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ジャネット・イエレンFRB議長〔AFPBB News〕
社説:米国の期待外れの景気回復 FRBはあらゆる選択肢を残しておくべきだ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43876
2015.5.26 Financial Times
(2015年5月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
来るべき米国の金利の転換点は、幾多の金利サイクルでも最も情報が発信されているものかもしれない。だが、考えを明確にしようとするジャネット・イエレン米連邦準備理事会(FRB)の懸命の努力にもかかわらず、米国経済の見通しは視界不良で曇ったままだ。
イエレン議長は先週、第1四半期の米国経済の成長急減速にもかかわらず、FRBは依然、今年中に――もしかしたら9月に――金利を引き上げる可能性が高いと述べた。
一連の厳しい冬など、何らかの理由で、毎年1〜3月期は他の四半期のパフォーマンスを下回る傾向がある。大幅に下回ることも多い。
米国経済は2014年第1四半期に年率で2.9%縮小したが、結局、その後の3四半期に回復を遂げることになった。願わくば、今年第1四半期の0.2%という弱々しい成長も同じにようにミスリーディングだったという結果になればいいのだが。
■当てにならない予想
だが、仮定をするのは賢明ではない。2015年が年初と同じ状態で暮れ、米国の金利がゼロのままで終わる可能性は十分ある。
イエレン議長は次のように指摘している。「長年、経済予測を行ってきた経験に基づくと、私が書くどんな具体的な予測も間違いだったことが判明し、もしかしたら大間違いとなることを確約できる」
もちろん、議長の予測がプラスの方向に間違える可能性はある。FRBは今後2年間の米国の経済成長率を2.5%と予測している。この数字は、間もなく7年目に入る景気回復が始まってから成し遂げられた冴えない成長率を若干上回る程度だ。
失業率が2015年末までに5%に低下すれば、賃金の伸び率はついに上向き始めるかもしれない。
その場合、FRBは恐らく金融刺激策というパンチボウルを片付ける必要があるだろう。
しかし、リスクのバランスは反対方向に偏っている。所得の伸びが何年も事実上ゼロだった後、一般市民はプラスのショックに対する準備ができていないのだ。
■眠ったままのアニマルスピリッツ
例えば、米国の消費者が最近のガソリン価格下落から得た利益を懐に仕舞い込むことを選び、支出を増やさなかったことは特筆に値する。依然、期待外れなほど弱い企業の投資にも同じことが当てはまる。
米国経済の主な成長のドライバーは、それぞれ、他のドライバーが最初に動くのを待っているように見える。投資家は投資するのに消極的で、消費者はお金を使うのをためらっている。彼らのアニマルスピリッツを呼び覚ますためには何が必要なのだろうか。
金融政策にできることの限界に関するイエレン議長の率直さも印象的だ。FRBは7年連続で思い切りペダルを踏み込み続けてきた。だが、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻以降の米国の経済成長は、一貫して過去の景気回復を下回ってきた。
HSBCによると、前回のピーク以降の7年間の米国の平均成長率は、1981年の後が3.5%、1990年の後が3.1%、2000年の後が2.1%、2007年以降が1.1%だった。
方向性は間違いようがない。エコノミストの間には、米国が日本流の成長へと下方に調整しなければならない「グレートリセット」について語る向きさえいる。
これは恐らく悲観的すぎるだろう。米国は1990年代の日本よりはるかに急ピッチでバランスシートを修復したし、米国の人口動態の展望は日本よりずっと健全だ。
また米国は今も世界で最も革新的な経済国だ。だが、経済成長の見通しは依然、非常に米国らしからぬ悲観主義によって抑えられている。
もし、予想されている通りに米国の成長率が今後2四半期で持ち直せば、イエレン議長は9月、あるいはその後まもなく金利を引き上げるしか選択肢がほとんどないかもしれない。困ったほど低い米国の労働参加率は、それ以外の対策を取る余地をほとんど与えてくれない。
■浅く、小幅な金利サイクルの転換
だが、米国の金利サイクルの転換は浅く、小幅なものになる可能性が高い。トレンド金利に戻るまでには何年もかかるかもしれない。
モハメド・エラリアン氏が指摘するように、米国は「中央銀行の近代史において最も緩やかな引き締め」に向けて準備しているところだ。暫定的な予測の時代にあっては、恐らくこれが限りなく確実性に近いものなのだろう。
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