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極ゼロの再発売会見での尾賀真城・サッポロビール社長。今年は酒税法の改正議論も控え、国税庁と財務省に振り回される年となりそうだ Photo by Hidekazu Izumi
「極ゼロ」酒税戦争で国税庁に楯突いたサッポロの代償
http://diamond.jp/articles/-/71658
2015年5月19日 週刊ダイヤモンド編集部
4月28日、サッポロホールディングス(HD)の元に一通の通知書が届いた。送り主は国税庁。書面にはむなしくも、サッポロが国税庁に返還を求めていた追加納税115億円を「返さない」旨が記されていた。
サッポロは、昨年6月、ビール系飲料「極ZERO(ゼロ)」が、第三のビールと認められない可能性があるとして、酒税を国税庁に自主納付した。しかし、その後の社内調査で、第三のビールである確証を得たとみえて、今年1月、国税庁に、納付した酒税の返還を要求。今回の国税庁の通知は、この要求に対する回答であった。
そもそも、この極ゼロ問題の争点とは何だったのか。国税庁やサッポロ関係者など、当事者たちの証言から真相が明らかになった。
第三のビールには製法が2種類ある。一つ目は、大豆やエンドウなど、麦芽以外の穀物類を発酵させて造るもの。
二つ目が極ゼロと同じ製法で、発泡酒にスピリッツ(蒸留酒)を加える、というものだ。ここでいう発泡酒とは、麦芽およびホップを原料の一部として「発酵」させていなければならない。
両者のバトルの根源は、この「発酵」をめぐる見解の相違にあったようだ。国税庁は、「極ゼロは発酵が不十分な段階でスピリッツを加えているため、第三のビールとはいえない」と指摘し、サッポロは「発酵が不十分だと言うならば、どんな根拠で発酵と判断できるのか」と牙をむいたのである。
発酵とは何ぞや──。両者の間で出口のない“神学論争”が勃発する事態になっている。
実は、酒税法には、発酵状態であると判断する定量的な基準は示されていない。神学論争ともなれば、酒類業界の監督官庁たる国税庁が有利なのは自明のことだ。サッポロの抵抗むなしく、国税庁は、発酵は不十分という姿勢を貫き、要求を突っぱねた。
■急先鋒は武闘派社長?
このバトルに終止符を打てるのは司法判断しかないのだが、サッポロが提訴に動くのは厳しいとみられている。というのも、「国税庁に目を付けられると、ささいなことでも査察に入るなど、営業活動がやりにくくなる」(ビールメーカー幹部)からだ。
すでに、今回の一件でサッポロが国税庁に盾突いたことで、業界内からは「よくあそこまでやるなぁ」とサッポロを心配する声が上がるほど。「2007年以降、米ファンド、スティールパートナーズからの買収阻止で矢面に立って戦った経験を持つ、武闘派の上條努HD社長の意向が強いのでは」(サッポロ元幹部)とみる向きが多い。
サッポロがのろしを上げたことで、国税庁が牛耳る酒税法上のグレーゾーンがあらわになった意義はある。しかし、その代償は115億円と国税庁との友好関係。サッポロが失ったものはあまりにも大きい。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)
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