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[スクランブル]日銀のETF買いに影
流動性低下、値動き荒く?
12日の東京株式市場で日経平均株価は小幅ながら3営業日続伸。前日の欧米株安を受けて前場は売りが優勢だったが、後場に入って下げ渋る動きに転じ、大引け間際にプラス圏に浮上した。流れを変えたのは、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れだった。
「『日銀さんの買い』がまず間違いなく入るだろうね」。前場には日経平均の前日比下落幅が150円を超え、1万9500円を割り込む場面もあっただけに、市場ではこんな声がそこかしこで聞かれた。実際、取引終了後に日銀はETFを361億円買い入れたと公表。透けてみえるのは、市場で強まる「日銀依存の心理」だ。
それも無理からぬところがある。日銀は昨年10月に追加緩和を決め、ETFの買い入れ額を年3兆円とそれまでの3倍に増強。この結果、買い入れの規模やペースが目に見えて拡大しているからだ。
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15年(12日時点)のETF買い入れは32回に達し、およそ2.7日に1回は買い入れを実施している計算になる。追加緩和前の13年は4.3日に1回、白川方明総裁時代の12年は11.3日に1回だった。一回あたりの平均買い入れ額も増えていて、15年は約350億円と14年(170億円強)の約2倍の規模になっている。
株式投信の新規設定だと350億円もの資金を集めれば、市場の話題になるくらいの人気度だ。これを3日に1回のペースで続けていく。これが「年3兆円買い入れ」の規模感だ。
しかも、通常の投信ならいったん資金を集めても株価次第で利益確定売りが出るが、日銀のETF買いは違う。目標の「2%の物価上昇率」を達成するまで売却はないはずで、ETF買いを通じて株式は市場から着実に吸い上げられていく。
需給へのインパクトは大きい半面、副作用も意識され始めている。
「一部の銘柄では注文が減り、売買が成立しにくくなっている」。BNPパリバ証券の岡沢恭弥取締役・グローバルマーケット統括本部長は最近、こんな風に感じているという。
例えばファナック。ここ数年の株価のブレ(前日比の変動率を日経平均との比較で相対化、25日移動平均)をみてみると、13年の春ごろをボトムに上昇基調をたどっていることが分かった。くしくも日銀が異次元緩和を導入したのは13年4月。ETF買いの効果で流動性が低下し、値動きの荒さにつながっている可能性がある。
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12日もファナック株の上昇率は1.27%と、日経平均(0.02%)を大きく上回った。足元の値動きには株主還元の強化などを受けて買いの勢いが強まっている影響も絡んでいそうだ。
日銀が4月7〜8日に開いた金融政策決定会合では委員のひとりが、緩和の効果を「副作用が上回っている」と発言していた。債券市場を意識した発言とみられ、株価の動きが荒くなる現象が幅広く確認されているわけでもない。しかし、いずれ株式市場でも「日銀買い」の副作用を巡る議論が強まる可能性は否定できない。
(証券部次長 山下茂行)
[日経新聞5月13日朝刊P.18]
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