01. 2015年5月18日 17:32:11
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>>先行き、潜在成長率はっきり上回る来年度前半に物価2%に、追加緩和の必要ない=日銀調査統計局長 2015年 05月 18日 16:10 JST [東京 18日 ロイター] - 日銀の前田栄治・調査統計局長は18日午後、都内で開かれた討論会で、2%の物価目標と追加緩和の必要について問われ、「来年度前半には2%程度に達する見通しであり、追加緩和の必要はないということだ」と述べた上で、「必要であれば躊躇なく調整する」と付け加えた。 日銀が昨年10月に追加緩和を実施した際には、実際の物価が低下し、人々の期待インフレ率も低下することを防ぐため、と説明していたが、その後も原油安などの影響もあり、物価は0%近辺まで低下している。 同局長は「物価は0%程度に低下しても、今のところ、期待インフレ率を示す指標は低下していない。10月緩和は一定の効果があった」との考えを示した。 そのうえで来年度前半に2%の物価目標が達成できるとの見通しの背景について「われわれとしては、インフレ期待は長い目でみて上昇しているとみていること、需給ギャップもほぼゼロというイメージを持っていること、失業率もほぼ完全失業率まで低下していることなど、様々な面からみて物価は次第に上昇していくとみている」と説明した。 景気の足元の状況について、20日に発表される1─3月期のGDP速報は、潜在成長率を上回る成長になるとの見通しを示した。 この先の景気の見通しについて「内外需どちらかが引っ張るというより、両方がバランスよく成長し、潜在成長率をはっきりと上回る成長になると考えている。GDPギャップも、これまでの回復局面から拡大局面にきている」との見方を示した。 その背景の1つとして、原油安効果について「日本のエネルギー輸入額の削減効果が10兆円ないしそれ以上になり、昨年の消費税3%増税分の8兆円を上回る。これが経済全体を支えているといえる」と指摘した。 円安効果については「以前は円安効果を受けるのは製造業が主だけだったが、このところの訪日客の増加で旅行収支が黒字になるなど、地方やサービス業にもプラス効果がある」として、幅広い効果があるとの見解を示した。 *内容を追加します。 (中川泉 編集:内田慎一) http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPKBN0O30DR20150518 インタビュー:生産は4─6月期底に回復=新日鉄住金副社長 2015年 05月 18日 06:44 JST [東京 18日 ロイター] - 新日鉄住金 (5401.T)の太田克彦副社長は、ロイターとのインタビューで、在庫調整のための減産について、4─6月期でほぼ終わらせる考えを示した。個人消費の回復や2020年の東京オリンピックに向けた建設などで国内需要は「悪くない」とみており、粗鋼生産は、4─6月期を底に回復するとの見通しだ。
インタビューは14日に行った。 <15年度粗鋼生産は14年度並み> 太田副社長は、減産をほぼ完了させる時期を「4─6月期」としたうえで、「他社も含めて足並みは揃っており、(7月以降は、右肩上がりで)立ち上がっていく」と述べた。さらには、在庫調整終了後に需要があれば「適正な在庫に向けた積み上げも行われる」と述べ、15年度の粗鋼生産量は「(4496万トンだった)14年度とそう変わらない。4─6月期をボトムに粗鋼生産は上がることを期待している」と語った。 こうした判断は、国内需要について「悪いとは思っていない」との見方が背景にある。 太田氏は、GDPの60%を占める個人消費が春のベースアップに続き、企業の好業績による賞与増加期待で拡大する可能性があり、「自動車や住宅につながれば、鋼材需要につながってくる」と予想する。 また、建築・土木分野についても、これまで人手不足や資材の高騰で先送りになった事業があったが、今後の見通しとしては「オリンピックや復興、国土強靭化などがあり、需要は先々まで見えている。住宅着工も14年度の下期がボトムとみている」と話す。 ただ、14年度の実績については、消費増税の影響が長引く一方、建築・土木分野で人手不足による工事の遅れなどが生じるなど、「読みが違った」結果となり、それが今年4─6月期の減産につながっている。 2015年2月末の国内メーカー問屋在庫は、前年比23万トン増加し591万トンとなった。これに対応し、新日鉄住金では、4─6月期に100万トンの減産を実施する。 <輸出の製品価格、これ以上下がる状況にはない> 15年度の世界全体の鋼材需要について、同副社長は2000─3000万トン増加するとみる。中国は供給過多が続く中で需要はマイナスとなっており「中国を除くと3000─5000万トンの需要増だ」と指摘した。経済成長が続くASEAN(東南アジア諸国連合)のほか、リーマンショック以降で初めて日欧米が揃ってプラス成長となるなど、中国以外の地域がけん引する。今期も、輸出比率47─48%は維持していくことになる。 輸出鋼材のマージンは、昨年12月から今年3月にかけて、大きく低下した。原料価格が横ばい圏の中、製品価格が下落したため。今期については「製品価格がさらに下がる状況にはなっていない。中国の鉄鋼メーカーは多くが赤字になっており、損益面から言っても、これ以上下げられない。多少綾戻しがあるとみている」と述べた。 マージンの高いシームレスパイプは、石油メジャーが20―30%発注を減らすとしており、減少が避けられない。ただ、太田副社長は、原油価格の下落は広範囲でコスト減につながるため「ゼロにできるか分からないが、品種構成の悪化は相当程度消したい」としている。 2015年3月期は、連結売上高が前年比1.7%増の5兆6100億円、経常利益が同25.1%増の4517億円となった。16年3月期の業績予想は開示していない。 (大林優香 清水律子 編集:北松克朗) http://jp.reuters.com/article/jpeconomy/idJPKBN0O20W220150517 コラム:海外勢の「円売り」再燃か、ドル125円も=池田雄之輔氏 2015年 05月 18日 15:24 JST 池田雄之輔 野村証券 チーフ為替ストラテジスト [東京 18日] - 相場のこう着とは裏腹に、にわかに日本への関心が高まっている。「日銀のサプライズ緩和の可能性は当面ないのか」「日本政府は円安デメリットを意識していないのか」。海外ヘッジファンドからこのところ、ひっきりなしに質問が飛び込んでくるようになった。 彼らが円の投資戦略を温めているサインだ。原因は意外なところにある。最近のユーロ相場、および欧州債券市場の動乱である。 万全に思えた「欧州中銀(ECB)の量的緩和=ユーロ安、欧州金利低下」のシナリオ、すなわち「ECBトレード」は4月末からの3週間で強烈なしっぺ返しをくらった。大きな痛手を負ったヘッジファンドも多く、運用担当者は「しばらくユーロショートには手を出したくない」とため息をつく。それでも、「米国の利上げシナリオは崩れておらず、ドルは買わざるを得ない」と言う。すると、「ドルをロングする相手通貨として、ユーロショートではなく円ショートに切り替えるのはどうか」となっているのだ。 1ドル=120円でスタートした2015年のドル円相場は、一向に動く気配のないまま5月半ばまで来てしまった。一見すると「動意なし」だが、見逃してはならないダイナミックな変化がある。ヘッジファンド勢の円ショートポジションが一貫して縮小しているのだ。 モデル系ヘッジファンドが参加するシカゴIMM市場の投機的円ショートは、年初の約2兆円から現在は5000億円程度へと激減している。筆者は、マクロ系ヘッジファンドも含めたグローバルな円ショートポジションの合計規模を推計しているが、これも年初は20兆円程度、現在は8兆円程度との結果が得られる。さらに、為替トレーダーの感触だと、「短期勢の円ショートはほぼゼロ」という状況である。円ショートの巻き戻しをやり尽くしつつある状況も、「そろそろ再構築」というムードにつながっている。 <7月の日銀緩和シナリオに向かって円安再開> ところで、ヘッジファンド勢が12兆円も円を買い戻したのであれば、7円程度は円高になっていておかしくない計算である。にもかかわらず、1ドル=120円の均衡が保たれている理由は、年金マネーの外貨シフトなど日本の需給の「円売り超過」がほぼ同規模のスケールで継続していることに他ならない。 この状況は、実は2013年2月から8月半ばまでの、1ドル=102円を中心としたこう着相場で起きていたこととそっくり同じである。違いがあるとすれば、円売りの担い手が「月額1兆円の貿易赤字」から「月額1兆円の年金マネーの外貨シフト」に入れ替わったことくらいだ。 日本の「円売り需給」は持続的である一方、ヘッジファンドの「円買い戻し」には終点がある。つまり、円ショートポジションをすっかり清算してしまえば、それ以上は買い戻すものがなくなってしまうのだ。 2014年8月半ばに、そのような行き止まりにぶつかった結果、円相場の力学は「国内の需給は円売り」「投機勢は円買い終了」という組み合わせに変化し、さらには「投機も円ショート再構築」に転換すると、一気に円安が加速したわけである。2015年5月現在の状況も、投機勢が円ショートの「取り崩し」から「再構築」に向かう転換点に近づいている。 もちろん、ヘッジファンド勢は「カタリスト」、つまり相場材料となるテーマ、ないしイベントを求める。円ショートの根拠として海外勢が重視するのは、やはり「日銀の追加緩和」である。4月30日の「展望レポート」では、インフレ見通しの引き下げが追加緩和には直結しないこと、2%のインフレ目標達成において「2年間」という期間にはこだわらなくなりつつあること、が明らかになった。早期追加緩和への市場の期待感はほぼ消滅したと言ってもいい。しかし、状況は変わる可能性がある。 5月20日に発表される日本の1―3月期国内総生産(GDP)は、景気回復に急ブレーキがかかっている状況を映し出す公算が大きい。そうなると、「需給ギャップの縮小とともにインフレ率が上昇する」という黒田日銀総裁のシナリオにも黄信号がともってくる。市場は「7月緩和説」に向かって再び走り出す可能性がある。 <「米国のドル高警戒」はメディアの自作自演か> 一方、一時的要因が重なって景気がもたついている米国では、6月の利上げは見送るだろうが、9月以降には実施に踏み切る公算が大きい。ところが、メディアや市場関係者には「1―3月の景気減速はドル高が主因」「ドル高を警戒して、米連邦準備理事会(FRB)は利上げを後ずれさせる」との議論が根強い。それは本当だろうか。 米国の輸出数量は、昨年10月に大きく伸びた後、11月から今年2月にかけて4カ月連続で減少(前月比マイナス)し、3月の持ち直しも小幅だった。ユーロ安・ドル高が急速に進行したのが1月から3月半ばにかけてであるから、いかにも「ドル高が影響」しているように見えなくもない。 特に「ドル高のせいで悪化した」と言われたのが、3月分のISM製造業指数だった。そこで、同指数の解説レポートを読むと、10セクターの代表的な業況コメントのうち、「ドル高」を含むのはたったの1つである。しかも、そのセクター(金属加工製品)は「業況は良い。海外収益には向かい風」と答えており、輸出に影響が及んでいる様子ではない。あくまで現地法人の収益がドル換算で目減りしてしまうという会計上のマイナス効果への意識だ。 一方この間、米国の貿易にとってより確実に足かせとなっているのは西海岸の港湾労働者ストである。同スト(正確にはサボタージュ)は昨年11月1日から2月20日にかけて行われ、物流の大混乱を招いた。ISMレポートでも、港湾ストおよび悪天候への言及が2つずつ含まれている。 もちろん、ドル高の影響がゼロということはない。4月15日に発表されたFRBの地区連銀報告(ベージュブック)を精読すると、「化学では価格およびマージンが低下、ドル高の影響で輸出も減少」(ダラス連銀)との報告がある。また、「ドル高でカナダからの買い物客が激減」(ニューヨーク連銀)という小売業の事例も取り上げられている。しかし、米国経済全体を見渡した場合、「ドル高の影響で景気減速」は幻想に過ぎないだろう。世界的に現地生産化が進んでいる中で、米国からの輸入を第3国からの輸入、ないし自国産に切り替える動きがグローバルに広がっているとは考えにくい。 米連邦公開市場委員会(FOMC)の中心メンバーはドル高の影響をどう判断しているのか。ややハト派色が目立っているダドリー・ニューヨーク連銀総裁は、ドル高による景気下押しの度合いを、スタッフの試算結果として紹介している。この試算が通貨高の悪影響をかなり過大評価している可能性についてはさておき、重要なのは、同総裁が「ドル高を警戒」という姿勢を示しているようには見えない点である。むしろ第1四半期の弱さについては港湾ストと悪天候に言及しており、ISMレポートの報告と一致する。 イエレン議長も、ドル高のマイナス面については通り一遍の言及をしつつも、総じて景気は堅調で、利上げが正当化できるという文脈に位置付けている。「議長がドル高に言及する機会が増えた」というのは、ドルについての質問を浴びせ続けているメディアの自作自演にすら見える。 フィッシャー副議長に至っては、ドル高そのものが景気に及ぼす影響は無視してよいとのスタンスをとっている。副議長は「ドル高は米国経済の強さの反映」とのコメントを繰り返しており、かつてのルービン財務長官(在任:1995―99年)の「強いドル政策」を彷彿させるほどだ。 確かに、米国経済の現状は当時と似ている。世界的に製造業の現地生産化が進む中で、通貨高が雇用を奪うという図式は薄れている一方、「雇用の強さに象徴されるような景気の堅調ぶりこそが、ドル高をもたらしている」という関係である。「強いドル政策の復活」とはいかないまでも、FRBは金利上昇に伴うドル高を受け入れながら、9月以降の利上げプロセスを進めていく公算が大きい。 昨年のお盆以降の相場を振り返ると、8月のジャクソンホール会議、9月のFOMCでドル高の流れが出来上がり、さらには10月末の日銀追加緩和と年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の資産シフト発表という「ダブルバズーカ」で円安加速が決定的となった。今年の場合は、まずは日銀追加緩和への期待、次にFRB利上げシナリオの織り込み、という順序になるかもしれない。 いずれにせよ、ヘッジファンド勢が狙っている「次の一手」はドル買い、円売りだと推察される。筆者のドル円予測値は6月末123円だが、早い時期に125円に迫る場面があってもおかしくないと考えている。 *池田雄之輔氏は、野村証券チーフ為替ストラテジスト。1995年東京大学卒、同年野村総合研究所入社。一貫して日本経済・通貨分析を担当し、2011年より現職。「野村円需給インデックス」を用いた、円相場の新しい予測手法を切り拓いている。5年間のロンドン駐在で築いた海外ヘッジファンドとの豊富なネットワークも武器。著書に「円安シナリオの落とし穴」(日本経済新聞出版社)。 http://jp.reuters.com/article/jp_forumcolumn/idJPKBN0O308R20150518 米為替操作規制、可決しても水準判断は不可能 By IAN TALLEY 原文(英語) 2015 年 5 月 18 日 16:03 JST オバマ米大統領が最重要課題として掲げる環太平洋経済連携協定(TPP)の締結が実現するかは、為替操作国に対する制裁法案の先行き次第となりそうだ。しかし、貿易相手国による自国通貨安誘導をやめさせることはとても一筋縄ではいかない。 米議会では、TPP締結を容易にする大統領への貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)付与法案の上院での審議入りが決まったばかりだが、議員、企業や組合は、輸出振興目的で故意に自国通貨を減価させていることが疑われる国に対し、TPP交渉を利用して再び攻撃を仕掛けようとしている。米国ではここ10年、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)などの主要機関を悩ませてきた為替のバリュエーションをめぐり、議論が続いている。 一部の議員は有権者が長らく抱いてきた不満を吸い上げ、強制力のある為替条項をTPP交渉に盛り込むよう求めている。TPP交渉には現在12カ国が参加しており、参加国の国内総生産(GDP)は合計で世界の40%に達する。ミシガン、オハイオ、ニューヨークなど、製造業の比重が高い州から選出された議員は特に、TPP参加国や韓国、中国といった将来的に参加が予想される国々が自国通貨を減価させれば、TPPから得られるはずの利点はすべて消えてしまう可能性があると懸念している。 通貨を切り下げた国が生産コスト削減や輸出促進などの恩恵を受ける一方で、その貿易相手国は打撃を被る。例えば、一部のエコノミストや企業は、中国の過去10年間の為替政策のせいで数百万人もの米国民が仕事を失ったと指摘している。中国政府は人民元相場を市場のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)が示唆するレートより40%も低い水準に維持することで、輸出企業を支援しているという。 米自動車大手フォード・モーターの海外渉外担当副社長、スティーブン・ビーガン氏は「為替操作こそが全ての貿易障壁の源だ」と述べた。同社をはじめとする米自動車メーカーは、海外での競争力強化を狙って自国通貨安を誘導している国を対象とした制裁法案を後押ししている。 ビーガン氏は「われわれは世界のあらゆる自動車メーカーと競争できるが、日本銀行には太刀打ちできない」と話し、日銀による通貨安誘導への懸念を表明した。 一方、為替操作国への制裁法案が成立したとしても、為替の適正価値を決めることは極めて難しく、貿易相手国に制裁を科す上で問題が生じる公算が大きい。 米商務省の元次官(国際貿易担当)で、現在は米IBMの政府・規制部門担当副社長を務めるクリストファー・パディラ氏は、通貨の適正価値を計算することはほぼ不可能と考えられ、実務的に解決できない問題を伴うことが予想されると指摘した。 「ある通貨の『客観的な』市場価値を10人のエコノミストに尋ねれば、異なる10の答えが返ってくるだろう。どれも十分に検討され、経済的な分析に裏付けられた回答だが、水準は全てばらばらと予想される」という。 TPPを支持する議会共和党は、こうした見方を根拠に民主党の攻撃をかわそうとしてきた。ベイナー下院議長(共和、オハイオ州)は先週、「米議会が為替相場の水準を法律で定めることができると考えるなど、ほとんどばかげている」と述べ、議会はこの問題を数十年前から議論していると指摘した。 各国の為替政策をめぐっては、独立評価機関であるIMFが政府間の議論を抑える役割を担うはずだ。IMFは世界第2次世界大戦後、通貨体制の安定促進などを通して世界で二度と争いが起きないようにすることを目標に創設された。 IMFの規則では、188の加盟国は競争上の優位を確保するための為替操作が禁止されている。しかし、IMFがこの条項への違反国を正式に発表したことは一度もない。IMFの法務部はこの禁止条項について、「比較的複雑な条項であり、理解や適用が難しい用語もある」としている。 昨今の米国での議論には、堂々巡りの問題が伴う。米議員がまとめた主な法案はIMFの判断に左右されるものだからだ。チャールズ・シューマー上院議員(民主、ニューヨーク州)が提出した法案では、通貨の減価を補助金として捉え、報復として当該国からの輸入品に関税を課すことができる。 貿易相手国が米国に異議を唱えた場合(その可能性は高い)、世界貿易機関(WTO)がその議論の仲裁に入るだろう。そしてWTOは、為替レートに関するIMFの専門知識に頼ることになる。 だが、IMFのそうした計算は決して正確とは言えない。 IMFはここ数年、加盟国やエコノミストらが広く合意しうる通貨の価値が、為替レートをどの程度過小評価ないし過大評価した水準になるのか測定する方法を新たに生み出そうとしてきた。その答えは、複数の手法に基づき、想定される主要通貨のバリュエーション(価値評価)の範囲を公表することだった。結果として、一部の例ではバリュエーションの幅広さ自体が矛盾をはらんでいる。 例えば、IMFは昨年公表した主要国に関する報告で、2013年の円相場は15%過大評価〜15%過小評価の間だったと見積もった。米国の自動車メーカーや議員らが日本の政策によるとみられる打撃への対処に努める中、IMFの推計は、円の過大評価が日本政府にとって強力な反論材料になることを示した。円や他通貨の価値についてIMFが判断に迷っている可能性がうかがえる。 この推計はまた、トヨタなど日本の自動車メーカーが為替レートや貿易制裁の影響をなくすためもあって米工場を開設した後も、米国メーカーがなぜこうした企業との競争に苦しんでいるのかについて一石を投じる可能性がある。 為替価値に関するIMFの優柔不断な評価は、日本だけにとどまらない。 IMFは、韓国ウォンが5%〜20%過小評価されていると推定した。香港ドルは10%過小評価〜10%過大評価の間、米ドルは5%過小評価〜10%過大評価とされた。数週以内に発表される次のIMF報告は、前年の推計から大きく変わっている公算が大きい。 IMFはまた、中国人民元をめぐって米国と対立している。IMFは、人民元がおよそ10年にわたって上昇した後、均衡水準に近づいているとしているが、米財務省高官らはまだ大幅に過小評価されていると主張している。 IMFのエコノミストらは先週、韓国ウォンは過小評価されているかもしれないと再び警告した。だがその舌の根も乾かぬうちに、IMF理事会は「方法論的欠陥がそうした評価を取り巻く不確実性を増幅させる」として批判の火消しに回った。 ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローで、かつて米国の貿易当局者だったゲーリー・ハフバウアー氏は、為替操作の制裁条項が議会を通過すれば、中国などの国がWTOへ米国を提訴するきっかけになるかもしれないと指摘した。WTOがどう裁定するかは不明だが、「中国は強硬な訴えに乗り出す可能性がある」という。 TPP締結を望む一方、為替法案を推進する議員団の票を必要としているホワイトハウスは、民主党のマイケル・ベネット上院議員(コロラド州)が提出した、貿易相手国の為替レートに関する米国の監視強化を求める別の案を支持している。 これなら制裁はかなり弱められ、為替水準の広い解釈という長い歴史にも沿っているため、ホワイトハウスには各国の為替政策と適正な罰則を評価する上で広い裁量が与えられるだろう。 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10520257288521003311804580648112904918240&ei=ipRZVZW1JJaD8gXInoH4Aw&usg=AFQjCNEajn8vZQrT2DzYP84_abig348uWg&sig2=27o1MS4c_M2LLH1DRGvTZw&bvm=bv.93564037,d.dGc |