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原油需給は引き締まるがドル高などが上昇ペース抑制
http://diamond.jp/articles/-/72040
2015年5月27日 芥田知至 [三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員] ダイヤモンド・オンライン
5月初めにかけて、原油相場はかなり速いペースで上昇してきた。5月6日の終値を3月末と比べると、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で28%高、ブレントで23%高だ。
上昇の背景には、それまで原油需給緩和の主因となっていた米国のシェールオイルの増産に歯止めがかかり、原油需給の引き締まり観測が徐々に強まってきたことがある。増加を続けてきた原油在庫も、5月8日に終わる週には、17週ぶりに減少に転じた。今後、ガソリンを中心に原油需要が増える時期になることもあって、需給引き締まり観測がさらに強まりやすい状況になっている。
もっとも、原油市況は、こうした状況を先読みしてきた面もあり、現在相場の上値は重くなっている。原油相場が上昇に転じたことを受けて、採算割れから減産の動きが見え始めた米国のシェールオイルが再び増産に転じるため、原油価格は再び下値を試すとの見方も出ている。
原油需要の動向については、欧州景気に改善の動きが見られるなど、世界景気の下振れ懸念は後退し、原油需要の見通しもやや上方修正される動きが出ている。
だが、中国経済は不動産部門の停滞が続くなど減速感が残っている。景気が底堅さを保つ米国でも足元はやや弱めの指標が少なくない。当面、世界景気の拡大テンポや世界の原油需要の増加ペースは、ゆっくりとしたものにとどまるだろう。
FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げが後ずれするとの観測やユーロ圏経済の持ち直しを背景に、4月半ば以降は、ドル安が進んでおり、原油相場を押し上げる材料になった。
もっとも、FRB以外の中央銀行は金融緩和に向かう傾向にある一方で、FRBは利上げを志向している。金融政策の方向感の違いからドル高が進みやすい環境は続いており、今後は原油相場の抑制要因になると思われる。
OPEC(石油輸出国機構)は、原油相場が変動しても、原油生産量を維持する姿勢を変えないだろう。非OPECとの協調減産を模索する動きがあるが、容易には進まないとみる。なお、イラン核開発協議で最終合意が成立し、イラン産原油の輸出が増加する見通しとなった場合は、サウジアラビアなどが減産し需給調整を行うと予想している。
以上から判断すると、米国の原油需給の緩和状態は緩やかに引き締まりに向かい、原油相場は上昇すると予想される。しかし、ドル高圧力の継続、OPECの減産への慎重な姿勢、世界景気の緩やかな拡大テンポなどが原油価格の頭を押さえる。上昇ペースは緩やかになるだろう。
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)
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