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『中村修二の反乱』(畠山けんじ/角川書店)
あの超優良企業の恥部 大躍進の原動力・画期的商品を開発した社員を放逐
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150521-00010005-bjournal-bus_all
Business Journal 5月21日(木)6時2分配信
社長交代で和解はあるのだろうか――。
発光ダイオード(LED)製造の日亜化学工業(徳島県阿南市、非上場)は3月下旬に開催した株主総会で、小川裕義氏が社長に就任した。社長だった小川英治氏は代表権を持つ会長に就いた。裕義氏は英治氏の長男。社長交代は26年ぶりのことだ。これまで通り英治氏は最高経営責任者(CEO)、裕義氏が最高執行責任者(COO)を務める。
今回の社長交代で、ノーベル物理学賞を受賞した中村修二・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授との和解がなされるかが注目されている。中村氏と英治氏の確執は有名だ。
中村氏が昨年11月、文化勲章受章に伴い開いた記者会見で、日亜化学に関係改善を呼びかけた。これに対して同社は会社名で、「(中村氏が)歴代社長や会社への感謝を公の場で述べておられ、それで十分」とした上で、中村氏が望んだ英治氏との面会については「貴重な時間を弊社への挨拶などに費やすことなく、(ノーベル物理学賞)受賞・(文化勲章)受章に恥じないよう研究に打ち込まれることをお祈りする」と門前払いした。
●泥沼の裁判
中村氏は創業者の故・小川信雄氏に見いだされ、青色LEDの開発に取り組む。だが、信雄氏が不治の病に倒れ、娘婿の英治氏が2代目社長に就任し、事態は一変。英治氏は製品化の見込みがないと判断し、青色LED開発の中止命令を出した。しかし中村氏は命令を無視して開発。日亜化学は1993年11月、20世紀中は困難といわれていた青色LEDの製品化に成功した。この時、中村氏が手にした会社からの報奨金は、わずか2万円だった。
その後、青色LEDの特許などをめぐり、中村氏と日亜化学は激しく争った。1審の東京地裁は、日亜化学に対し発明の対価として200億円を中村氏に支払うよう命じた。2審の東京高裁は和解を勧告。そして05年1月、日亜化学が8億4000万円を中村氏に支払うことで和解した。裁判を通して、中村氏と英治氏は憎悪むき出しの争いを繰り広げたため、英治氏の社長退任を受け、日亜化学と中村氏の和解があるのではないかとの期待が高まっているのだ。
●株式上場への期待
裕義氏は、東京大学経済学部卒業後に三菱電機を経て、93年に日亜化学に入社。中村氏が発明した青色LEDの製品化に成功した年だ。12年に副社長へ就任し、今回父親の後を継いで3代目の社長に就いた。
社長交代を受け、両者の和解以外で注目を集めているのが、日亜化学の株式上場である。
日亜化学は中村氏の元勤務先ということで一躍、全国に名を轟かせたが、非上場企業のため一般的な知名度はさほど高くなかった。同社は中村氏の発明を契機に、中小企業からLEDのトップメーカーに飛躍した。白色LEDでは長期にわたって世界トップシェアの座を守ってきた。資本金は467億円、従業員8239人を擁する隠れた超優良企業である。
14年12月期連結決算の売上高は前期比12.5%増の3486億円、営業利益は32.1%増の989億円、当期純利益は27.0%増の626億円と3期連続の増収増益だ。LED事業は、液晶バックライト、照明、車載の主要3分野で円安の追い風を受け、拡販が進んだ。
収益力は抜群だ。売上高営業利益率は28.4%。世界のエクセレントカンパニーの営業利益率は15%以上が基準だが、日亜化学はそれをはるかに上回る。高収益に支えられて自己資本比率は86.2%と高い。
家庭用としては07年ごろからLED照明が普及。長寿命を武器に従来型電球からの代替需要が増えた。しかし、LEDは一度取り付けてしまうと交換が長時間不要なため、海外など新市場の開拓が不可欠になっている。ここにきてテレビ用バックライトのサムスンLEDやLGイノテックなどの韓国勢が激しく追い上げているが、日亜化学の牙城を崩せないでいる。
日亜化学は技術面で先行している。このほど従来より1000倍以上の強い光が出る半導体レーザーを開発した。これを使えば、液晶テレビなどのモニターの消費電力はLEDの使用時に比べて半減する。液晶テレビの消費電力はモニターが約半分を占めており、テレビの消費電力は25%以上減ることになる。
財務力に加え、技術力抜群の日亜化学が上場すれば「時価総額1兆円も現実的」(市場筋)との声も聞こえる。しかし、設備投資や研究開発は自己資金と一部銀行借入金で賄っており、当面株式市場から資金を調達する必要がない。投資家が期待する株式公開は当分、お預けになる公算が高い。
●中村氏のベンチャー企業が日本参入
一方、中村氏が共同創業者になっているLED照明の米国ベンチャー企業SORAA(ソラー)は、近く日本法人を立ち上げ、日本国内で本格的に自社製品を販売する。記者会見を開き事業計画を発表した中村氏によると、販売目標は年間3億円規模。日本初の営業拠点は横浜市に置く。
ソラーは08年設立で、独自に開発した紫色のLEDチップと、青と緑色の蛍光体を組み合わせた業務用ランプを製造している。電気を光に変える率は80〜90%で世界トップレベルという。中村氏は「自然の光に近い、きれいな白色を出せる」としている。アイリスオーヤマはソラーとの提携を検討しているが、「紫色のLEDチップを買いたいというのが本音」(関係筋)。しかし、中村氏は完成品の販売にこだわっている。
研究者として大成功を収めた中村氏は、次はベンチャー経営者としても成功することができるのか。注目を集めている。
(文=編集部)
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