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シャープ再生計画に専門家「こんなの初めて」と茫然〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150520-00000000-sasahi-bus_all
週刊朝日 2015年5月29日号より抜粋
経営再建中のシャープが再び窮地に立たされている。最終赤字に転落し、単体では負債が資産を上回る債務超過に陥った。銀行などから融資を受け再建策を新たに作成したものの、再生への道筋はまったく見えない。
多くの企業再生を見てきた東京商工リサーチの友田信男・取締役情報本部長は、
「シャープはどうしたいのか。会社の方針がまったく見えてこない。すべてが玉虫色の計画だ。ここに至って抜本的な改善策が見えてこない。こんな再建計画は初めて。大企業としての責任感が感じられない」
とあきれる。
骨抜きの再建計画の詳細は後述するとして、そもそも、どうして巨額赤字に陥ってしまったのか。
シャープは液晶事業の不振で11年度に3760億円、12年度に5453億円と巨額赤字を出し経営危機に陥ったが、事業構造改革などを進め、13年度は115億円、14年度も上期は47億円の純利益を出すなど回復基調だった。
ところがである。事態は昨年秋から一転した。主力の中小型液晶パネルの売り上げが思ったほど伸びず、急激に業績が悪化したのだ。
何が起きたのか。シャープは、中国で急成長中のスマホメーカー小米科技(シャオミー)向けに高性能の中小型液晶パネルをいち早く市場に投入し、大量に供給してきた。ところが、日立製作所、ソニー、東芝の液晶事業が統合したジャパンディスプレイにシェアを奪われる事態となった。
だが、根本的な問題は別にある。“読み”の甘さだ。
「本来なら中小型液晶の専用工場をつくるべきだった。中小型液晶の生産には向いていない、大型液晶向けの亀山工場を転換しながら生産してきた。これでは需要の急速な変動に対応が難しい」
と、調査会社のディスプレイサーチの早瀬宏上席アナリストは言う。
シャープにとって液晶パネルは売り上げの3分の1を占める。スマホ向けに引きが強い中小型液晶は再建をけん引するはずだった。だが、中小型液晶への投資がなおざりになっていたのだ。大型液晶の成功体験からなかなか抜け出せなかったうえ、競合他社の動向の読みが甘く、後れを取ったという。
元シャープ液晶研究所技師長で『シャープ「液晶敗戦」の教訓』の著作がある中田行彦・立命館アジア太平洋大学教授は、「シャープの再生の肝は中小型液晶パネルだ。中国スマホ市場をテコ入れするべき」と指摘する。
ところが、今回発表した再建計画は「カンパニー制導入」「人件費削減」といった表面的に取り繕った内容ばかり。これまで報道されていたような液晶事業への投資や分社化、不採算事業からの撤退といった具体策からはほど遠い。
骨抜きの再建計画となった理由を、企業再生に詳しい森・濱田松本法律事務所の藤原総一郎弁護士はこう見る。
「統治体制に問題がある。シャープはもともと独立心が強い会社。メインバンク2行と三すくみ状態になり、抜本的なところまで踏み込んでスムーズに進められていないのではないか」
さらに前出の友田氏は、こう苦言を呈する。
「場当たり的な対応で、一貫性が見えない。『減資1億円』のように現実味のないことを打ち出したのは、再建の本気度をアピールするためのパフォーマンスかと勘繰りたくもなる」
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