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絶体絶命ワタミを立て直すには“和民ブランド”捨てる覚悟を
http://diamond.jp/articles/-/72062
2015年5月25日 週刊ダイヤモンド編集部
ワタミの経営に黄信号がともっている。2期連続の最終赤字に陥り、財務状況が急激に悪化しているからだ。
2013年3月期末、自己資本比率は25.4%、純資産は320億円あった。それが、15年3月期末にはそれぞれ7.4%、102億円にまで落ち込んだ。
ワタミが展開する飲食店ブランドの中でもワタミ色の強い業態は落ち込みが続いている
Photo by Ayako Suga
15年3月期の当期損益は127億円の赤字。今期も同レベルの赤字となれば、自己資本を食いつぶして債務超過に陥りかねないという“危険水域”だ。
ワタミの清水邦晃社長は、「自己資本の充実については策を考えている」と言うが、市場関係者は、「こんな状態になってしまっては、もはやエクイティ・ファイナンスの引き受け手はいないだろう」と訝る。
こうした危機の原因は、何といっても主力事業である居酒屋チェーンの不振だ。10年以上にわたって既存店売上高が前年を上回ったことがなく、経費をコントロールして何とか利益を捻出してきた。だが、いつまでも続くわけもなく、この2年間は赤字だ。
加えて、居酒屋の不振を補ってきた介護や宅食事業も利益が出せなくなっている。
このうち介護事業では、2年前まで90%を超えていた入居率が、15年3月期は77.9%にまで落ち込んでいるほどだ。
これは、従業員の過酷な労働環境が問題となった“ブラック企業”と名指しされたことによるイメージ悪化の影響が大きい。つまり、不振の外食事業を、介護や宅食で下支えするという構造が、ブラック企業問題により崩れ落ちたというわけだ。
■脱主力ブランドしかない
決算発表の場で、清水社長は「今期は何としてでも黒字にする」と宣言したが、決して平たんな道ではなさそうだ。
そもそも、居酒屋事業の立て直しについて、「これまでの挑戦は失敗続き」(関係者)。2〜3年前に看板を赤から黒にし、内装も一新するなど、ブランドイメージの回復を図ろうとしたこともあったが、効果は一時的だった。
そのため、業界関係者の多くが「立て直しのポイントは、ワタミの看板にこだわり過ぎないこと」と口をそろえる。
ワタミやわたみん家といった主力ブランドは長年にわたり苦戦しているものの、ワタミの名前が付いていないレストラン業態などは好調だからだ。そこで、あえて毀損したワタミブランドを隠すことで「多ブランド化」を図れというわけだ。
目下、ピーク時に626店あった店舗のリストラを加速させている。前期に100店を閉鎖したのに続いて、今期も85店を追加で閉鎖する予定だ。だが、そうした弥縫策で間に合うレベルではなく、ブランドを捨てる覚悟がなければ根本的な業績の改善は困難だと言わざるを得ない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)
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