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湾岸タワーマンションの高騰がまだ続く理由 6000万円超の売れ筋物件を買い求める人たち
http://toyokeizai.net/articles/-/69881
2015年05月18日 前野 裕香 :週刊東洋経済編集部 記者
「ゴールデンウイークに入るまでに(1住戸あたり)200万〜300万円は価格を上げる予定です。需要はありますから」
4月中旬、東京・湾岸エリアで売り出し中のタワーマンション「ドゥ・トゥール」(東京都中央区晴海、総戸数1450戸)の販売担当者は、こう言い放った。取材時点で南西角、2LDK、70.70平方メートルの部屋が8180万円だったが、さらに上積みされる可能性があるということだった。
東京オリンピックを目前に、湾岸エリアでタワーマンションの価格がぐんぐん上がっている。湾岸はタワーマンションの建設ラッシュ。勝どきから晴海、豊洲にかけてのエリアには、これから5年以内に、総戸数500戸以上のタワーマンションがざっと10棟以上建つ予定になっている。
■湾岸エリアは建設ラッシュ
分譲中の主な物件は、住友不動産の「ドゥ・トゥール」のほか、三菱地所の「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」(861戸)、三井不動産や三菱地所、野村不動産などの「勝どきザ・タワー」(1420戸)。6月には三井の「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」(693戸)、10月には同じく三井の「パークタワー晴海」(1084戸)が売り出される。2020年以降は、勝どき東地区で総戸数3000戸超のタワーマンション3棟が建設予定で、オリンピック後には選手村の跡地もタワーマンションとなりそうだ。
東日本大震災後、湾岸エリアのタワーマンションの人気は急落した。だが2011年11月に売り出した野村の「プラウドタワー東雲キャナルコート」が、液状化対策や防災設備を充実させ、説明にも時間をかけたことで、好調な販売を記録した。安心材料を得た他の大手デベロッパーは、計画を次々と具体化。2013年秋に東京オリンピックの誘致に成功したことで、価格面でも強気の姿勢を見せ始めた。
写真中央が「ドゥ・トゥール」(撮影:今井 康一)
ここ数カ月、湾岸タワーマンションの価格の牽引役となっているのが、冒頭のドゥ・トゥールだ。ドゥ・トゥールの立地は、都営大江戸線・勝どき駅から徒歩9分とさほどよくないものの、この欠点をカバーするため、JR新橋駅とマンションを往復する住人専用シャトルバスを走らせる。さらに、共用設備にサウナ付きのスパやバーを設けたり、ホテルを彷彿とさせる天井高10メートルのエントランスホールを用意したりと、ラグジュアリー感を全面的に打ち出した。
当初は平均坪単価300万円台前半で売り出したが、5月下旬から始まる第3期販売では、中低層階でも坪380万円強で売る住戸が出てきそうだ。
ドゥ・トゥールに引っ張られ、他物件も価格の改定に動き始めた。2棟建てのザ・パークハウス晴海タワーズ(駅徒歩12〜13分)は、2013年竣工の1棟目「クロノレジデンス」より1割近く高い、平均坪単価300万円弱で2棟目の「ティアロレジデンス」を販売中。その隣に建設予定のパークタワー晴海は、駅徒歩12分の立地にもかかわらず、「坪300万円で売りたい」(販売を担当する三井の関係者)とかなり強気だ。
パークタワー晴海の企画にはオリエンタルランドが参画。「イマジネーションランド」と銘打つ約1万9000平方メートルの広大な敷地を5つのゾーンに分け、「妖精の小路」や「冒険の森」、「くじらテラス」と名付けたエリアを設けることで、他物件との違いを打ち出そうとしている。
■低金利がかろうじて実需を下支え
中古物件価格にも波及している(写真:ziggy / PIXTA)
湾岸タワーマンションの主な買い手は、世帯年収1000万円を超える高給サラリーマン世帯だ。上がり基調にあるとはいえ、中心価格帯は6000万円半ば〜7000万円台。港区や世田谷区など都心高級マンションのファミリータイプが優に1億円を超えることを考えれば、湾岸タワーマンションはまだ手が届く買い物だと言える。
低金利も、実需を後押ししている。長期固定金利の住宅ローン、フラット35の金利は、直近のピークだった2009年には3%を記録したが、以来、低下を続けている。返済期間35年以下(融資率9割以下)の最低金利は今年2月に1.37%と過去最低を更新。5月も前月より0.08%低い1.46%だった。
住宅資金にかかわる贈与の非課税制度も効いている。贈与の非課税枠は今年の取得分で1500万円だが、2016年10月から同3000万円まで拡充される。「ご両親からの贈与により、頭金が“厚み”を増していると感じることが多くなった」(大手デベロッパー幹部)。たとえば贈与などで頭金が2000万円用意でき、共働きで世帯年収が1000万円あれば、6000万円台以上の物件でも十分購入できる。
■高まる海外からの投資熱
こうした実需に加え海外の富裕層による投資熱も高まっている。あるタワーマンションの販売担当者は4月、台湾から来た海外投資家に「横か縦一列、どちらでもいいから買わせてほしい。キャッシュで支払うから」と言われた。台湾や香港、シンガポールといったアジア系の投資家が都心のタワーマンションを積極的に購入している。
長らく続いたデフレにより、日本の不動産価格は世界的にみて相対的に低い。海外投資家からすれば、2年ほど前と比べて円安だけで20〜30%の割安感がある上、東京オリンピックの開催に伴う不動産価格の上昇期待も強い。「『東京に不動産を持っている』ステータスを重視する投資家が多いため、海外でも名の通った都心5区(千代田、中央、港、渋谷、新宿区)での購入がほとんどだ」(ある不動産仲介会社の社長)。街のランドマークとなるタワーマンションは特に好まれる。
管理上の問題が懸念されることもあり、タワーマンションを供給するデベロッパー大手のほとんどは、海外投資家による購入を全体の2〜3割に抑えている。一方で、「上層階の住戸では海外投資家向けの高めの値付けをしているケースがちらほらみられる」(不動産関係者)との声もある。日本人からすれば高すぎる値付けでも、円安メリットを享受できる海外投資家でれば買ってくれることがよくあるのだという。
実需と投資の両方が好調な足元は、デベロッパーにとって絶好のチャンスだ。公共工事の増加で施行費が高水準であることも、マンション価格を上げる動機となっている。東京オリンピックまで、あと5年。湾岸タワーマンションの価格が下げ止まる様子はまだ見られない。
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