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ブラック企業に是正を促す脱デフレ 雇用改善で人材確保が困難に
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150522/dms1505220830009-n1.htm
2015.05.22 「日本」の解き方 夕刊フジ
厚生労働省は、従業員の違法な長時間労働で、年3回是正勧告を受けた大企業の社名を公表する制度を始めた。マクロ金融政策でのデフレ脱却とともに、こうした政策が「ブラック企業」の減少に効果を発揮するのだろうか。
雇用状況が厳しかったデフレ時代には、ブラック企業でも働くしか選択肢がなかったのだが、デフレ脱却とともに雇用環境が激変し、ブラック企業は労働者から敬遠され、雇用の確保が難しくなっている。これは、いい話だ。
本コラムで幾度も紹介してきたように、デフレ時代には、企業は売り上げを伸ばせないので、賃金をカットして収益を上げるビジネスモデルが有力だった。しかし、デフレ脱却で売り上げを伸ばせるようになり、企業としてはいかに雇用を確保するかが大切なポイントとなる。
他企業より先に雇用を確保するためには、雇用を正規化したり、賃金をはずむ方がいい。そうした意味で、企業の雇用方針は、デフレ時代と脱デフレ時代でまったく異なってくる。ブラック的な経営が、デフレ経済下での最適なビジネスモデルであるが、脱デフレでは不適格なモデルだ。
金融緩和政策は、ブラック的な企業の実態をおのずと明らかにするとともに、その経営方針を転換させるようになる。
厚労省のブラック企業名の公表という今回の措置も、この流れに乗るものである。その効果があるのかといえば、ある。
その効果の源は、金融緩和による雇用創出だ。雇用改善が著しくなるなかで、企業が「ブラック」というレッテルを貼られるようになると、人集めに支障が出て、企業の存続に関わるようになった。だから、公表には効果があるのだ。
逆にいえば、これまで、厚労省がこうした措置を行わなかったのは、金融政策の効果がまだ十分でなかったので、厚労省が手を打とうとしても、ブラック企業から無視されるだけだったからだ。
雇用環境の改善は、大学関係者なら実感できるだろう。筆者の周りでは、「アベノミクスのおかげ」という声が多い。文部科学省と厚労省によれば、就職希望者のうち実際に仕事に就いた人の割合を示す就職率は、4月1日時点で96・7%。前年同期より2・3ポイント高い数字で、4年連続の上昇である。企業の求人増によって、大学生の就職戦線は売り手市場になっている。
大学新卒の雇用市場はそのときどきの雇用環境をすぐ反映する。各年度の学生の出来が大きく変動するわけではないのに就職率が変動するのは、雇用環境がいかにマクロ経済政策の影響を受けるかを示している。大学関係のデフレ論者もいるが、そうした人たちは身の回りの学生の就職状況を知らないのだろうか。
雇用環境の回復とともに、ブラック企業が賃金のカットばかりを目指していると、おのずと淘汰(とうた)されていくだろう。失業率3%〜3%台前半という状況が継続すれば、雇用の正規化や賃金上昇が普通になり、労働者の弱い立場を利用して儲けるブラック企業の出る幕はない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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