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中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本は参加すべきか否か
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150517-00000503-biz_san-nb
SankeiBiz 2015/5/18 11:15
中国が主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)は57カ国が参加し、年内の設立へ動き出した。日本政府は不透明な組織運営や融資審査基準などを理由に参加を見送ったが、企業からはアジアの旺盛なインフラ需要を見据え「日本も積極関与すべきだ」との声もあがる。国際金融秩序を米国と牽引(けんいん)してきた日本はどう対応すべきか。第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストと、大和総研の斎藤尚登シニアエコノミストに聞いた。(尾崎良樹)
■日本の役割は中に入って内側から変える
大和総研シニアエコノミスト・斎藤尚登氏
−−AIIBの参加国が50カ国を上回った現状をどう見るか
「当初、参加は30数カ国で途上国中心ということだったと思うが、イギリスが入り、ドイツ、フランス、イタリアと続いて国際金融機関としての体裁が整ってきた。ただ、中国がもろ手を挙げて喜んでいるかは疑問が残る。中国が独自のやり方で運営しようとしていたところから、グローバルスタンダードを意識したものに変えざるを得ない。『思惑が外れてしまった』という意識があるのではないか」
−−日本政府は、不透明な組織運営や融資審査基準などを不安視し、参加を見送っている
「『中国の、中国による、中国のための機関』になるという懸念はある。ガバナンス(統治)の観点でも、理事会は開くけど理事は常駐しないので、(中国の)事務方が言ったから『OK』という単なる承認機関になる恐れがある。ただ、外から意見を言っていても聞いてもらえない。中に入って内側から変えるのが日本に求められる役割ではないか。日本はかなりの出資比率になるはずだし、発言力もそれなりのものになる。真っ当な国際金融機関にするために、影響力を行使するという役割を担いうるのは日本だ」
−−インフラ受注を期待する企業からは日本の積極関与を求める声がある
「今後、参加国は協定の署名に向け定款などを検討するが、そこでインフラ受注は『参加国を優先する』などの項目が入ってくる可能性はある。参加していない国の企業が門前払いされるリスクを懸念している」
−−日本は参加すべきか
「英仏独伊の参加で、AIIBが失敗するリスクは減った。日本が入ればリスクはもっと下がるはずだ。アジアの共存共栄的な発想の中で、日本が入らない選択肢はなかなか難しい。AIIBの中から、好ましい方向に軌道修正するよう働きかけることは大事だ」
−−AIIBを創設したい中国側の経済事情は
「中国は需要が落ちて、鉄鋼や重工業の生産量が減った。東北部などは経済的に厳しいので、輸出を増やして時間稼ぎをしたいという考えがある。インフラ投資が終わった後に産業を誘致する狙いで、それまでのつなぎ期間を確保し、東北部の産業を何とかしたいという発想がかなり強いだろう」
−−日本が牽引するアジア開発銀行(ADB)との棲み分けは可能か
「ADBの存在意義は底辺の底上げで、アジア全体での貢献は大きい。貧困対策の機能は強化されてもいい。一方、AIIBの基本は商業ベースになるだろう。インフラ投資し、それを回収する商業銀行のような意味で、自然と棲み分けはできる気がする」
■〈さいとう・なおと〉昭和43年、千葉県生まれ。47歳。立教大文学部卒業後、平成2年から山一証券経済研究所、10年に大和総研。香港、北京駐在を経て、経済調査部シニアエコノミスト。専門は中国マクロ経済、株式市場制度。
■もうかるから“参加”ではない 第一生命経済研究所主席エコノミスト・西濱徹氏
−−創設メンバーになる申請期限の3月末に先進国の参加表明が相次いだ
「EUの中で口火を切ったのがイギリスだったのは驚きで、数は予想以上に多かった。ただ、アジア開発銀行には入っているが、AIIBには参加していない国が約20カ国もある。大洋州やミクロネシア、ポリネシアの国々はほとんど入っていない。中国が『一帯一路』として掲げる新シルクロード経済圏構想の恩恵を受けたい国が手をあげたのが現状だろう」
−−AIIBでの中国の影響力は巨大になる見込みだ
「出資比率が最大で本部は北京、総裁も中国人で、常設の理事会も置かないという。最後は共産党も動いてくるのが免れない中で、どう透明性を担保していくのか。AIIBは中国の景気をどう維持するか、という生命維持装置の役割を担っているところがある」
−−日本は参加を見送っているが、今後はいかに対応すべきか
「入らないという選択肢は日本が明確にする必要はない。条件がクリアになれば、日本としても協力できる部分はある。現状でも協調融資などやりようがある。ただ、仮に日本が税金を使って参加(出資)するならば、米国も一緒に入って議論を透明にする必要がある。共同歩調をとれず、日本単独で動くのだけは避けないといけない」
−−アジアのインフラ需要は旺盛だ
「アジアでインフラが足りないのは事実だ。お金も世界銀行や国際通貨基金(IMF)など既存機関だけではニーズの1割にも満たない。AIIBという新たな財布ができるのは経済面からは歓迎だ。ただ、主導するのが中国となれば、日本の場合は外交・安全保障、潜在的脅威の観点もある。英国やドイツなどと違うスタンスが出てくるのは否めない」
−−企業からは日本の参加を期待する声もある
「日本はADBを通じ、一般競争入札で公明正大にやってきた。ただ、ほとんどは土木関係で、日本のゼネコンはコストが高く、なかなか受注できない。AIIBが中国の『一帯一路』の互助機関という色合いが強い機関になるとき、日本が出資することを国民が賛成するかについて議論しないといけない。もうかるかもしれないから良い、という話とは違う」
−−日本政府はAIIBの融資基準やガバナンス(統治)などにも不安を感じている
「インフラ整備に伴い、現地に住んでいる人々の住民移転が生じたとき、中国がどう人権に配慮するか、という問題も出てくる。中国が国際社会でどうやって紛争を起こさないようにしていくのか。その土俵にきちんと上げる仕組みを作っていかないといけない」
■〈にしはま・とおる〉昭和52年、福岡県生まれ。37歳。一橋大学経済学部卒業後、国際協力銀行(JBIC)を経て、平成20年に第一生命経済研究所入社。27年から主席エコノミスト。専門は新興国のマクロ経済・政治分析。
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