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年内の利上げを示唆したイエレンFRB議長 photo Getty Images
FRBは年内に利上げに踏み切れるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/43452
2015年05月24日(日) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
5月22日、イエレンFRB議長は講演で、「米国の景気が今後も回復してゆくならば、年内に利上げを開始することが適切だ」との見解を示した。
同議長は、足許の景気が幾分減速気味であることを認識しつつも、金融市場の過熱感への懸念を背景に利上げの正当性を主張した。
4月のFOMC議事録で6月の利上げの可能性が低下し、一部市場参加者は、年内の利上げも困難ではないかという見方を持っている。その中で、今後の回復を条件にしつつ利上げに言及することは、経済に思わぬリスクをもたらす可能性を孕んでいる。
■米国の景気回復は鈍化している
イエレン議長は今後も景気回復が続くと考えているようだ。しかし、足許の米国経済は幾分弱めに推移している。製造業の景況感、中古住宅の販売は市場の予想を下回っている。予想を上回る貿易赤字等を考慮すると、今後のGDP成長率がマイナスに陥ることも考えられる。
こうした弱い景気の動きから、FOMCは6月の利上げが時期尚早だと判断した。市場では9月の利上げを期待する動きが強まっているが、今後も軟調な景気が続くのであれば、利上げそのものが困難になる可能性を完全に払拭できない。
そして、すでに景気のピークは過ぎたという点も慎重に評価すべきだ。ドル高は企業収益を圧迫している。雇用が回復する一方で賃金も有意には伸びていない。そして、非農業部門の雇用者数の伸びも鈍化している。景気低迷が天候等の一時的な要因だけに依存しているとは言い切れない。
■株式市場は低金利に依存している
ここで注目すべきポイントは、景気回復の勢いが鈍化しつつある中で、株価が上昇していることだ。S&P500指数のPER(株価収益倍率)は18倍程度で推移している。長期的な平均水準と言われる14倍から17倍に比べればやや高いものの、著しく株価が割高だということは難しい。
イエレン議長の発言に対する市場の反応を見ると、株価は議長発言を受けて下落した。株式市場の利上げに対する抵抗力は十分には高まっていない可能性がある。それは、景気の動きや企業業績が期待を押し上げるほど強くはなく、株価が低金利に依存しているからだろう。
リーマンショックから7年近くがたち、世界的な金融の緩和が株式などの資産価格を上昇させてきたことは確かだ。
そのため、議長発言にもある通り、低金利のあまり景気が過熱しすぎることは避けなければならない。しかし、足許の景気は過熱よりも、下方リスクに直面しつつある。この点は冷静に状況の推移を見守る必要がある。
今後、景気が堅調さを取り戻せば利上げは可能だろう。FOMCの声明にある通り、利上げはデータに依存する。そうであったとしても、景気の弱い部分が見えている状況下で「回復が続くなら利上げが妥当」という議長発言の背景には、何とかして利上げしたいという“願望”すら感じさせる部分がある。
軟調な景気、そして、その中でも株価が過去最高水準を更新している状況を踏まえると、利上げは容易ではないだろう。むしろ、利上げが景気を一段と後退させてしまうリスクこそ、慎重に評価されるべきだろう。
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