http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/811.html
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業務提携を発表したトヨタの豊田章男社長(左)とマツダの小飼雅道社長
トヨタ、マツダの提携に疑問 信頼関係だけで遠距離交際みたいなもの
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150524/dms1505240830004-n1.htm
2015.05.24 大前研一のニュース時評 夕刊フジ
5月13日に出そろった国内自動車7社の2015年3月期連結決算は、トヨタ自動車など5社が増益となった。北米での好調な販売や円安の追い風、コスト削減が寄与した。
一方、競争が激しい軽自動車の比率が高いホンダとスズキは減益。タカタ製エアバッグのリコール(回収・無償修理)による品質関連費用がかさんだことも影響した。
7社合わせた営業利益は5兆円を超えて最高水準。特にトヨタ自動車は、最終的なもうけを示す純利益が前年比約19%増の2兆1733億円と、初めて2兆円の大台を超えた。本業のもうけを示す営業利益も同20%増の2兆7505億円となった。日本全体の法人の純利益の約10%をトヨタ1社で占めるというのは、ちょっと異常な状況だ。
今後、トヨタがこの利益を投資やM&A(企業の合併、買収)に向ける場合、私はフィアット・クライスラーあたりを勧めたい。いま激しくトップを競っているフォルクスワーゲンを引き離す秘策となる。しかも30%のプレミアをつけても1年分の利益で買収できるのでトヨタにとっては大きなリスクではない。
グループ内の部品メーカーに還元するという選択肢もあるが、アイシン精機もデンソーも好調でかなりの利益を出している。その必要もなさそうだ。トヨタの利益は純粋に経営改善からきているので、しばらくはこれを株主に還元することになるだろう。
そうしたなか、トヨタとマツダが13日、環境や安全技術の分野で業務提携すると発表した。トヨタの燃料電池車(FCV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の関連技術、マツダのガソリン・ディーゼルエンジンの出力向上と低燃費技術を、それぞれ提供する方向で協議を進めるという。
トヨタは燃料電池車「ミライ」の製造ノウハウを提供、マツダも独自技術の新世代クリーン・ディーゼルエンジン「スカイアクティブ」の一部を提供する。お互いに得意な技術やノウハウを持ち寄り、効率的な開発を進め、世界各国で強化が進む環境規制への対応や安全対策などで、他メーカーに先がけて相互補完を図ろうというわけだ。
トヨタの豊田章男社長は、「お互いのエンジニアが組むことで、どんな化学作用が出るだろうか、どんな商品が出てくるだろうかと、私もワクワクしている」と期待感を示していたが、私はこれには疑問符を付けたい。
両社は資本的関係がなく、信頼関係だけで提携している。普通では考えられない。名古屋と広島の遠距離交際みたいなものだ。トヨタにしてみれば、欧州で人気が極めて高いディーゼルエンジン車に関し、ある程度メドがついているマツダにコナをかけておいて、将来的に資本を導入するということなのだろうか。技術者は自前技術を磨くことに懸命なので、ここはやはり合弁で共同開発会社を立ち上げるなどして組織を固めていかないとトップの淡い期待には応えられないだろう。
マツダはかつて米国のフォード・モーターの傘下にいたことがあるが、フォードがどう出てくるかも興味深い。1996年以降、マツダの経営再建のために役員として送り込まれた人たちが現在、フォードでは会長などの要職にいて、マツダとのつながりも強い。よりを戻すんじゃないかという懸念もある。
そこで、GMが1位の米国でトヨタと2位を競っているフォードに対してクサビを打ち込んでおく、という深慮遠謀もあるのかもしれない。
■ビジネス・ブレークスルー(スカパー!557チャンネル)の番組「大前研一ライブ」から抜粋。
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