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コラム:原油市場で高まる「チャイナオイル」の存在感
2015年 05月 26日 15:02 JST
Clyde Russell
[シンガポール 25日 ロイター] - 中国がグローバル経済で自己主張を強めている証拠を探そうとするなら、アジアの原油現物市場はその良い一例だ。中国国有の中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)(0857.HK)のトレーディング部門であるチャイナオイルが4月、中東原油市場で55カーゴの現物原油を購入し、これまでの最高記録だった昨年10月の47カーゴを上回った。
こうした中国の現物原油の購入は、買い手と売り手の注文をその日の終値でマッチングさせる一方で、市場の価格形成プロセスに寄与するプラッツ・ウィンドウと呼ばれる相対の現物取引プラットフォームで行われた。
実際の多くの取引はプラッツ・ウィンドウ以外で行われているが、プラッツ・ウィンドウは市場で活発な売買をしている姿を見せたい場合に活用する場であり、チャイナオイルは旺盛な買い姿勢によって自らの認知度と大商いに伴う影響力を得たいと考えていることがうかがえる。
チャイナオイルが昨年10月、12月渡しの現渡取引で47カーゴを購入した際、市場では中国の戦略備蓄を補うための現物原油が必要なためだとのうわさが飛び交う一方で、大量の買いあさりによって起きた相場の変動を利用して、現物を伴わない先物などのペーパー取引で反対売買による利益を得たとの声も聞かれた。
今回は恐らく、明確な動機は見出し難い。チャイナオイルは4月に購入した原油の一部を今月に入って売却したのであればなおさらだ。
1つ考えられるのは、チャイナオイルはペーパー市場との裁定取引を行う上で、現物原油の価格上昇に満足しているという点である。もう1つは、ペトロチャイナの異なる事業部門間の利益の入れ替えの動きの1つとみる考え方だ。
原油価格の低迷に応じてペトロチャイナの上流部門はマージンの低下圧力を最も大きく受ける。一方で下流の石油精製や小売り部門は利益が拡大している。
地域の指標であるシンガポール市場の原油精製マージン<REF/MARGIN1>はここ数週間に強含み、25日には1バレル当たり9.36ドル近辺まで上昇。15日移動平均の8.45ドルを上回り、365日移動平均の6.56ドルよりはるかに高い。
チャイナオイルの買いは、精製門の利益縮小に部分的に寄与する可能性がある。トレーディング部門から調達した下流部門の原油が割高になるためだ。
<コモディティ取引で存在感高める中国>
しかし、チャイナオイルが存在感を高めようとする理由が何であれ、それによって影響が及ぶことは間違いない。
ある石油業界の幹部は「10月に47カーゴ購入した時、私は一生に一度の出来事だと考えた。しかし、その後にまた再び同じことが起きた」と話す。
アジアの原油市場で認知度を高めているのはチャイナオイルだけではなく、中国石油化工(シノペック)(0386.HK)のトレーディング部門であるユニペックも同様にプラッツ・ウィンドウで存在感を強めている。
これは国際石油メジャーだけでなく、コモディティ商社のビトルやトラフィギュラが市場で影響力を失いつつあることを意味する。
アジアの現物原油の取引は以前、お互いに顔をよく知る比較的少数のプレーヤーが参加するクラブのような形だった。そこでは個人的なつながりが重視され、参加者は誰もが自分たちの動きが世間から注目を浴びないようにしたいと考えていた。
チャイナオイルなどは公然とプラッツ・ウィンドウを利用することで、存在感を知らしめるとともに、自分たちの力を誇示していると言える。
中国が先月、米国を抜いて世界最大の原油輸入国になった今、ある意味で理にかなった動きとみることもできよう。
チャイナオイル、ユニペックの存在感の高まりは鉄鉱石や石炭、同といった他のコモディティで起きている事態にも当てはまるようだ。
中国のトレーディング会社はこうした市場でより大きな役割を果たすようになっており、中国が市場における価格決定力の面でコモディティの最大の生産、消費、輸入国としての地位を反映させようと進める努力の一環とみることは、大ぼらを吹いているとまでは言えないだろう。
輸入国としての地位を反映させようと進める努力の一環とみることは、大ぼらを吹いているとまでは言えないだろう。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0OB0AQ20150526
オピニオン:原油相場に波乱再び、6月下落か=柴田明夫氏
2015年 05月 27日 14:28 JST
柴田明夫 資源・食糧問題研究所代表
[東京 27日] - 米シェールオイルの生産減速などを受けて、原油相場は底を打ったとの見方が増えている。新たな均衡点は1バレル70ドル近辺になる見通しだが、落ち着くまでには下値方向にまだ波乱が起きそうだと、資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表は指摘する。
同氏の見解は以下の通り。
<6月のOPECとイラン核協議期限に要注意>
今年3月に1バレル40ドル台前半まで下がった原油価格(WTI)がその後、じりじりと上昇し、下値を切り上げている。方向としては70ドルを目指す可能性が高いが、そこに至るまでには特に下値方向で、ひと波乱もふた波乱もありそうな気配だ。
目先で注目されるのは、6月5日にオーストリアのウィーンで開催される石油輸出国機構(OPEC)通常総会と、同月末に最終的な包括合意の期限を迎えるイラン核問題協議の行方だ。
OPECについては、前回の通常総会(昨年11月27日)では、折からの原油安を受けてイランやベネズエラなどが減産を提案したものの、最大の産油国であるサウジアラビアの意向が貫かれて、日量3000万バレルというOPEC生産枠は維持された。総会前に高まっていた市場の減産予想を裏切ったことで、年末から年初にかけて原油安に拍車がかかったことは記憶に新しい。
では、今回はどうか。報道によれば、イランのジャバディ副石油相が18日、6月総会での減産決定の可能性を聞かれて、「そうは思わない」と回答したほか、サウジからも生産枠維持に向けた固い意思が伝わってきている。減産決定は今回もないだろう。
昨年12月にサウジのヌアイミ石油相が「1バレル20ドルまで落ちてもOPECは減産しない」と公言したことからも明らかなように、同国は今後2―3年については相当な原油安になっても良いと腹をくくっている感がある。実際、3月と4月のサウジの原油生産量は日量約1000万バレルと、統計で比較可能な1980年代以降で過去最高に近い水準にあり、かなり意図的に増やしている様子がうかがえる。
こうしたサウジの動きの背景には、核開発問題を抱えるイラン、非OPEC最大の産油国であるロシアに対するけん制など複数の理由があろうが、OPEC全体で共有されている減産回避の最大の理由は、やはり「シェールつぶし」ではないだろうか。
米国では、技術革新により、地下深くのシェール層に含まれている非在来型石油の増産が進んでおり、米エネルギー情報局(EIA)によれば、このシェールオイルを含む原油の生産は2010年の日量550万バレル水準から2014年には同860万バレル水準まで急増している。2013年5月には、国際エネルギー機関(IEA)が「拡大する米国のシェールオイル生産によって今後5年の世界での石油需要増加分は、世界景気が加速しても、ほとんど賄うことができる」との予想まで発表している。
恐らくサウジは、原油安の継続でコスト割れ生産に追い込まれた米国のシェールオイル事業者がもっと早く音を上げると期待していただろう。確かに、米国のシェールオイル生産は減速し始めているが、EIAによれば、主要鉱区の5月の生産量見通し(5月11日時点)は日量約564万バレルと依然高水準だ。
北米のリグ(掘削装置)稼働数は昨年ピーク時の6割まで減っているので、今後は減産傾向がさらに強まると予想されるが、ここでOPECが減産に動けば、原油相場が上値を一気に切り上げていく可能性があり、北米リグの多くがまた採算に乗ってしまう。当面は、チキンレースの消耗戦を仕掛け続けるのではないだろうか。
もうひとつの波乱要因は、イランの原油輸出だ。周知の通り、イランと欧米など6カ国は4月、イラン核問題の包括的解決に向けた枠組みで合意に達した。ただ、イラン側も6カ国側も詳細に関しては引き続き交渉が必要としており、最終合意が得られるまでは対イラン制裁は解除されない。その交渉期限が6月末に迫っている。
仮に交渉がうまく行き最終合意となれば、制裁は解除され、3000万バレルともいわれるイランの備蓄原油が輸出に向かうことになる。しかも、イランは日量70万バレルの増産余力を有している。現在の生産量は280万バレル。つまり、350万バレルというイラク並みの産油国が市場に復帰することになる。
このように考えると、地政学リスクの突発的な高まりによる上値方向の波乱に引き続き注意が必要だとしても、当面はむしろ下値方向に大きな波乱が起きる可能性が高いのではないだろうか。
<将来的には100ドル回帰も>
ただし、現在の50―60ドルという低い原油価格が、需給面で見て、長期的に持続可能だとは思えない。
2030年代に向けて、世界の石油需要は曲がりなりにも増えていく。主役は、圧倒的に輸送用の燃料(ガソリン、軽油、ジェット燃料など)だ。電気自動車や燃料電池車、天然ガス自動車といった次世代車の普及が進むとしても、10億台を超える既存のガソリン車がすべて移行してしまうわけではない。新興国を巻き込みモータリゼーションが継続する中で、輸送用燃料の需要はこれからも伸びていくことが期待できる。
一方で、1バレルあたり4―5ドル程度と生産コストが極めて安い中東産などの在来型石油は、全体の埋蔵量から言えば、半分ぐらいはすでに掘ってしまっている。「チープオイル」「イージーオイル」の供給は限界に来ている。
こうした状況下、拡大する需要に対して供給を増やそうとすれば当然、シェールオイルなどの非在来型石油の増産が必要になってくる。つまり、こうした新しいエネルギー源の限界生産コストが、長期的には問われていくことになる。
振り返れば、原油相場は2011年から昨年秋口まで4年近くにわたって、おおむね90ドル台から110ドル台の間で推移してきた。むろん、成長の勢いを欠く世界経済の現状に鑑みれば、地政学リスクが深刻化しないかぎりは、100ドル到達は当面難しいだろう。
ただ、40ドル台や50ドル台は、シェールオイルなど非在来型石油の生産コストに照らすと、安すぎる。上値を決める基準の1つは、世界経済の成長を妨げる原油価格の「グラスシーリング(ガラスの天井)」はどこかということだが、その天井が経済の復調によって持ち上げられていけば、おのずと原油価格も100ドル水準に再び向かっていくのではないだろうか。
*本稿は、柴田明夫氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて構成されています。
*柴田明夫氏は、資源・食糧問題研究所代表。1976年東京大学農学部農業経済学科卒業後、丸紅入社。鉄鋼第一本部、調査部などを経て、2006年に丸紅経済研究所所長、2010年に同代表。2011年に資源・食糧問題研究所を開設し、代表に就任。「資源インフレ」「食糧争奪」「シェール革命の夢と現実」など著書多数。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0OC08G20150527
コラム:「日本株式会社」の買収攻勢、中国の壁に直面
2015年 05月 27日 13:56 JST
Quentin Webb
[香港 26日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 海外で怒涛のように企業合併・買収(M&A)を進めてきた「日本株式会社」の前に、中国という壁が立ちはだかった。
LIXIL(リクシル)グループ(5938.T)にとって、傘下のドイツの水栓金具製造会社ジョウユウ(JY8G.DE)が破産手続きに入ったことは対処可能な出来事だろうが、破産をめぐる怪しいエピソードは面目を失わせるものだ。同じことはジョウユウが上場しているドイツにも当てはまる。
日本企業は借り入れコストの低さと国内市場の縮小を背景に、海外でM&Aを積極化してきた。米ゼネラル・エレクトリック(GE)でM&Aの腕を磨いたリクシルの藤森義明社長は、大胆な買収を進めてきた第一人者の一人だ。
藤森氏は2013年、政策投資銀行の支援を得てドイツ水栓金具大手「グローエ」を40億ドルで買収した。グローエがその2年前に取得していたジョウユウの過半数株式を通じ、中国の経済成長を取り込めることが重要な魅力だった。
これが裏目に出た。リクシルは先月、ジョウユウを経営するCai一族からグローエ株12.5%を買い取り、両社への締め付けを強めた。しかしここにきて、ジョウユウの昨年の売上高や債務、キャッシュが怪しい数字だったのではないかとの疑いが浮上した。同社は香港事業の完全償却に踏み切っており、創設者のCai Jianshe氏とその息子を訴える可能性がある。ジョウユウは5月21日、破産手続きの申し立てを決めたと発表した。
子会社のそのまた子会社が破綻したからといって、リクシルの存続が脅かされるわけではないが、金銭的な影響は甚大だ。ジョウユウの株式と債務保証に絡んで予想される損失410億円(3億3700万ドル)は、リクシルの2014年3月期の純利益にほぼ匹敵する。投資家にも損害が及んだ。3月31日以来、日本の工業セクター株が7%上昇したのに対し、リクシル株は18%下がった。
ドイツ上場の中国企業では不祥事が相次いでおり、ジョウユウは最新の事例となった。フランクフルトの監督当局、法律専門家、会計士、バンカーらは中国企業家の関わる事業に不審な点がないか、もっと神経を尖らす必要がある。
そして日本株式会社にとって今回の1件は、世界帝国を拙速に築こうとすれば質の方はある程度疎かになりかねないことを思い起こさせた。
●背景となるニュース
*ジョウユウは破産手続きの申し立てと創設者の提訴を計画している。同社は21日、香港事業を償却する必要があると発表した。
*ジョウユウの創設者兼最高経営責任者(CEO)のCai Jianshe氏と息子のCai Jilin最高執行責任者(COO)は経営委員会から更迭された。ジョウユウは2人に対する「包括的な法的行動」を検討していると発表した。
*ジョウユウは2010年に上場し、過半数株式を翌年グローエに売却した。2013年にはリクシルと日本の政策投資銀行が債務を含め30億6000万ユーロ(41億ドル)でグローエを買収した。
*リクシルは4月1日、Cai一族の企業からグローエ株の12.5%を2億0500万ユーロで取得した。これによりリクシルのグローエ株保有比率は56.25%に拡大し、グローエとジョウユウの両方を連結決算に組み入れることが可能になった。
*ジョウユウの監査役会は4月27日に特別監査を発表した。その6日後には、開示された2014年決算が、同社が検証した売上高、債務、キャッシュから「大幅に逸脱」していたことを明らかにした。
*リクシルは通年決算の発表を先送りした。同社は21日、ジョウユウの破産申請により保有株式で250億円(2億0500万ドル)、ジョウユウ子会社に対する債務保証で160億円の損失が生じる可能性があると発表した。
*ジョウユウの21日の声明は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
bit.ly/1Htrdhb
*リクシルの4月25日の声明は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
bit.ly/1AqnRi1
*リクシルの5月7日の説明資料は以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
bit.ly/1FMzEHx
*リクシル株および日本の工業セクター株の3月31日以来の対照グラフは以下のアドレスをクリックしてご覧ください。
bit.ly/1Fcnggc
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0OC0AK20150527
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