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中国「利下げで景気減速」「為替で冷や水」のあべこべ…手詰まりの党指令型経済
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150523-00000504-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/5/23 19:03
中国は11日に、昨年11月以来3度目となる政策金利引き下げに踏み切った。中国景気の不振が背景だが、この利下げは景気にはほとんど効かず、手詰まりになった中国の党指令型経済を象徴している。
経済の常識では、不況に陥った国は利下げなど金融緩和により内需を刺激すると同時に、利下げによって誘導される自国通貨安によって輸出をてこ入れする。中国の場合、積極的に利下げしているが、当局は人民元の対ドル・レートを安くするどころか、逆に上昇させている。通貨高は経済を緊縮させるのだから、利下げで景気を刺激しながら、為替政策で冷や水をかけるという、まことに奇妙な政策をとっていることになる。
■「世界一」内実は外貨窮乏
金融市場が自由化されていれば、市場原理が働く。外為市場では利下げと同時に人民元が売られて相場が下落するのだが、当局が介入して外為相場をコントロールする「管理変動相場制」の中国はあえて元相場を引き上げる。
なぜ、市場原理に逆らった為替操作を行うのか。
まず、北京当局が元を切り下げると、かねてから「元は安すぎる」として切り上げを求めている米議会を怒らせ、対中貿易制裁の機運に火をつけかねない。北京はしかも、元を国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「SDR(特別引き出し権)」の構成通貨に加えるよう、ワシントンに働き掛けている。これに対し、IMF理事会で拒否権を持つ米国は時期尚早とみている。そんな中で、元を切り下げると、元のSDR通貨化の望みはなくなる。
それ以上に、切実なのは、資金の対外流出である。グラフを見ていただこう。中国の外貨準備は昨年6月末をピークに減り続け、ピーク時に比べ昨年12月末で1500億ドル減、今年3月末は2630億ドル減となった。中国は国際金融市場からの銀行借り入れや債券発行で合計年3000億ドル前後のペースで外貨を調達しているが、それでも外準が大幅に減る。「世界一の外準保有」を誇っていても、見せかけに過ぎず、内実は外貨窮乏症に悩まされている。だからこそ、多国間銀行であるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の看板を掲げて、国際金融市場からの借り入れを容易にしようという算段なのだろう。
利下げは通常、資金流出を加速させる要因である。金利の低い元預金を取り崩して、香港経由で外貨資産に切り替えるというのが、中国の特権層や富裕層の常である。それを食い止めるためには、元を切り上げし続ける必要がある。金利は下がっても、為替レートが強ければ、元建て預金は外貨預金に比べて目減りしないという期待が生まれるからだ。
■実力とかけ離れた株価
もちろん、「強い元」だけでは資金流出は止まらない。不動産相場が下落基調にある中では、やはりカネが逃げる。不動産がダメなら、株がある。党主導で上海株式市場に資金を誘導し、株価をつり上げる。株価引き上げの手段が利下げである。
事実、株価は3月初めの利下げ以降、上昇気流に乗った。3200元台だった上海株価総合指数は4月下旬には4500元台を付けた。そのあと、5月初旬に急落したが、11日の利下げを受けて反転した。党中央の株価引き上げの意図を読み取った官僚が勤め先の役所をやめ、株式投資に専念するケースも続出しているという。官僚は習近平国家主席による綱紀粛正のために口利き料など役得収入がなくなってしまい、役所務めに見切りを付けている。
利下げで株価を高め誘導するが、上場企業の収益悪化は止まらない。株価は実力とはかけ離れる。過剰生産、過剰設備の重圧で上場企業の多くの収益は悪化しており、株価とは真逆の基調にある。まさにバブルであり、早晩必ず崩壊する。上海株式市場が2007年5月に急落し、たちまちのうちに香港、東京、ロンドン、ニューヨーク市場など世界を巻き込んだ、記憶がよみがえる。
党指令の中国式市場経済制度と政策に世界が悩まされる。AIIB設立や人民元の国際通貨化よりも、市場制度改革を優先せよと、日米は声を大きくして共に中国に迫るべきだ。(産経新聞特別記者・編集委員)
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