隠れた化石燃料コストは年間5兆ドル＝IMF試算

By IAN TALLEY
原文（英語）
2015 年 5 月 19 日 10:41 JST
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中国吉林省長春市の発電所 Agence France-Presse/Getty Images

　【ワシントン】国際通貨基金（IMF）は18日、化石燃料を使用することに伴う健康上・環境上のコストとして、消費者は世界全体で年間5兆ドル（約600兆円）もの資金を追加支出しているはずだと試算したリポートを発表した。

　リポートを作成したIMF財政局のヴィトル・ガスパル局長は、この試算が衝撃的で、「これまで推定された中では最大級の負の外部性だ」と述べ、このコストがエネルギー価格に織り込まれていないことに言及した。

　IMFは、世界の国内総生産（GDP）の約6％に相当するこうしたコストを政策立案者たちは燃料価格の中で捕捉し始めねばならないと述べ、それは悪影響を抑制し、エネルギー効率を高め、人の健康被害を防ぐためだと語った。

　同リポートはこうしたコストについて、中国やインドの石炭の使用急増などで膨らんでおり、各国政府が伝統的なエネルギー補助金を削減する中で過去1年間に寄せ集めた節約分をはるかに上回っているとしている。

　石油価格の下落を受けて、インドやアンゴラなど各国政府はエネルギー価格を市場実勢近くまで引き上げる機会を提供された。

　補助金の削減は国家予算に対する負担を軽減し、政府は歳入を社会福祉、医療、あるいは成長促進投資など、その他の分野に移転できる。

　しかし、IMFは、石炭、石油、そして天然ガスによる汚染の計算されないコストもまた補助金として考慮すべきだと述べ、それは各国経済がこれらの使用によって生じるコストの増大にあえいでいるからだとした。IMFは、世界保健機関（WHO）の新たな統計などを基にして、こうした「税引き後の補助金」が今年だけで5兆3000億ドルに達するだろうと推定した。

　そのうち約4分の1は、温室効果ガス排出を緩和するための理論的コストだ。

　残りは、汚染による健康への悪影響や、交通渋滞、事故、そして道路の損傷などのコストとなっている。

　IMF財政局のベネディクト・クレメンツ財政政策サーベイランス課長は「どれほど多くの健康問題がエネルギー消費と大気の質にリンクしているかを 広い視野から見ることが重要だ」と述べた。

　例えば、WHOは大気汚染（主として石炭を燃焼することによって生じる）のため年間100万人以上が早期に死亡していると推定している。

　IMFのエコノミストたちはこの数字に疑いの余地があることを認めているが、それは隠れたコストをうかがわせる材料であり、議論の対象にすべきだと述べた。

　また、エネルギー税引き上げによる補助金廃止が消費者の負担になることを認め、漸進的な引き上げを勧告している。

　IMFは「効率的なエネルギー価格設定に一気に移行すれば、消費者エネルギー価格、とりわけ石炭価格の極めて大幅な引き上げが必要になろう。世界の平均価格は200％を超える上昇率になるだろう」と警告した。

　IMFによると、エネルギー価格引き上げは総じて経済の成長見通しの重しになるとはいえ、各国政府は歳入増加分を、労働・法人税の引き下げ、インフラ投資、教育支出などを通じた経済成長促進に活用できる。

　それはまた、温室効果ガス排出量の少ない代替エネルギーに対する奨励措置の導入にもつながる見通しだ。

　クレメンツ氏は「補助金改革からの財政面でのプラス効果は相当大きく、多くの国の財政政策にとって情勢を一変させる要因になり得る」と語った。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10520257288521003311804580649673286474474&ei=x99aVZYbwfbxBanUgYgD&usg=AFQjCNELzLAxLSWXLLbcbKSJ4GtZQjkDNg&sig2=h_38021ivH9xZsC4JEKe_A&bvm=bv.93564037,d.dGc
　

コメント
01. 2015年5月19日 18:12:11 : nJF6kGWndY >約4分の1は、温室効果ガス排出を緩和するための理論的コスト >残りは、汚染による健康への悪影響や、交通渋滞、事故、そして道路の損傷などのコスト 年間、600兆円の外部不経済が発生しているという試算自体は、間違いでないとしても 比較として、化石燃料を全部廃止した状態を考えるなら、実質的経済マイナス効果は、遥かに、それを上回る 現実的には 他のエネルギー、例えば原子力や再生エネと、少しづつ置換していく場合の、外部不経済の減少と、現実の経済コスト増加などを、きちんと評価・比較するべきだろう まあ、日本の場合、原発を再稼動するのが、当面は、あらゆる点で、得だろうが そうした恵まれた時期も、既存施設の老朽化が進むので、どんどん失われつつある これも愚民国家だから仕方が無いとは言えるな

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