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“生殺しにされる派遣社員”大国・日本 給料は正社員の3分の1、ボーナス0、使い捨て…
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150519-00010004-bjournal-bus_all
Business Journal 5月19日(火)6時2分配信
派遣労働の期間制限を一部撤廃する「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)」の改正案が、衆議院本会議で審議入りした。現在、一部の専門業務を除いて最長3年までとなっている派遣期間の制限を撤廃する一方、1人の派遣労働者が企業の同じ部署で働ける期間を3年に制限するといった点が主な改正目的だ。
民主党などが、派遣労働の固定化につながるものだと批判したのに対し、安倍晋三首相は、派遣会社が派遣先の企業に正社員への登用を依頼するよう義務づけるなど、派遣労働の固定化を防ぐ措置を盛り込んでいると反論している。労働者派遣法の改正案は、条文のミスと衆議院の解散で2回廃案となっており、政府は3回目の提出となった今国会で確実に成立させたい意向だ。
「週刊朝日」(朝日新聞出版/4月3日号)の記事『「通ったら殺されてしまう」派遣法改悪に派遣OL悲痛な叫び』では、女性派遣労働者の切実な訴えを紹介している。
シングルマザーで2人の子どもを育ててきた宇山さん(50代女性・仮名)は、15年前に派遣会社に登録してから、鉱業関連の企業に派遣されて働き続けている。契約更新は3カ月単位で、業務内容は専門業務の一つとされている「事務用機器操作」だ。ワードやエクセルなどパソコン用ソフトを使って資料を作成するが、海外から来た重要顧客の滞在の世話から、社内の宴会幹事まで担当することもあるという。
宇山さんは、現在の境遇への不安を次のように吐露する。
「『事務用機器操作』といっても、やる仕事は一般職の女性社員と同じ。何でもやらされます。給料は正社員の3分の1ぐらい。退職金もボーナスもありません。50歳を過ぎて転職も難しく、年齢を理由にクビになるまで生殺しです」
「安倍さんは、女性の活躍推進を強調していますけど、あれは正社員で幹部候補のエリート女性だけに向けられたものなんです。私のような派遣労働者には何の関係もない話です」
派遣法に詳しい弁護士は、今回の改正案をこう解説する。
「3年の派遣期間が終了しても、課を異動すれば問題ないということは、企業の人事システムに組み込まれるということ。たとえば人事課で働いた後に総務課に行き、また人事課に戻ってきても合法になる」(同記事より)
3年間働いた人を同じ職場の別の課に異動させるか、他の派遣労働者に入れ替えれば、無期限の派遣労働が合法化される。つまり、労働者派遣法の改正で派遣社員は専門分野の区別なく、待遇は変わらずに働かされ続けることになる。3年ごとに部署異動を繰り返し、待遇に文句でも言おうものなら、そこで「はい、次の派遣社員」とクビにされかねない。
●派遣労働者が倍増する?
3月21日付日刊ゲンダイ記事『注目の人直撃インタビュー 山井和則民主党衆院議員』によると、今後、派遣労働者は倍増しかねないという。
「ドイツでは今から12年前、最長派遣期間の上限規制を撤廃しました。その結果、2004年は38万人だった派遣が2011年には88万人に倍以上増えました。規制を撤廃すれば、日本でも間違いなく派遣が増えて、正社員の求人が減ります。一生派遣の若者が激増します」(同記事より)
現在、122万人といわれている派遣労働者が、200万人以上に増えるかもしれない。
こうした問題をはらむ労働者派遣法改正だが、「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社/3月28日号)の記事『「三度目の正直」で成立は濃厚 “呪われた”改正派遣法の行方』では、同法について次のように説明している。
「(今国会に厚生労働省が提出する9法案のうち、派遣法の優先順位が4位と高く、民主党は)名を捨てて実を取ろうと、阻止するターゲットを派遣法から『新たな労働時間制度』を推進する労働基準法へ変更している。正社員の働き方を根本から変えるこちらの法案の空中分解は必至。成立に暗雲が漂っている」(同記事より)
なお、労働基準法改正は優先順位が8位と低い。「正社員は守るが、派遣労働者は守らない」ということで永田町と霞が関は妥協をしたのかもしれない。
小石川シンイチ
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