円)で、金融危機前(07年)の水準を超えた。こうした高リスクのローンは好調な自動車販売を下支えしてきたが、すでに返済の遅れが増え始めている。
信用力の低い顧客に向けた貸し出しは「サブプライムローン」と呼ばれる。自動車ローン全体に占めるサブプライムの割合は上昇し続け、現在は約3割に達する。販売促進の一環としてサブプライムローンの提供を積極化しているもようだ。
サブプライムローンは借り手の信用力が低いほど金利が高く設定される。サブプライムの自動車ローンを基に組成した金融商品は高利回りとなり、現在の低金利下で投資家からの魅力を高めている。米国証券業金融市場協会によれば、自動車のサブプライムローンに基づく資産担保証券(ABS)の残高はこの1年で2割増えた。
低所得者層の間では、クレジットカードの利用やその他の借り入れも増えている。金融危機のきっかけとなった住宅ローンに比べれば自動車ローンやクレジットカードは規模が小さい。そのため仮に米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどが響いて焦げ付きが広がっても、金融システムに与える影響は限定的との見方がある。
ただローンの返済ができなくなった個人は支出を抑えざるを得ず、焦げ付きの拡大は個人消費にはマイナスになる。足元では原油安の恩恵でわずかに改善しているが、ムーディーズ・インベスターズ・サービスによると自動車ローンの60日以上の滞納率は2%前後に上昇しており、金融危機時の水準に近づいている。米国は個人消費が国内総生産(GDP)の約7割を占めるだけに景気全体への影響は見過ごせない。
[日経新聞5月22日朝刊P.7]
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