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BMW i8(「BMW 公式サイト」より)
エコカーブームは危険?規制すり抜け目的で、真の“エコ”に逆行も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150521-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 5月21日(木)6時2分配信
1997年に発売されたトヨタの初代「プリウス」を皮切りに、気づけば世界に冠たる“ハイブリッドカー(HV)大国”となった日本。プリウス、トヨタの「アクア」、本田技研工業の「フィット」などのHVが3〜4台連なって走る光景も、もはや珍しいものではなくなった。
HVの燃費の良さは、確かに魅力的だ。しかし、2種類の動力源を備えるため、生産時にはより多くの資源やエネルギーを消費する、といった事情を鑑みると、「あまり走行距離が伸びないユーザーが購入し、むしろ省エネに逆行するのではないか」という心配も生まれる。
一方、巡航状態の燃費向上効果が限定的で、加速感もどことなく不自然。なにより、価格が割高で魅力に欠ける……と、そんな理由から、当初は冷めた声が多く聞かれたヨーロッパでは、実は最近になってHVが多く発売されているという事実もある。
フォルクスワーゲンの「ゴルフ」、アウディの「A3」、メルセデス・ベンツの「Sクラス」、ポルシェの「カイエン」や「パナメーラ」、さらにはBMWの「i8」にボルボの「新型XC90」などがそれだ。ヨーロッパ発の最新HVは、ボディのサイズやカテゴリ、価格帯などが実にさまざまである。
日本人からすれば、「今さら熱心になるなんて、ヨーロッパもすいぶん遅れている」と言いたくなるだろう。しかし、ヨーロッパのHVには、これまで日本で普及してきたものとは決定的な違いがある。
●欧米での電動化は新規制クリアが目的
前述したヨーロッパのHVは、いずれも外部充電に対応したプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)なのだ。最近、ヨーロッパで発表されたHVで、外部充電非対応のモデルは1台も存在しない。
ヨーロッパの自動車メーカーが、PHVに熱心なのは、二酸化炭素(CO2)排出量規制の問題があるからだ。メーカーごとに、燃費向上と比例関係にあるCO2排出量の平均値が算出される。
PHVの場合、エンジンを始動させない電気自動車(EV)モード走行中のCO2排出量はゼロと見なされ、外部充電機能を持たないHVに比べ、有利にカウントされる。
そのため、利幅の大きい大型車(燃費は良くない)も同時に売りたいメーカーにとっては、CO2排出量の平均値を下げるための“救世主”になるというわけだ。
一方、PHVに加え、テスラモーターズが生産・販売する電気自動車や日産の「リーフ」など、バッテリー電力のみで走行するピュアEVの販売がそれなりに好調なアメリカ(カリフォルニア州の一部地域など)には、また別の事情がある。
現地で“電動化車両”が注目を浴びるようになったのも、やはり環境規制がきっかけだ。ただし、アメリカではCO2排出量の抑制とは別のところに狙いがある。
アメリカの場合、自動車の排気ガスで問題になるのは、CO2ではなく窒素酸化物(NOx)などの“有害成分”のほうだ。特に、地形が盆地状で空気が滞留しやすいロサンゼルスなどでは、スモッグ防止のために「その地域内では排ガスを出さないこと」が重要視される。
こういった事情を受けて、すでにカリフォルニアでは「同州内で量販を行うメーカーは、そのうちの一定数を、排ガスを出さない車両(ZEV)にしなければならない」という決まりごとがスタートしている。いわゆる“ZEV規制”と呼ばれるものだ。
言い換えれば、特定地域内での排ガス削減が可能となれば、そこを走行するPHVやピュアEVに充電する電気は、「離れた地域で、CO2を出して作ったものでもかまわない」ということになる。
温暖化抑制のためにグローバルなCO2排出量削減を目指す人々からは「いったい、それのどこがエコなのか?」という非難の声が上がりそうだが、このような“奇策”が可能な点も、電動化車両ならではの特徴であることは間違いない。
●中国も狙う「エミッション・エルスウェア」
「エミッション・エルスウェア(他の地域での排出)」と表現したくなるようなこの手法に、実は中国も注目している。
北京や上海など、中国の大都市部では大気汚染が深刻なことが知られている。中国で多くの電力を賄っている火力発電は、低質な石炭を古い施設で燃やすため、排出されるガスの汚染度が非常に高いとされる。
それにもかかわらず、大都市の大気汚染緩和策として推進されるのが、エミッション・エルスウェアでEVを走行させようというものだ。
こう見てみると、国や土地によって、電動化車両の持つ意味合いが大きく変わることがわかる。だからこそ、既存のエンジン車両に加えて、HV、PHV、EV、燃料電池自動車(FCV)が開発されたわけで、今後も自動車動力源の多様化は加速していくだろう。
どんな地域でもEVが一番、あるいはHVやPHVが一番の特効薬となるわけではない。これが、環境問題に対する自動車特有の難しさでもあるのだ。
文=河村康彦/モータージャーナリスト、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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