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米連邦準備理事会(FRB)の利上げのタイミングに世界中の関心が集まっている〔AFPBB News〕
金融緩和時代の終わりの始まり FRBの利上げに身構える各国中央銀行
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43864
2015.5.25 Financial Times JBpress
(2015年5月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界金融危機以降、人類は死と税金と並ぶ3つ目の確実性とともに生きることを学んだ。金融緩和である。
各国中央銀行はインフレを喚起し、経済成長を再開させるために、過去最低水準まで金利を引き下げ、前代未聞の資産購入プログラムに乗り出した。
しかし、金融政策の立案者たちがともに歩んできた共通の道は、今年、枝分かれすると見られている。分岐のタイミングとその副作用を抑える方法は、金融の安定と世界経済の回復にとって重要な意味を持つ。
まずまずの経済成長が数年続き、失業者が大きく減少した後、米連邦準備理事会(FRB)とイングランド銀行は量的緩和プログラムの拡大をやめ、ほぼ10年ぶりとなる利上げを視野に入れている。
逆に欧州中央銀行(ECB)は11兆ユーロ規模の資産購入計画に乗り出し、全面的な緩和モードに入っている。アジアでは、日銀が自国の国債購入プログラムに勤しむ一方、中国人民銀行は半年間で3度目の利下げを実施したばかりだ。
■米国の利上げのタイミング
世界経済が直面する目先の危機は、正確にいつ米国の利上げが行われるかというタイミングにある。第1四半期の成長は期待外れとなり、5月半ばに発表された小売売上高と鉱工業生産の弱い統計は、米国の成長減速が季節的な落ち込み以上のものである可能性を示唆していた。
エコノミストらはFRBによる早計な金融引き締めから生じるダメージが米国にとどまらず、大きく広がることを懸念している。世界で最も重要な経済国がまた景気後退に陥れば、すべての大陸の輸出業者に害が及び、景況感と投資も打撃を受けるだろう。
しかし、時宜を得た利上げが実施されたとしても、世界経済は安全とはほど遠い状況にある。
国際通貨基金(IMF)のホセ・ビニャルス金融資本市場局長は今年4月、米国の比較的高い金利が外国から投資家を呼び戻すようになるにつれ、新興国市場はボラティリティーが上昇し、流動性が急停止するリスクに直面すると警告した。
一部の人は、いわゆる「スーパーテーパー癇癪*1」が、2013年にベン・バーナンキ前FRB議長が量的緩和策の段階的縮小をほのめかした時に引き起こした市場の混乱をも超える恐れがあると見る。
こうした向きは、全世界でより協調的な金融政策が行われることを求めている。
だが、銀行ウォッチャーらは、それは合法ではないかもしれないと釘を刺す。金融当局は国内で負託を得ており、自国の政策が外国にもたらすかもしれない波及効果に基づいて決断を下すことはできないからだ。
為替相場を管理するための協調行動にも問題がある。ウィスコンシン大学マディソン校のエコノミスト、チャールズ・エンゲル氏が指摘しているように、さまざまな通貨の相対価値を決定する合意されたモデルは存在しない。
■政策立案者にできること
それに加え、政策立案者がそのような交渉に入る際に直面する多大な政治的圧力がある。
大方のアナリストが同意するのは、2013年当時と比べると、政策立案者は将来的な措置について、より明確な道筋を示せるということだ。実際、新興国の一部の中央銀行関係者は、利上げの決定そのものより、利上げを巡るFRBの過剰な躊躇のリスクを憂慮しているように見える。
*1=taper tantrum、癇癪を意味するtemper tantrumと量的緩和の段階的縮小を差すtaperをかけた言葉
大きな乖離に向けて身構える中、一部のエコノミストは金融の波及効果から生じるリスクを分担する方法を探すよう各国に求めている。
IMFは1つのバッファーになり得る。
IMFは全面的な融資プログラムからより柔軟な与信枠設定まで、さまざまな支援を提供している。IMFのクリスティーヌ・ラガルド専務理事は数十億ドル規模の融資ファシリティを取り仕切ることができるが、多くのエコノミストはこれをさらに拡大できると考えている。
2010年に合意された変更により、IMFの融資能力が強化されることになっていたが、IMFの資本増強の批准を拒む米連邦議会によって阻止されている。
米国経済が順調に加速していく限り、金融政策の乖離は避けられない。しかし政策立案者は、この新たな局面への移行が荒々しい動きではなく、単なる揺れ程度で済むようにする手段を持っている。
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