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配偶者控除問題 気になるのは財務省の動き
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43416
2015年05月24日(日) ドクターZ 週刊現代 :現代ビジネス
政府は2017年にも配偶者控除を見直す検討に入ったようだ。ただし、この件に関する報道のされ方が気になる。
大手経済紙は、安倍総理が訪米前に財務省幹部を呼び、所得税改革の一環で配偶者控除の見直しの検討を加速するように指示したと報じている。「財務省幹部を呼び」と書かれているところがなんともきな臭い。
そもそも安倍政権は「女性の活用」を成長戦略の一つに掲げ、事務次官などにも女性を起用している。今の配偶者控除が女性の社会進出の妨げとなっているというロジックで、配偶者控除の見直しという展開になっている。しかし、どうも、この機会に乗じて、財務省が増税を策しているような気がする。実際、昨年にも同じような配偶者控除の見直しの検討があったが、結果として増税案だったために、今年に先送りされた経緯がある。
配偶者控除とは、専業主婦やパートなど収入が一定額以下の配偶者がいる家庭では所得税や住民税が軽減される制度。妻の年収が103万円以下であれば、所得税は38万円、住民税は33万円を世帯主の課税所得から引かれる。このため、控除の対象外になることを心配して、「103万円の壁」といわれるように、女性が働く時間を自ら制限してしまう。
さらに、「130万円の壁」もある。妻の年収が130万円以下の場合は、夫の扶養になり、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を負担する必要はない。しかし、年収130万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険料が自己負担になるのだ。
配偶者控除では、妻の年収が103万円を超えた途端に、配偶者控除が適用されなくなるわけでない。妻の年収が103万円から141万円以下の場合には、配偶者特別控除が適用され、段階的に控除を受けられる(ただし、夫の所得が1000万円以上ある場合には適用にならない)。
こうした制度の下で、家計全体として夫婦で税金を払った後の可処分所得はどうなるだろうか。妻の年収が130万円から150万円くらいの範囲だと、家計全体での年収は増えるのに手取りの可処分所得が少なくなってしまう可能性がある。これは、税と社会保険料がうまく統合されていないからだ。
税務当局と社会保険料を徴収する年金機構を統合した「歳入庁」の必要性は各方面から指摘されているが、それがあれば、税と社会保険料がバラバラになっている不都合はかなり少なくなる。
税だけの配偶者控除を見直すよりも、税と社会保険料をうまく統合し、家計全体での年収は増えるのに可処分所得が減少するような「働き損」をなくすことが必要だ。その上で、働く女性が「103万円の壁」や「130万円の壁」を意識しないですむような、段階的な控除を構築する必要がある。
これは、現在の制度より控除の拡充になり、配偶者控除の廃止で増税をもくろむ財務省の方針とは真逆になってしまう。国民にとって、さらに専業主婦層にも朗報であるが、はたして、財務省にそれができるだろうか。
どう考えても、税だけの改革より、税と社会保険料を統合した改革のほうが、安倍政権が推し進める「女性の活用」の目玉政策になるはずだ。
『週刊現代』2015年5月30日号より
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